レモンイエローのドレス
オレがドロシーと部屋に戻ったら、姫とジャンは外出の準備を整えていた。
「せっかくだから、エリナは、みんなで迎えに行きましょうよ」
「って、姫と打ち合わせてたっす」
「ま、それも、いいかもね」
「エリナお姉ちゃんだ! 会うのが楽しみ」
あっ、そうか! ドロシーは目立たぬよう、さっさとギルドに預けたから会ってないか。
で、早々、馬車に乗った。お客は三人、
5, 4, 3, 2, 1 Thund*rbirds are go!!!
オレたちは約束のマルベ近く、森の上空までワープした。
いつものごとく御者をドロシーに交代してもらい、街の入り口まで行くと、荷物を抱えたエリナが待っていた。
姫に会うのだから、目一杯のお洒落をしてきたのだろう。エリナはレモンイエローのバッククロス・オフショルワンピ、白のアンクルストラップサンダル、白いカーディガンを羽織って大きな麦わら帽子を被っていた。
「わずか一週間ですが、なんだかお久しぶりですわね」
「元気そうですね!」
「エリナ、また、よろしくね」
「エリナお姉ちゃん! ドロシーです、よろしく」
「はじめまして、ジャンっす」
アレ、なんだろ? ジャン、ちょっと口調が硬い気がする。
「お二人のお噂は予々聞いておりますわ。よろしくお願いします」
ジャンの視線に気付いたのだろう、エリナは。
「ジャンさん、何か?」
「エリナさん、その格好なんですがね……」
「って、いいでしょ? このワンピ」
「あのですねぇ、俺たちは冒険者です、命懸けで魔獣と戦うこともあるんです。貴女のようなお嬢様に務まりますかねぇ?」
ああ、ジャン、エリナの服が気に入らなかったらしい。まぁ〜 彼、浮ついた気持ちで冒険者をやっていた自分を猛省した上で、一生懸命、鍛錬してきたってことなのだろう。
「チャチャラした服着てきやがって、冒険者、舐めんなよ」という意図かな?
「何を仰います。そこにエルフの姫君がいらっしゃって、立派に冒険者をなさっているではないですか? この格好? もちろん、着替えはここに」
「失礼、ずいぶんと言い過ぎました。ですが、なんだか不安を感じましたので」
「分かりました! では、早々にクエストを受注していただいて、その不安、晴らしてご覧にいれますわ」
「言い過ぎた」という、テンプレで、おざなりな謝意を表されたものの、ああ言われては、向になっても致し方ないだろう。エリナは強い口調で、そう宣言した。
「まぁ、まぁ、ひとまず、みんな、仲良く馬車に乗ってね」
笑顔で取りなすルル姫、このあたりは、きっちり、そつない。
《エリナ、お洒落してきただけ、なんだけどな。ああいう突っ掛かりは、いただけん》
《ほぅ、主様、完全に思考が女子化しておるぞ、ま、ジャンの先制パンチは逆の意図だと思うが……》
《うん?》
《一目惚れした女の子の気を引く、高等テクニックではないかのぉ〜》
《ああ、ラブコメ展開でよくあるヤツ! コイツ、チャラ男、卒業なんかしてないじゃん》
「さって、馬車へどうぞ! ドロシー、運転をお願い」
ドロシーは御者台、残りの四人は馬車に乗り込んだ。
「凄い! 馬なし馬車なんて初めて見ましたわ」
「そ、ドロシーはパペッティアだからね、そして、クリティーはこれを丸ごと飛ばせるってこと」
四人掛けボックス席の馬車、どうしても、オレと姫は隣同士に座ることになり、ジャンの隣はエリナとなるわけだが、なんだか座り心地が悪そうだ。
「クリティ、できましたら、私、今日中にギルド登録を済ませたいのですが」
ああ言われたら、当然、そうくるわな。
「分かりました、でしたら、王宮に着いて荷物を置いたら、夕食前にギルドへ行っちゃいましょうか?」
ドロシーが街外れまで馬車を動かしてくれたので、オレと御者交代、ゆっくりと離陸を開始した。下を見れば、温暖なこのあたりのを象徴する、椰子の木が風にそよぎ、陽光を受けた海はキラキラと輝いている。
「ああ、あっちに海が見える!」
「わぁ〜 高くて気持ちがいい!」
「あああ、あの、揺らさないで下さい!!」
というような話をしていて、少々、高度を上げ過ぎた。五百メートル、スカイツリーの第二展望台くらいの高さだから、八十キロ先まで見渡せる計算だ。
《世界地図のその先は、この水平線の向こうということだろう? 特に変わった様子もないが》
《うむ、そうじゃのぉ〜》
《普通に、地中海を挟んで、スペインがあるのか?》
《機会をみて、飛んでみることじゃろうなぁ》
《だな》
「じゃ、ワープしますよ!」
オレたちは一瞬で、秘密基地・トレ●シー・アイランドの上空に到達した。ゆっくりと下降する、いやぁ〜 スウゥゥーッと、屋根が開いていく感じ、なんかテンション上がるわぁ〜
サンダ●バード、観たのはリメイク版だけど、国際救助隊の物語だからさ、禿げのオッサン、フッド以外、基本、悪者がいないわけ、なんか、そこが、いいんだよ。
「それでは、エリナ、荷物を置いたらベッドルームへ」
「え! 今日は、しない、わよ」
「ま、煽っても無駄よ。クリティは、私のもの」
「ねぇ、ねぇ、ジャンお兄ちゃん、どういう意味?」
「あのなぁ〜 ドロシー、分かってるくせに、わざわざ聞くな!」
「ってねぇ〜 ワープ用結界を使うのです!」




