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幼女転生だとぉ!!〜あの日舞い降りたオレの天使へ❤︎返せぬ想いは異世界で  作者: 里井雪
ストファイ

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ドラゴンスレイヤー

 オレはドロシーが差し出した、今は五センチほどの盾の裏に文字を刻んだ。魔法付与機のシャーレに乗せ、指輪と同様のエンチャントを施す。


「ありがとう。お姉ちゃん」


 ドロシーは盾を傀儡に取り付け、指輪はやっぱり左薬指に嵌めた。


「うん、うん、これで完璧だね。いい傀儡を持ってるよ、ドロシーちゃん」


 なんだか、ゼッド、嬉しそうだ。


「ありがとう、ゼッドおじさん」


「じゃ、ゼッド、お代は?」


「いいよ、凄い傀儡見せてもらったしな」


「時々、メンテナンスに来ていい?」


「ああ、いつでも歓迎さ」


 オレたちは、一旦、ネーヴェに戻り、溺れる人魚亭で夕食を食べて帰ることにした。


「おお、ドロシーちゃん、また、来てくれたのかい」


「ええ、夕食だけだけど、ご馳走になりにきました」


「ほいよ! いつものヤツ、食べてってくれ」


 ドロシー、随分とこの酒場では人気者になっていたようだ。冒険者と思しき、男どもが入れ替わり立ち替わり、酒盃を持って席に来てくれる。


「ドロシー、この人は?」


「ああ、私のお姉ちゃん」


「血は繋がってないですが、姉みたいなもんです」


「って、アンタ、シルバーランクの冒険者かい!」


「お姉ちゃん、こう見えて、とっても強いんだから」


「ああ、人は見かけによらないって、ドロシーちゃんには思い知らされ……」


 って、オレ、顔になんか付いてる? なんで、そんなに見つめてるわけ? 


「え! 待てよ、銀髪に赤いリボン、シルバーランクの小柄な冒険者って、アンタ! 例のドラゴンを一撃で倒したという噂の『ドラゴンスレイヤー』、その人、じゃねぇのか?」


「ア、アハハハ」


 おい、おい、そんな二つ名とかできてるわけ? というか、最初にオレ一人でドラゴンを倒した後、一ヶ月以上、ネルヴェにいたが、誰が倒したなんて噂はなかったはずだ。


 あれから一年以上、ネットもテレビもないこの世界では、情報伝搬速度が遅いということか? だけど、なんだかこの雰囲気、悪意とは別の意味でヤバくね?


「おい! みんな! ここに大英雄様がいるぞぉ!!!」


 うわぁ〜 なんか、冒険者が集まってきちゃっての質問責めになっちゃったよぉ〜 でも、なんだか、ドロシーも楽しそうだし、いいかぁ〜


 こういう時は、「前世を語れず」の制約が役に立つ、これを言っておけば物事を詳細に語らなくても済んでしまうのだから。


「それはそうと、同じタイプのドラゴン、四体とも倒されたって聞いたが、それもアンタかい?」


 なぜ、こっちは、すぐに情報が回ってる? この世界の噂が広まる速度は、偶然に支配され、一定じゃないってこと?


 いや、待てよ? 学園長の為人(ひととなり)から類推するに、ギルマス、あれはあれで、いい意味での食わせ物なんじゃないの? ポジティブな情報を流すことで、オレたちのステータス、社会的地位を上げようとしている?


 悪いことでもないと思うが、その意図は? そもそも、前世研究の大家で、かつ、そんな配慮のできる大物が、なぜ、こんな田舎町でギルマスやってる? ま、こりゃぁ〜 後日、ゆっくり聞かせてもらう必要があるかもしれない。


「それはね、みんなで、倒したんだよ!」


「なるほどなぁ〜 今更、アンタらの強さには驚かんが、アレ、かなり高額の賞金が掛かってたんじゃねぇか?」


「あ、分かった。分かりましたよ。これから先は奢りってことで!」


「いやぁ〜 悪いなぁ〜 要求しちまったみたいだ」


「つて、モロ、してますよ。でも、みなさん、どうぞ飲んで下さい!」


 てな、成り行きとなってしまい。バデルの親父、随分負けてくれたのだけど、今夜の飲み代は銀貨七枚でしたぁ〜


「さて、ドロシー、ギルドの中庭を使わせてもらって、帰ろうか?」


「酔い覚ましに、森の方まで歩いて行くのは、どうかな?」


「そもそも、酔ってないでしょ?」


「気分の問題だから、お姉ちゃん」


 確かに、夏の夜、秋近しの涼風が立ち、虫の大合唱を聴きながら歩くのも悪くないと思う。


「ドロシーって、虫の声聞こえる?」


「うん、なんで?」


 言語の差らしいのだが、生まれつき日本語を解する人は、虫の声を左脳、言語脳で「言葉」として聞いている。


 一方、他言語のネイティブは、右脳、すなわち「騒音」として聞いてしまう。「無駄な音」と脳が判断してカットしてしまい、西洋の人などは虫の声が聞こえない、という現象があるようだ。


 って、ここの言葉は、英語に近いけど、まぁ、魔法のある世界の住人、脳の動きが根本的に違うのかもしれない。


 で、ブラブラと二人で歩き、街外れの人目に付かない場所まで来たのだが。


「うん?」


「なんか、嫌な臭いするね」


 ああ、酒場で金の話をしたり、ましてや、羽振りのいいところを見せるのは、ご法度。知ってはいたんだけど、迂闊だった。ヤンキーとしての勘が鈍っちまったなぁ〜


「聞いてたぜぇ、お姉ちゃん方、随分とお金持ちらしいじゃねぇか、少しでいいから、恵んでくれよ」


「お兄様方、人は見かけによらぬ、なぁ〜んてのも聞いてたでしょ? 怪我しないうちに、帰って寝た方がいいと思いますけど」


「フン、いくら強いったって、お前ら、武器も魔法の杖さえ持ってねぇ、まったくの丸腰じゃねぇか」


 うーーん、魔獣を倒して魔石を売るのがメインの冒険者、どう転んでも荒くれ業には違いない。こういう良からぬ手合も中には混じっている、ということだ。


 オレたちは、いかにも三流冒険者、恐喝でもしないと食っていけないような三人組に囲まれた。

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