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 森の夕暮れとき、森の見回りにでていたフェンリルのシシが戻る。


「アーシャ、チェル、今帰ったぞ!」

「シシ、お帰りなさい」

「パパ、おかえり」


 その手には殺菌効果のある葉っぱを巻いた、大きなトカゲを咥えていた。どうやらシシはカサロの森で、大きなトカゲを見つけて狩ってきたようだ。

 

 シシは咥えていたトカゲの肉をテーブルに置くと、私の頬に鼻をスリスリして人型に戻り、足元のチェルを抱っこした。


 フェンリルの姿から人型なるとき、シシは服は着ておらず裸だ。私は何年見てもドキッとして目を逸らしてしまうけど、彼は見られても気にしていないようだ。


「アーシャ、汚れたから風呂に入りたい」

「え、ええ、お風呂の準備はできているわ」

「お風呂? ボクもはいる」


 チェルはシシとはいるお風呂が好きで、嫌がらずはいってくれる。

 

「タオルと、下着は脱衣所の棚に置いてあるからね」


「「わかった」」


(私はその間にお肉を食べる分と保存用に分けて、素材は素材箱にしまってと)

 

 シシは獲物を狩るとすぐその場で捌き、食べられない内臓と肉を処分して。牙と爪、皮などの素材と肉を持って帰ってきてくれる。

 

 牙などの魔物の素材は森を出てすぐの街――シシカバの冒険者ギルドにおろして、肉は私がいちど瘴気を浄化して家族でいただく。ここは凶暴な魔物が住むカサロの森。その森に生息する魔物のほとんどは瘴気をまとっているため、食べるときは浄化しなくてはならない。


「いいお肉だから、今日の夕飯はバーベキューにしようかな?」

「いいな」

「いい!」


「じゃ、準備するわね」


 お風呂上がりの2人の髪を魔法で乾かして、私は庭に出て灯りの魔法を使い周りを明るくする。その足で家隣の家庭菜園で匂い消しのハーブを摘み、塩コショウを振り、肉に馴染ませる。


「シシ、温室からトマトとレタスとってきて」

「わかった、チェル行くぞ!」

「おう!」


 仲良く温室に向かった2人。私はレンガで作ったバーベキューコンロに薪をくべて魔法で火をつけて、網を置き肉を焼き始めた。こんがりキツネ色に焼けた肉を食べやすく薄く切り、野菜と一緒にパンに挟んで食べる。


 スープは朝と昼の残りで、サラダはトマトの丸かじり。

 できた料理を、シシが作った庭のテーブルに並べて。


「「「いただきまーす」」」


 と、夕飯が始まった。

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