表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/109

12

 シシカバの冒険者ギルドで話を聞いている。


「それで、魔物化した魔物はどうなったんですか?」


「一応、騎士団が討伐したようなんですが……魔物の瘴気を聖職者が浄化できず、森の中で燃やすしかなかったそうです」


「森で魔物化した魔物を燃やした?」


 その処理の仕方ではダメだ。魔物の肉体だけが燃やされ、瘴気だけが残ってしまう。魔物化した魔物を討伐した場合、魔法で浄化しなくてはならないと教えたはず。


 次に魔法で鑑定して食べられない箇所を、丁寧に取り除けば、まだ肉は口にできる。毒がある魔物も丁寧に毒処理をすれば……食べられる。


 毛皮、皮、爪、牙といった素材は、損傷そんしょうなく捌ければギルド、素材屋で高く売れる。魔物が多い国だかこそ、身につけたほうがいい技術だ。


(私は教えた。魔物の浄化は聖職者が数名いれば出来るし、騎士団の中に鑑定スキル持ちがいたはず。昔、魔物化討伐のあと私に任せて。嫉妬するか、文句ばかりで技術を学ぶ者はいなかった……)


「それは大変ですね」

 

「はい……5年前、王都、国土全てを管理なさっていた王太子妃が王太子殿下と離縁なさってから、問題が山ほどあると聞きます」


 ――問題が山ほど?


 あたりまえね。国王陛下、王妃まで私に執務を任せっぱなしでご旅行、お茶会、舞踏会をしていたもの。ほんと名ばかりの国王と王妃だった。王太子も自分のできる範囲しか執務をこなさなかった。


 周りの宰相、役員……彼らの側近は大変だった。そんな彼らに年度予算、執務、災害……貧困の人々への食糧配布――今の彼らに解決できるのだろうか。


 王太子妃のとき、いくら話しかけても「王太子妃の、あなたが分かっていればいいの」だった。いま考えれば、当時の私もやり過ぎていた。一度やり始めた執務、仕事はとことんやり尽くす性格で、国民の為にと……頑張りすぎていたのもしれない。


 ――前世の夫にも「もうその面で、探すところないだろう? 次の面に行こう」と、ゲームのプレイ中に言われたわ。


「シシさん、シシさん?」

「あ、ごめんなさい」


 色々、思い耽って(ふけって)しまっていた。


「いいえ。買い取り金額なんですが。薬、ポーション、素材の買い取り合わせて金貨5枚です」


 金貨5枚(50万円)かなかなかの金額ね。これだけあれば、3人でしばらくのんびり暮らせる。


「ありがとう、またよろしくね」

「こちらこそ、またよろしくお願いします」


 冒険者ギルドを後にして、家族が待つ広場へと向かった。広場は結構広く、芝生の上で食事をする家族、遊具で子供達と遊ぶ家族がいるなか。シシとチェルはベンチに座り日向ぼっこしていた。


「お待たせ、お昼にしましょう」

「おかえりなさい。ママ! お腹すいた」

「おかえり。そうだな、ここで食べよう」


 カバンの中から敷き物、お昼のサンドイッチ、飲み物を取り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