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駄菓子を食べながら、ペットボトル飲料のおまけの開封の議を見る【素朴な甘さと炭酸のような刺激的な味】


 仕事が遅くなってしまい、友達の飲み会に遅くなってしまった。メールで【先にやっている】と送られてきたので、居酒屋に急ぐ。

 毎日、相変わらず暑いが朝と夜は涼しい風が吹いている。この時間だけ秋だなって思える。逆に言えば、ほとんどの時間を太陽は真夏気分で照らしているという事だ。

 だがいくら夜が涼しくなったとは言え、ちょっと走っただけで首筋や額には汗をかいた。さっさと居酒屋に行って冷たいビールが飲みたい。


「お疲れー」

「大変だったな、辰真」

 居酒屋に行き、友人がいる席に行くとまだお酒や料理が乗っていなかった。

 代わりにレトロな公衆電話のミニチュアが数台と神妙な顔で拝む猫のミニチュアなどなどのガチャガチャの景品が大量に並んでいた。

 ちょっとドヤ顔で俺を見る龍雅とちょっと何か言ってくれよとばかりに俺を見る竜太。

 三人は俺の幼馴染で休みが被れば軽い旅行にも行く仲だ。最近は旅行中に心霊現象があったけど、三人とも特に呪われた感じはなく元気に過ごしている。


 龍雅が「どうよ! これ!」と言ってテーブルに置いてあるガチャガチャの景品を見せびらかす。確かにレトロな公衆電話のミニチュアは確かにクオリティが高い。

 だがそれ以上に聞きたいことがあった。

「あれ? まだお酒を頼んでいないんだ」

「俺達もついさっき、入ったばかりだから」

「予定の時間より三十分、遅いじゃん。そっちも遅れてきたの?」

「いや。辰真が遅れるんだったら、俺達も時間潰そうぜと言って龍雅がガチャガチャをやり出したんだ。しかも五千円分」

「えー……。随分と使ったね」

 竜太と一緒に俺も呆れるが、龍雅はちょっと得気に景品を見ている。


 そんな時、店員が俺達の席にやってきた。

「ご注文は決まりましたか?」

「とりあえず、ビール三つとおつまみセット……」

 龍雅が店員に注文を言うのを見ながら俺は席に座る。店員の目線も明らかにガチャガチャの景品をチラチラ見ていたが、仕事中だからか、注文を聞いてすぐに離れた。

 俺も龍雅が取ってきたガチャガチャの景品を見る。俺が取ったのは公衆電話のミニチュアだ。やっぱり近くで見るとクオリティがめちゃくちゃ高い。

「そう言えば、辰真も好きだよな。ガチャ」

「うん、五千円は使わないけど」

「被っている奴ならやるぞ」

 気前のいい龍雅がそう言うので緑色の公衆電話をもらった。電話ボックスの中にあった公衆電話だ。小学校の近く会った事を思い出し、ちょっと懐かしい。もうスマホの時代だから公衆電話は少なくなったけど、小学校の時はお世話になっていた。主に忘れ物をして、親に連絡して取ってきてもらうための電話だけど。

 アホだなと見ていた竜太も拝んでいる三毛猫を手に取った。猫なのに神妙な顔で拝んでいるのが微笑ましい。

 基本的に俺達はこういうのも集めるのが好きなのだ。

 ガチャガチャの景品もそうだが、パンやお菓子のおまけでシールやカードなどがよく入っていた。他にもミニチュア付きのお菓子と、明らかにお菓子がおまけのような物もあった。子供の頃からコレクター魂を植え付けさせられているのだ。


 三人で小さなミニチュアを手にしていると、小学生の頃を思い出す。

「そう言えばさ、小学生の時にペットボトルのおまけをめちゃくちゃ集めていたよな」

 俺がそう言うと龍雅と竜太は「あああああ!」と叫び出す。そして「懐かしい」「あったな」と話し出す。

「龍雅が千円くらい使っておまけ付きのサイダーを買って、今でいう開封の議をやったよな」

「やった! あれは笑ったわ!」

 竜太が爆笑して龍雅はバツの悪そうな顔をしてそっぽを向く。俺はその姿に笑う。

 そしてあの日の出来事を思い出した。




  *

 今と比べると小学生の頃の秋はそこまで暑くは無かったと思う。夏の日だって三十度を超える日なんて数日くらいだった気がする。

 


