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幼女転生だとぉ!!〜あの日舞い降りたオレの天使へ❤︎返せぬ想いは異世界で  作者: 里井雪
エリナ

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人形の涙(The true tears of a doll)

 で、ストーリーだよね?



●メディス学園・謝恩祭:演劇「The true tears of a doll(人形の涙)」


<出演>

 探求者(Seeker):ルルメリア・アクティーヌ・ヘリオーティス

 メイド人形(Automatos):エリナ・ルメール


<脚本・演出・その他>

 クリティ


*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*


 神の教えに背き享楽の限りを尽くした人類は、ついに滅亡の時を迎えようとしていた。全ての文明は破壊され、魔獣に怯え穴蔵の中、原始人のような生活を営む人類。


 だが、絶望の中の僅かな光、かつて栄えた文明を取り戻そうとする男たちがいた。魔獣蠢く大地を超え、ロストテクノロジーを求める者、彼らは、探求者(Seeker)と呼ばれ敬われていた。


 これは、ある探求者の物語だ。


 その男は最上級の宝物が眠るといわれる城塞都市、封印されし街への潜入を、無策にも単身で試みた。城塞を超えたまではいいが、強力な魔獣に追われ、とある屋敷に逃げ込んだ男。


 そこで彼が見たものは……。


 帰るはずもない主人をたった一人で待つ、メイド型オートマタだった。突然の来訪者を客人(まろうど)として、丁重に持て成そうとするメイド。だが既に屋敷の設備は動くことも能わない。


 しばし魔獣を避け、屋敷に逗留する男だが、メイドと話す内、彼女の切なる願いを知る。


「ご主人様の大好きだったパンケーキを焼きたい」


 オーブンも故障しており、火を起こすことはできない。男は探求者としての知識を総動員して、オーブンを復活させる。メイドは大喜びで、なけなしの小麦を使いパンケーキを焼くが、途中で火が消えてしまった。生焼けのパンケーキ。


「ああ、これでも、十分、美味しいよ……」


 次第次第に心を通わせていく二人。だが、別れの時が来た。屋敷に備蓄された食料はほどんどなく、人が長期間暮らしていくことなどできない。


「じゃ、行くから」


「待ってください。城門のところまで、ご案内します」


 メイドの案内により、魔獣をうまく避けながら、何とか城門付近にたどり着いた男。


「本当に、ありがとう。では、ここで」


 二人は別れ、男は城門に向かうが、城壁の陰に潜む大魔獣に襲われる。たった一発しかない対魔獣兵器を使おうした男。


 だが、間に合わない!!!


 と、その時。


 迫り来る魔獣の爪に、身を挺して男を庇うメイド。メイドが作ってくれた一瞬の隙をついて、男は大魔獣を倒した。


「なぜ、俺を、俺のようなつまらぬ男を庇った?」


「何を仰います。貴方様は、この世界を救う者、探求者でいらっしゃいます」


 これが人なら即死だろう。だが、オートマタであっても、下半身を魔獣の爪にざっくり削られれば、もはや死の運命から逃れることなどできない。


「しっかりしろ、俺が、俺が、修理してやるから!」


「こんな時、人は泣くのですね。でも、残念ながら、私は量産型オートマタ、涙を流すことはできないのです」


「死ぬな、死んではいけない! 君には使命、屋敷を守るという役目があるではないか?」


「そうでしたね、私は主命を守らぬ愚か者、ですが、貴方を助ける、その想いに抗えなかったのです」


 メイドは頬を染め、こう続けた。


「私は、オートマタ、痛みを感じることなど、ないはずです。ですが、どうしたのでしょう? この熱く切ない胸の痛みは。この気持ちを表す言葉、分かりません、私の辞書から、どうしても見つけ出すことができません」


「そ、それは!……」


「申し訳ございません、お別れの時が来てしまったようです。もう、貴方様のお顔は見えず、お声も聞こえません。私は、今、天に召されますが、その魂は永遠です。また、いつかお会いできる日を楽しみにしております」


 彼女の死を悼む、雨粒が一粒、二粒。メイドの頬に雨が伝う、まるで、涙のように。


*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*




 照明が消え、緞帳が降りる。巻き起こる万雷の拍手が、大きく、大きく広がって行く。拍手は、やがて手拍子となり、いつまでも、いつまでも、続いていった。


「姫、エリナ、そろそろカーテンコルかな。って、なに、え! 私は裏方だから!」


 二人に両方から手を繋がれて、オレはそのまま舞台へ、降りた幕の前に立つ三人。手拍子は、再び、拍手に変わる。いや、なんで、オレ真ん中なわけ? 三人は繋いだ手を上にあげ、深くお辞儀をした。


 礼をして、ふと客席を見ると、まだハンカチで止まらぬ涙を拭いている人がいる。うん、うん、そもそも元ネタが、ハイパー泣きゲーだけどな? 頑張って脚本書いてよかったよ。


 袖に戻ろうとすると、学生だと思うが、少女三人が花束を抱えて走り寄った。


「ル、ルルメリア様、こ、これを」


「ありがとう」


 ナニ、ナニ、そのバリトン、姫、わざと低めの声で喋ってる。まるで、宝塚のトップスターみたいじゃん。三人の女生徒は耳まで真っ赤、ヤバくね? 失神寸前に見えるが。


「キャァァァァ ❤︎❤︎❤︎ !!!!」


 客席の女生徒全員から嫉妬の悲鳴が響く。まるで耳から触手が侵入し、脳をかき混ぜられているようだ、二千ヘルツのメゾソプラノが講堂にリバーブした。

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