円周比経
ここは青の世界の一つのヘイム『サクラヘイム』のさる寺で、雨の降る中一人の和尚が木魚を叩きながら何かしらのお経を唱えていた。
「サンテン~~、ヒトヨイコクニムコウ~~、ミツゴヤクナク~~」
和尚がお経を唱え終えると、一人の少年が和尚に尋ねた。
「和尚さん、今の何と言うお経?」
「うむ、これは『円周比経』というのじゃ。」
「エンシュウヒキョウ?」
「円周比経とは、数を扱う学問に使われる『円周比』を経典としたお経じゃよ。わしも若い頃、円周比経の写経をしておったのじゃ。」
「円周比経のお経の意味って何?」
「『三天、人よ異国に向こう、三つ子厄無く』……、実は経典自体に意味はないのじゃよ。ただ、円周比の早覚えくらいじゃな。」
「エンシュウヒを覚えたら何の役に立つの?」
「円周比を覚えると、円の周りの長さや面積の広さと球の表面積の広さや体積の大きさを求められるぞい。ああ、それから……、ん?」
和尚が外を見てみると雨が上がっており、太陽が雲から覗き込み、大きな虹がかかっていた。
「わ~!大きくてきれいな虹だ~!」
少年は大きな虹に喜んだ。
「そうじゃ、虹の大きさも求める事が出来るぞい。」
「うん、和尚さんありがとう。僕、『玉術』頑張るよ。」
「読み書きも忘れずにな。」
「うん!」
少年は和尚に一礼して寺を後にした。その後、少年は学問に勤しみ、やがて世界的な学者へと至るのだが、それは別の物語。
玉術……『算盤』にあたる学問。