 俺達が待ち合わせをする場所はコンビニを小さくしたようなお店だった。駄菓子屋ほど古くは無いけど、コンビニほど広くないし充実していないようなお店。俺達は【ショーテン】と呼んだ。

 母親からお小遣い三百円をもらって、そのショーテンに向かう。そこで駄菓子とジュースを二百円分買い、最後の百円でガチャガチャをするのだ。最近のガチャガチャはクオリティが高いので値段もそれ相応だが、昔は百円で一回できる時代だったのだ。

 種類はゲームのキャラのマスコットやカード専用のガチャもあった気がする。


「ちぇ……。またスーパーボールだ」

 ただ『お楽しみガチャガチャ』の景品はピンからキリだった。どちらかと言うとクジに近い感じだった気がする。

「本当に出るのかな? ゲーム機」

 この『お楽しみガチャガチャ』は景品の中には手のひらに収まるサイズのゲーム機があるらしい。だが俺がやるとよく分からないマスコットやよく分からないご加護を受けたチャームなどしか当たらない。

 今思うと夏祭りのテキヤの数字合わせ並みの確率で当たるんだろうと思う。そもそも狙っていたゲーム機もテトリスくらいしか出来ない代物だった。とは言え、何も知らない無垢な俺はお小遣いをもらったら、このガチャガチャをやっていた。


 しばらくすると竜太がやってきた。

「お待たせ」

 そう言いながら手には弁当箱を持っていた。俺は「なんで弁当箱を持っているんだ?」と聞くと竜太が口を開いた。

「親戚の人が梨をくれた。母ちゃんがお前らにもどうぞって」

「わあ、サンキュー!」

「お礼はいいから、弁当を持ってくれない? 俺もお菓子を買うから」

 弁当箱を受け取ると竜太はすぐさま駄菓子コーナーを見る。黒猫のパッケージが付いた十円のガムと五十円のカツ、ビー玉飴などを選んで買っていた。

「おい! みんな!」

 竜太の買い物が終わるころに龍雅もやってきた。何やらちょっとテンション高めでお店に入ってきた。

「ショーテンじゃなくて、コンビニの方に行こうぜ!」

「はあ? なんで?」

「いいから! こんな小さな店じゃなくて、コンビニに行くぞ!」

 そう言って龍雅は俺達を引っ張ってショーテンを出る。出る際にショーテンの店員は「またのお越しを」と嫌みったらしく言った。まあ、小さなお店って言われたらそりゃ嫌味を言いたくなりたくなるな。


 太陽の下で俺達は龍雅の後を追いコンビニに向かっていた。

「というか、なんでコンビニに行くんだよ」

 竜太が面倒くさそうに聞くと龍雅は不敵な笑みを浮かべて俺達にある物を見せた。


「龍雅! それは!」

「すげえ!」

「そうだ! 千円だ!」


 千円を広げて得意げな顔で見る龍雅と驚く俺達。今思うと間抜けな光景だが、でも考えて欲しい。母親からもらえる小遣いなんて数百円。たまに五百円あげると言われたら、俺達は喜ぶ生き物だ。そんな奴らに紙幣が手元に持っていたら舞い上がってしまう。

「え? どうしたの? その千円」

「拾った」

 胸を張って答える龍雅に運がいいなと思った。まあ、運よく道に千円なんて落ちているなんてほとんどないのだが……。

「で、その千円で何買うの?」

「コンビニのお菓子?」

 基本的にこの頃はコンビニのお菓子は高いイメージだった。種類は豊富だが百円越えのお菓子がほとんどだった。でも千円あれば、いくらでも買える!

