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愛が無ければ見えない

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

ちょっと長編にしたいホラーです。


生前、彼と私は何処へ行くにも一緒だった。朝食事をする時も、外へ出掛ける時も、夜眠る時も、離れることの無い生活を行っていた。そうなったのは、私の口から出た言葉に掛かってる。


ある時、とある漫画を読んでいた時のこと。こんな一文が目に入った。


――閉じ込められるか、何処までも追い掛けてくる。


私は基本的に人から愛を際限なく求める人間である。面倒見るよりは見られたいし、飼うより飼われたい。そうして乾いた欲を満たしたい。そんな気持ちがそこかしこに存在する。だから、他意もなく呟いていた。

「羨ましい」

それに気が付いた彼は柔和な顔を殊更穏やかに染めて、ただ一言こう告げた。

「じゃあ一緒に居ようか。朝昼晩、ずっと。君よりも長生きして、寂しくはさせないよ」

そう言って、私の唇にキスを落とした。

あれから数年の月日が経った。彼は約束を守ってずっと傍に居てくれた。朝昼晩、ずっと共に居て、何をするのも一緒だった。それなのに、ある時私を庇って事故に遭った。私は無傷で、彼は即死だった。

『愛が重い』というのは、相手がどんな姿になっても、何をしていても、傍に居てくれればそれで良いという事を指すらしい。ならば私を置いて亡くなった彼の愛は、大して重くは無かったという事だ。何があっても君より長生きすると言ったのに。あの時、私を無様に殺して生きてくれればよかったのに。

そう、後悔の念だけが積もる最中、ある時、町中に怪しい占い師に目を付けられた。どんなに声を掛けられても無視を決め込むつもりだったのに、ある一言が私を立ち止めた。

「奴さん、一人霊が着いているよ」

それを聞いた途端、私は大股でその怪しげな占い師の前に立ち、黙って福澤を二枚差し出した。

「詳しく」

「頭蓋が割れて、脳みそが崩れてしまっているが、奴さんの事が大好きなんだろうね。後ろから被さる様にべったりと張り付いておる」

「どうすれば見れますか?」

彼はしっかりと約束を守ってくれていた。どんな姿になっても、私と共にいてくれた。けれども見れない。姿が見たい。傍にいるなら存在を確認したい。

「奴さんが彼を愛せさえすれば見れるよ」

何を言っているのだろう? 私は今も昔もずっと彼を愛しているのに。真顔で老婆を睨みつけると、老婆は口角を三日月に曲げて笑った。

質問を返そうとしたその時だった。老婆は目深に被っていたフードを自らの手で払い除ける。そこに現れたのは、皮膚が爛れて、目から血を流す亡者の姿だった。

「ワチが見えているのに、彼が見えないということは、彼を愛しちゃ居ないんだろう?」

愛が重い。

というのは、相手がどんな姿でも、何をしたとしても、一緒に居てくれれそれで良い。

というのを指すそうです。


長生きする。一人にはさせない。寂しくもさせない。

彼はそう言いました。

だから死んでも約束を守る為に亡霊となって彼女に憑いてます。


けれども彼女は口先で彼のことを『愛してる』と言いながらも、愛してはいなかった。

きっと生前から重いし、ウザいと思っていたのでしょう。

メンヘラって基本的にそうだから。

だからほかの亡霊は見えても、彼の姿が見えない。


そんな身勝手な恋の話。

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