水着イベントかっ!
なるほど、ギルマスのいう「パーティの権威」というのは建前っちゃぁ〜 そうなわけね?
特命ミッションとは、この種のクエストを集めてきて、まとめてオレたちに受注させる、その優先権を得るということか?
って、どんだけあるわけ? ま、しょうがないか、結果的には、多数の人の為だし、姫との契約問題を逃れる口実になるんだし。
「今回は、冒険者ギルドのクエストを受注する、ということになるのですね?」
「クリティ、待って、その前に」
「どうした? ルルメリア」
「一日、二日でいいですので、休暇をいただきたく思います」
「ああああ! そうでした。みなさん、相当、お疲れですよね」
ギルマス、学園長、王、皆、オレの能力のせいで、先を急ぎ過ぎているという点に気付いてくれたようだ。全会一致で、オレたちは、しばしの休暇をもらえることとなった。
「私の瞬間移動能力のせいだと思います。結果、みなさんを煽っておりました」
「そうですわ、私によい案があります。瞬間移動は休暇場所も選ばないということですよね? よろしければ、明日は私の実家でお寛ぎになりませんか?」
「急におしかけるのは、少々気が引けますが」
「ルル、大丈夫よ。ちゃんとしたおもてなしは難しいかもしれませんが、プライベートビーチで日光浴など、いかがでしょう?」
え? 来るの、来ちゃうの、キャッキャウフフの水着イベント? 確かにこの世界の気候はとても温暖で、もう秋になるがエリナの実家、エルパニア地方まで行けば日光浴くらいなら、まだまだ問題ないだろう。
「じゃ、明日はエリナの実家でバカンス、明後日は準備の日に充て、明明後日出立でいいでしょうか?」
「もちろんです」
「申し訳なかったですね。指輪呼び出しなどをし、急き立てたのは私に責があります。短い休暇ですが、ゆっくりしてください」
「娘に指摘されては、ならぬことだったな。以後、気をつけよう」
そんな成り行きで夕食ミーティングは終わり、オレはギルマスと学園長を送って残りのメンバーもそれぞれ自室に引き上げた。で、姫とベッドの中。
「みんな、それぞれ、活躍の場があって、順調に事は進んでいるということかしら?」
「ヒントは多数出ていますが、ことの核心はまだまだでしょう」
「物語は最初から順番に読み進めるのがいいのよ」
「冒頭に結末を書く小説もありますが」
「ああ、プロローグとエピローグが繋がってるタイプ、読んだことがあるわ。そうね、私とクリティの最終ページはもう決まっている。二人仲良く死ぬ結末以外、ないんじゃないの?」
「そのお言葉、前向きに考えておきます。私は決して、姫を残して死なないと」
「ええ、絶対にそうして。大好きよ❤︎」
翌朝、会議室でパーティ一同、揃って朝食を食べ終えた。
「ああ、水着がいるわね。私のお古で申し訳ないけど、サイズ調整して着れるかな」
まず、ドロシーの分、無難だけど、これはこれでとても可愛い。赤のワンピ水着で、フリルチュニックていうのかな、スカートが付いてるタイプね。
で、さらに箪笥の奥をごそごそやって、姫が取り出した水着は、何、それ、その紺色の、オレのですか??
「うーーん、後は、こんなのしかなくて。でも、地味な水着の方が、クリティの白い肌に合うかも」
いや、どう見てもスク水なんですが。競泳用ってことかな、水を弾く素材のないこの世界だから、水抜き穴付きの旧スクタイプ。って、待てよ、水を弾くなんて素材を開発できなくとも、魔法を付与すれば何とかなるんじゃね?
《これ、前世絡みの神様ネタ? 彼の性癖?》
《かもしれぬなぁ〜 スク水というのは、中途半端に大人な体の者が着ると、妙にエロいからのぉ》
いずれにしても、小学生よろしく、みんな、下着の代わりに水着を着こんで2号に乗り込む。マルベ近くの森のところまで来たら、ドロシーに運転を任せ、お昼前にはエリナの実家ニルスに到着した。
「ただいまぁ!」
「え! どういうことだ!!」
エリナの父ルーノを驚かすことにはなったが、事情を話すと娘の早い里帰りを喜んでくれた。
「休みは今日一日なのだろう? 屋敷に入ると挨拶やらなにやら面倒だから、そのまま馬車で敷地を通り、プライベートビーチへ行っててくれないか。後で食事などを運ばせるから。それに、あそこには誰もおらぬから、そのまま帰ってしまうといいだろう」
エリナの父、随分と理解者となってくれたようだ。細かい気を遣ってくれる。
だが、待てよ、敷地の中を馬車で通れるって凄くない? そうか! 二百年前までここは王宮だったはずだ。庭の噴水や大きなバラ園が当時の面影を残していた。
母屋の方は、白、空色、煉瓦色に塗り分けられた壁にグレーの屋根、各窓には豪華な装飾が施されている。ロココ調建築といったところか、宮殿といってもおかしくない立派な建造物だ。
で、そこはスルーして海の方へ続く道を行くと、海岸線から岩場で隔離されたビーチに到着した。差し渡し百メートルはあろうかという白い砂浜が広がり、海の家風の休憩場所まで完備している。ドロシーは海の家に2号を横付けした。
「じゃ、パラソルやビーチベッドは各自で組み立ててね」
オレたちは海の家で服を脱いで、パラソルなどをセッティングした。
皆で、横になる? と思ったら、早々にドロシーとエリナが水辺へ走る。お、珍しいな、姫とジャンが続いた。オレ、うーーん、キャラじゃないので、スク水のまま寝てるよ。