 だが龍雅の考えは違っていたようだ。

「最近、ペットボトルのおまけでゲームのキャラが出たの知っているか?」

「何それ?」

「俺はそのおまけつきペットボトルを大量に買って、主人公のフィギアを取る!」

 俺の疑問を答えず、龍雅は大々的に発表する。簡単に言えば大人買いだ。

 その時、竜太が「あ、ちょっと待った!」と言った。

「俺、母ちゃんに梨を持って行けって言われたんだ。先にこの梨を冷蔵庫に入れたいんだけど」

「じゃあ、先に俺の家に行って待ってれば? 俺の家、母ちゃんがスーパーに買い物行って、誰もいないから」

「……分かった」

 竜太はちょっと不満げだったが「先に行っている!」と言って龍雅の家まで走って行った。

 ちなみに地元は田舎だったので玄関を鍵かけても、縁側の窓の鍵を開けっ放しにしているので勝手知ったるとばかりに入れるのだ。古き良き田舎の大らかさの一つだ。



 こうして俺と龍雅はコンビニに向かった。やっぱりコンビニは広いし品ぞろえは多い。ショーテンだと週刊少年漫画雑誌は二週間前の物が当たり前のようにあるが、コンビニは最新号な上に雑誌数も多い。お菓子もアイスも充実している。

 普通に考えればコンビニに客を取られて潰れると思うだろう。だけどショーテンは未だに存在している。



 すぐさま龍雅はドリンクコーナーの方に走って行った。お客は俺達しかないようだ。

「うーん、これとこれと、あとこれ。えーっと……これとこれ! よし!」

 キャップの所に小さな袋が付いた炭酸を適当に手に取って、龍雅はレジに向かう。

 俺だったら、適当にすぐに決めないのになと思った。多分、あえて奥の方を取ったりすると思う。でもそんな助言はしないで、俺はレジに向かう龍雅を見守った。


 こうして俺達は無事におまけ付きのペットボトルを買った。



 龍雅の家の縁側で竜太が買ってきたお菓子を食べながら座って待っていた。

「お帰り! 買ってきた?」

「おう! 買ってきたぞ!」

 龍雅は元気よく手を振って竜太が座る縁側に座った。そしてレジ袋に入っていたペットボトルを一本一本出していった。夏の暑さでペットボトルの表面に水滴がいっぱいついて、縁側の床の木が茶色に濡れている。

「ようし! 開けていくぞ!」

 意気揚々に龍雅はおまけを開けていった。


 まず一つ目を開けると真っ黒な生き物のフィギアが付いたキャップだった。この頃のペットボトルのおまけはフィギアが付いたペットボトルのキャップが多かった。そしてクオリティが高かった。

 もちろん袋は透明ではないので、中身が見えないものとなっている。

「ちぇ……雑魚キャラだ」

「……ふうん。雑魚キャラなんだ」

 実を言うと俺は龍雅の持っているゲームを知らない。でも黒い奇妙な生き物でも綺麗に塗ってあるフィギアにすごいなと思ってじっくり見ていた。竜太も見せてと言って渡す。

 俺は竜太に「知っているキャラ?」と聞いたが首を振った。

「最近発売されたゲームのキャラだ。兄貴の雑誌で見たんだ」

 龍雅には高校生の兄がいる。バイトをしているので部屋にはゲームのソフトや雑誌がいっぱい置いてあって部屋に入るとその物の数に圧倒して、じっくり見たくなる。

 兄の影響で龍雅はいろんなゲームを知っているのだ。

 

