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 シシカバの街の近くに転移魔法で到着して、シシ、チェルと手を繋ぎ、私たちは街の冒険者ギルドに向かった。受付でギルドガードを見せて、持ってきた薬、ポーションと、シシが集めた素材を買い取ってもらう。


「ポーションと素材の買取をお願いします」

「はい、ギルドカードを確認させていただきます」


 受付嬢はギルドカードの確認が終わると、薬、ポーションと素材を魔導具で鑑定して、質が良いものだと頷いた。


「シシさん、出来の良い薬とポーション、魔物の素材です。いつもありがとうございます」


 ここでの私の名前はアーシャではなくシシと、彼の名前を借りて名乗っている。そのシシとチェルは冒険者ギルドの前まで来たのだけど、中には入りたくないと言ったので。近くの遊具がある広場で遊びながら、待っていてもらっている。


「それはよかった、次は何を持ってくればいいですか?」


 いま必要な薬、ポーションの種類、数を受付け嬢に聞いておけば。ギルドの在庫数がわかり、次に何を持ってくればいいかもわかるから――色々作らなくて済む。


「そうですね……いまはポーションがいいです。あればあるだけ欲しいので、出来れば100本ほど納品していただきたいです」


「……ひ、100本?」


 まぁ作れないこともないけど、かなりの数で驚く。


「すみません、驚きの数ですよね。ギルドにポーションを卸しにくる錬金術師、薬師もこの話を聞いて驚きます」


「ええ、そうだと思います。でも、なぜ? そんなに多くのポーションが必要なのです? 何かあったのですか?」


 数がかずだけに、どこかで何か大変なことが起こったと考えた。冒険者ギルドの受付け嬢は「はい」と頷き。


「約半年前になりますか。王都の騎士団の第二、第三部隊が魔物の討伐に、ヌルルの森へ遠征に行ったのですが。その森で大型獣系の魔物と出会い、多くの騎士が怪我をして大量のポーションを使用したため。今、どの冒険者ギルドでもポーションの在庫が足りないんです」


 ヌルルの森といえば、王都から北の地にある森。

 

 殿下の婚約者の頃、1年にいちど瘴気の浄化に向かっていた森だ。その森に大型の魔物が出た? ――そうなると、国には瘴気を浄化できる聖職者がおらず。徐々に森に瘴気が溜まり、森に住む動物が魔物化した……。


 だが、ヌルルの森は――私たちが住むカサロの森ほど酷い瘴気に侵されていない。ただ1年に1度、数名の聖職者が集まり、森を浄化をしていれば魔物は出ないはず。


「魔物が出てから、ヌルルの森で薬草採取をする冒険者、薬師が森の入れなくて困っております」


「そうですよね」


 北の大地は薬草の宝庫――ポーションをはじめ、風邪、皮膚炎に効く薬草が豊富に採れる森。また、そこに生息するウサギに似たウサーロォンは干物にしても、煮込み料理、ソテーにしても美味。ただ、ひとつだけ気を付けるとしたら、ウサーロォンは牙に毒を持つ。


 ヌルルの森の浄化に出向くまえは、毒を持つキケンな動物として駆除され食べられていなかった。いまは牙の解体の仕方が見つかり、雪深い北の地での保存食となっている。

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