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浮気をした王太子はいりません。〜離縁をした元王太子妃は森の奥で、フェンリルパパと子供と共に幸せに暮らします。  作者: にのまえ


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 カランコロン。


 真鍮製のドアベルが鳴り、甘いケーキとコーヒーの香りが鼻をくすぐった。外観もさることながら店内も木製造で可愛く、落ちつける空間のケーキ屋さん。

 

 元々と、ここは大人達の社交場だったローレルの喫茶店だった、この店の後を継いだ料理好きの2代目の店主が、もっと女性と子供のお客様が欲しいと嘆いていた。


 それは、近くに広場ができて親子連れが増えたからだ。私は前世の記憶を生かしてゆったりできるソファ、店の雰囲気を変えて、軽食とケーキを出せる店にしてはと提案した。


 ――そうして出来たのがローレルのケーキ屋。


 初めは「大人の社交場に子供入れるな!」と文句を言う人もいたけど、多くの子供を持つ女性に受け入れてもらえた。


(まぁ店主が作る料理と、ケーキが絶品だったのもあるのだけど)

 

「いらっしゃいませ、3名様ですか? お好きな席にどうぞ」

 

 私達は窓際の席に座り、大好きな苺のケーキ3つ、ホットミルク2つ、紅茶を注文した。注文を終えるとチェルは頬を赤らめ膝の上に小さな手を置き、苺のケーキが届くのをワクワクしながら待っている。


(チェルったら、大好きなケーキがくるのを持ってワクワクしいるわ……フフ、シシもだけど)

 

「お待たせしました、ご注文の品です」

「ありがとう」


 テーブルの上に運ばれた苺のケーキを見て、チェルはフォークを持ち、満面の笑みを浮かべた。

 

「苺のケーキ!」


 食べるまえの挨拶を忘れて、好きな苺をフォークにさして、パクンと口いっぱいにほおばった。


「おいしぃ~」 

「あら? チェル"いただきます"の挨拶はした?」

 

「……あ! モグモグ、ゴクン……忘れてた」

「あ、ボクもだ」


 シシの、てっぺんの苺もお口に消えていた。



(2人とも、か、可愛いィィーー! 手元にスマホが無いのが悔やまれる!)



「ママ、イチゴ食べちゃったけど。い、いただきます!」


「……アーシャ、ボクも、いただきます」

「はい、いただきます」

 

 ここの苺のケーキ、フワフワ生地に生クリームたっぷりでいつ食べても美味しい。似たもの親子は口の周りにクリームを付けながら、苺のケーキをモクモク食べている。


 至福だわ。


「ねぇママ、ママは苺のケーキ食べないの?」

「食べないのか?」


「え? 食べていますよ……まあ、2人とも食べ終えたのね。もう一つ頼む?」


「「うん、頼む!」」


 可愛いチェルとシシの2人とゆったり過ごす、午後のひとときと、苺のケーキと紅茶で心はほっこりした。


 このひとときが続くといい……

 

「⁉︎」

「ん?」

 

 私とシシは大きな物音を聞き、店の窓から外を覗くと同時に、ガランゴロンと乱暴にケーキ屋の扉が開いた。

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