冒険者パーティ結成
ああ、そうだ、そうだ、オレたち、どこへ行くのか言ってなかったっけ?
始まりの街ネルヴェだよ。冒険者やるならギルマスとは知り合いだし、なによりドロシーを預けてきてるしさ。ま、いずれにしろワープがあるので、どこでやっても同じなんだけどね。
オレはネルヴェ冒険者ギルド上空から、ゆっくりと中庭に着陸した。
トントン
「おかえりなさい! 姉御」
「お姉ちゃん、おかえり」
「ルルメリア姫様、クリティ殿、ようこそ当ギルドへ」
予めギルマスには手紙を出しておいたのだが、ジャンとドロシーも待っていてくれたようだ。
お姉ちゃん? なんだか、ドロシー、「普通」というか、見た目の年齢に相応しい口調になってる気がする、ギルマスとジャンの心遣いが、大きいのかもしれないな、感謝、感謝だね。
結局、この二人にエリナを入れた五人でパーティを組んで、冒険者というのは成り行き上の必然だろう。で、冒険者として彼らの評価をオレ流に述べると、だなぁ〜
まず、姫、レベルはまだLv.40と低いが、治癒・強化魔法特化型、MNDについては努力に努力を重ねてカンストしている。さらに、例のゲンチアナクリスタルで作った杖による魔力嵩上げもある。
ゼッドに依頼して、あれを使った短杖を製作してもらったのだが、最近、周りの影響で厨二病気味のオレ、シャフト部分に蛇が巻き付いたデザインにして、その上部にゲンチアナクリスタルをはめ込むようにした。
そう、アスクレピオスの杖風デザインだ。
もちろん、見た目だけでなく性能も凄い。治癒・強化魔法の効果をブーストするという基本性能はもちろん、ネトゲでいうところのファストキャスト効果もあるようだ。
この世界の魔法もゲームと同様リキャスト時間があり、一度発動したら一定時間使えなくなる。詠唱しても何も起きず、空振りに終わるという意味だ。もっとも、どう頑張っても詠唱時間は短縮できないが、この杖があれば治癒魔法を連続詠唱することができる。
しかも、しかもだ、これもネトゲと同じく魔法には射程距離という概念が存在する。そう、この杖は至れり尽くせり、射程を通常の二倍ほどに伸ばす効果もある。
ヒーラーにとっては、より安全な場所から前衛に治癒魔法を唱えられるということになり、まぁ、正に神器だろう。
彼女にはピアスの神器もあるわけで、オレの傍にいれば守りも完璧、ほぼ心配はない。
続いてエリナ、彼女も基本レベルはまだ、Lv.40、だが、DEX、AGIが高く、ステータスでは測れない矢の命中率は神業に近い、姫と同様、比較的安全な後方から攻撃するアーチャーという役割上、そう心配はしていない。
さらにドロシー、まだ子供というのは気にはなる、なるが、大人並みの判断力と見識を持っていることは確かだ。
ディア、姫、オレの説得もあるが、ギルマスやジャンの力で、本来の彼女なのだろう、素直な性格が表に出て来た気がする。自ら進んで仲間の輪に入ってくれるのではないか。てか、彼女、本当は何歳よ?
いずれにせよ、彼女、Lv.90なわけで、レベルだけ考えれば一番強い。また、パペッティアは傀儡を盾役にできるということで、パーティ構成上とてもありがたいクラスだろう。
うーーん、最後のジャンが、一番不安なのだよ。この構成だと物理アタッカーだけど、微妙に中途半端、Lv.60といえば、一応、冒険者としては一人前で、短期間ですごく頑張ったとは思う、思うけどねぇ〜
ああ、そうだ、ドロシーとジャン用にリピーター指輪、作って渡しておかないと!
《心配し過ぎじゃぞ、主様、全員を守ろうなどと、妙な考えを持つでない》
《ああ、分かってるよ、オレが考えているより、みんな、ちゃんとしてるってことだよね》
「お二人とも、こんな田舎街を冒険者としての拠点に選んでいただき、本当にありがとうございます。早々、ルルメリア姫様の認識票をお渡しします」
お、コパークラス! ギルマス気を使ったな、メディス学園を出て冒険者になろうなんて酔狂な貴族はごく稀だが、ギルド側の規定としては、学園卒業生の場合、見習いクラスを免除されブロンズから始めるのが普通だ。
デフォの一クラス上を準備してくれた、ということだろう。
「姉御と冒険者パーティを組む、マジ、俺の目標だったわけで、もう、嬉しくって、嬉しくって……」
おいおい、ジャン、涙ぐむって、なぁ〜 大袈裟過ぎだろ。
「ドロシー、お姉ちゃんのお役に立てるよう、この数ヶ月、すっごく頑張ったんだから、ね」
「ちょ、なんで、クリティだけ? 私、私は??」
「ああああ、よろしくっす」「よろしくね、大お姉ちゃん」
「もぅ」
「まぁ、まぁ。じゃ、久々の再会とパーティ結成ってことで、これから溺れる人魚亭で早めの夕食としましょうか。ギルド閉めちゃって、リムゲイムさん、レンカさんもご一緒に、いかがです?」