「よし! 行くぞ!」

 そう気合を入れて龍雅はおまけの袋を手に取った。袋を開けるのがもどかしそうだが「おりゃあ」と言って開けた。

「……何これ?」

 俺達は首を傾げる。それは赤い半透明の塊が付いたキャップだった。

 よく分からない塊だが、鑑定士のような眼差しで龍雅は見ると「ああ、こいつは主人公のパーティに入るキャラだ」と導き出した。

 え? これがキャラなの? と思って、龍雅から渡されて見ると確かに人の形をしている。竜太に見せると「色がないとよく分からないな」と龍雅に渡す。

「ちぇ、ハズレだよ。こんなの」


 だが三つ目もよく分からない赤い透明な物だった。

「何なんだよ! これ! んー……。あー、敵キャラか」

 龍雅はつまらなそうに敵キャラのフィギアを俺達に渡す。よく見ると確かに嫌みったらしい笑みを浮かべた人物に見えるなと思いながら、俺は十円ガムを噛む。

 よく分からないキャラのフィギアの開封の議なんて面白いのか? と思うだろうけど、俺も竜太も駄菓子を食べながら結構、飽きずに見守っていた。ユーチューブではよくやっている事だけど、俺達が子供時代はたくさんのおまけの袋を開封するのは珍しかったと思う。

 例え、ハズレばっかでも。

「あーもー! あと二袋しかない!」

頭を抱える龍雅に「あのさ、モウパイしなかったの?」と五十円カツを食べながら竜太は言った。

龍雅は意味が分からず「……モウパイ?」と返すだけだった。

「袋を指で触ってキャラの形を見るんだ」

 入っている袋を指で触りながら竜太は説明する。

 俺と龍雅はキョトンとして竜太を見た。え? そんな技があるんだ。というか、なんでそんな技を知っているんだろう?


