表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と共に幸せに暮らします。  作者: にのまえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/109

33

〈アーシャ。ここに人が来るぞ、気を引き締めて〉


 シシが言ったおり、ギルドマスターともう1人、この応接間に来るようだ。あれ? さっきまで感じなかった人の気配と、こちらに来る彼らから魔力を感じる。


 ――あ、さっきのシシのキスは私に魔力を渡すため?


 それほど危険な人が応接間に来るのだろうか。私はなるべく顔を隠すために、腕につけていた髪留めで髪をあげ、フードを深く被って息を吸った。


〈緊張しているところ悪いけど、アーシャに言いたい事がある。今日渡す無限ボックスとポーション。前の毒肉の話がギルドマスターから出たら、全部旦那のボクだと言ってくれる? それと、ここにもう1人来るんだけど来る奴、アーシャの知っている奴だから〉


〈私の知っている人が、ここに来る?〉


 ――まさか、ルールリア王太子殿下?


 誰なのかとシシに聞こうとしたとき。応接間の扉がガチャッと開いた。そこに見覚えのあるギルドマスターと……学園卒業から7年の時は経つが、私の知っている殿下の幼馴染で、近衛騎士のラル・ローズキス伯爵が真っ白な騎士の鎧をつけて現れた。


(なぜ、近衛騎士の彼がここに?)


 だとすると、さっきの魔道具は彼が使ったのか。その、彼の後ろに、殿下が影がチラチラと見える気がして嫌な感じがした。


「これは失礼、約束の時間を過ぎてしまいましたな。遅くなりました、シシ様」


 ギルドマスターが挨拶して、そのあとにラルが頭を下げた。シシから貰った魔力はまだ少ないから、声変えの魔法は使えない。自分ができる範囲で少し声を変えるしかない。


「いいえ。お忙しいところ、私が約束をしたこちらが悪いのです……」


 少しいつもとは違う低い声と私の言葉の詰まりに、連れてきた騎士を、私が気にしているのがわかったのか。


「シシ様、この前の毒肉の件を国へ伝えたところ。国の方から一度あなた様にお会いしたいと言われまして、今日の話し合いの場に来ていただきました」


 と、彼が来た理由を私に説明して。ラルに「騎士様、お座りください」とソファを進め、1人がけのソファにそれぞれ腰掛けた。


 こんな所で会うとはね。常に殿下のそばにいて、殿下の浮気を知っていたはずなのに。何一つ私の報告をしなかった男。


 それだけでも腹立たしい(はらだたしい)のに。殿下と離縁したあと、お父様に私と結婚したいと申しでてきた変な男だ。


「シシさん、アウスター国から派遣されましたラル・ローズキスといいます。あなたが肉屋で毒肉を見つけたのですよね」


 挨拶のあと、探るような瞳を向けられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