 ちなみに漢字で書くと【盲牌】で麻雀用語の一つだ。だがこういう行為は麻雀でもおまけ付きの商品を選ぶのもマナー違反になる。良い子も悪い子も大きなお友達もやめよう。


 そして竜太はフムフムと真剣な顔でおまけの袋を触って、口を開いた。

「あと、このおまけの袋は人のキャラのフィギアだ」

「え? マジで?」

「うん、なんか長い物を持っている」

 龍雅の顔が笑顔になって「主人公かもしれない」と言った。


 竜太が人のキャラのフィギアと言っていた袋を開ける。

「今度こそ! って、何だよ! これ?」

 またしても赤い透明なフィギアだった。再び、じっと見る。だが「あ!」と嬉しそうな顔になった。

「これは主人公キャラだ!」

「え! 本当に!」

 急いで俺と竜太はフィギアを見る。ちょっと気障っぽいポーズを決めながら剣を持った男性と認識は出来る。だけどやっぱり色がついてないとよく分からないなと思った。

「モウパイしても色がついているかは分からないな」

「やっぱり色が付いたフィギアが欲しい!」

 龍雅にフィギアを返すと複雑そうな顔でそう言った。


「よし! ラストだー!」

 龍雅は袋を開け始める。チラッと中が見えたが赤い透明なフィギアではなく、色がついていた気がする。

 龍雅も気が付いたようで「あ、色付きっぽい!」と言って、顔を輝かせた。

「よっしゃー! 中身はなんだ!」

 そう叫んで中身を出した。


 真っ黒な雑魚キャラのフィギアが出てきた。


 俺と竜太が「被ったな」と呟いた。そして龍雅はそっと雑魚キャラのフィギアを置いて、「チクショー」を悔しがった。




 こうして俺達は雑魚キャラのフィギア二体と近くで見ないとよく分からない赤い透明なフィギアが三体が並ぶ縁側で、一緒に買ってきたお菓子を食べ始めた。

 そして文句を言う。

「きっと都会の方に色付きフィギアがあるんじゃないのかな」

「というか、色付きのフィギアって田舎には出回っていないんだろ」

「畜生!」

 俺と竜太の素人の分析を聞いて、龍雅は悪態つきながらサイダーを飲む。彼は千円をすべてサイダーに費やしたから、哀れにもお菓子は無いのだ。

 そんな時、白い軽自動車は龍雅の家の庭に入ってきた。龍雅のお母さんだ。俺のお母さんと同い年なのに、ものすごく若々しい。

「あら、辰真君、竜太君、遊びに来ていたんだ」

「お邪魔してます」

 龍雅のお母さんは「ゆっくりしていっていね」と言って、大量のレジ袋を持って家に入った。冷蔵庫を開ける音との後に龍雅のお母さんが「あれ?」と言う声が聞こえてきた。

「ねえ、このお弁当箱はどうしたの? 龍雅」

「あ、それ、俺のです。親戚の人が梨をくれたので、お母さんが切ってくれました」

「あら、本当に」

 そう言うとすぐにバタバタと音がしたと思ったら、龍雅のお母さんがお皿とお弁当を持って俺達の事にやってきた。

「はい、梨をお皿に入れたからお弁当を返すね。一応、洗ってあるから。梨、ありがとうね。お母さんによろしく」

 竜太はお弁当箱を受け取って、俺は梨が入ったお皿を受け取った。お皿に入れた梨はとても瑞々しく美味しそうだ。

 龍雅のお母さんは「ところで龍雅」と話し始めた。

「テーブルの上に千円があったんだけど、知らない?」

「……知らない」

「じゃあ、なんでこんなにサイダーがあるのかな? あとお人形も」

「千円を拾って、おまけ付きのサイダーをたくさん買った」

 目を逸らしながら龍雅は答える。そして龍雅のお母さんはニコニコ笑っているが、裏にどす黒い感情が渦巻いているのを俺も竜太は感じていた。

「何処で拾ったのかな?」

 お母さんはとてもやさしい声で聞き、龍雅は明らかにマズイって顔をしながら小さな声で答えた。

「え? なんて言ったの?」

「……テーブルの下」

 答えた瞬間、龍雅のお母さんのゲンコツが龍雅の脳天を突いた。


「このバカ! 家に落ちたお金を自分のお金って思っているのか! ちょっとは想像して誰のかなって思いな! そして使うな! このバカが!」


 龍雅のお母さんの激昂がさく裂して、俺と竜太は圧倒されて身動きが取れなくなった。

 そしてクルッと俺達の方に振り向いた。その顔は優しそうな笑顔だった。

「竜太君、梨、一つ食べていいかな?」

「あ、はい。どうぞ」

 もう全部食っても俺は構いませんと思ったが、龍雅のお母さんは一つ取っていった。

「おいしい! ありがとう!」

そう言って、龍雅のお母さんは台所に向かった。

 縁側に残されたのは呆然とする俺と竜太、そして脳天を押さえて悶絶する龍雅だけが残った。




  *

 大人になった龍雅は取ってきたガチャガチャの景品を見ながら口を開いた。

「あの時、母ちゃんの抑圧があったからこんな風にガチャガチャをいっぱいやっているんだろうな」

 いや、それはないと思う。むしろ、この抑圧があったからこそ、これだけで済んでいるとも言える。

 龍雅の話しを神妙な顔で拝んで聞いている猫のフィギアも『お前は救えない』と言っているように見える。

「そういえば最近はペットボトルのおまけってあまり見ないね。あってもエコバックとかみたいなもので、フィギアとかはないよね」

「そう言えばそうだな。まあ、平成の古き良きバブリーが残る思い出だったな」

 思い出話をしていた竜太はクスクスと笑って口を開いた。

「俺は龍雅があの時代の子供でよかったと思うよ」

「はあ? なんでだよ!」

「だって今の時代に生きていたら、スマホのアプリゲーのガチャを親のお金でやりそうだよ。しかも何十万もかけて」

「うわー、するわ! 絶対に!」

「はあ? しねえよ! そんな事!」

「あの時代だったから千円ですんだんだ。安いもんだ」

「だからやらねえよ、絶対に」

 しょうもない思い出話をしていると俺達のビールとおつまみセットを店員が持ってきた。

「おら、龍雅! そのガチャの景品を片せって」

「分かってるって」

 急いでテーブルの上のガチャの景品を片して俺のビールとおつまみセットが置かれた。

 俺達は「カンパーイ!」と言って、ビールを持って乾杯した。


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