聖剣 エクスカリバー!!のはずが
お久しぶりです。感想を読んで思いました。完結まで書き続けようと
「アーネットさん?」
「なんですか?」
「戦争止めるの無理ですよね?あの魔王様より強いんですよね?子供の姿ならともかく、怒ってムキムキの姿はやばいですよね?」
「大丈夫です。なんたって今回の魔王様は歴代最弱。あの程度は超えてもらわないと困ります」
「あの程度って。 そ、それならアーネットさんは魔王様より強いのですか?」
「もちろんです」
「・・・・・・・」
魔王ってなんだ?!
私の中での魔王というイメージが粉々になってしまった。
歴代最弱なら今までの魔王はどんな化け物だったのだろうか?
疑問に思って聞いてしまった。
「歴代の魔王様の偉業ですか?そうですね。
例えば一人で数万人の人間の軍隊を蹴散らしてきたり、空島を落としたり、ですかね?」
「空島?」
聞いたことない言葉が出てきた。
空島ってなんだ?
漢字を想像するに空にある島なんだろう。
「空島は空に浮いていた島です。どういう仕組みで浮いていたのかわかりませんが。」
空に浮く島か〜。
すごいファンタジーだな。そんなものを落とすなんて勿体無い。
「なんで魔王様は空島を落としたのですか」
「空島が太陽を遮り、魔王様の日光浴の邪魔をしたからです」
怖っ!!
もはや暴君などという甘い言葉では表現し尽くせない身勝手さだ。
「魔王様って恐ろしいですね。それにしても空島見てみたかったなぁ〜」
「あら?気になるのですか?空島の一部ならありますよ?」
ほんと?それは見てみたい!
もちろん浮いているよね。聞いてみたらちゃんと浮いているみたい。
「なるほど。それなら丁度いいタイミングですね。空島を見るついでに渡せそうです」
「何がですか」
「武器と防具のことです。流石に勇者様といえども何もなしで送り出しては死んでしまいます。」
そこら辺はしっかりしてくれているのか。
何も渡されずにいきなり戦争を止めに行かされるのかと思っていたよ。
「なるほど。それで武器はどこにあるのですか?」
「勇者様用に作ってあった特別な武器です。ここ魔王城の地中深くの秘密の場所で眠っています。」
なるほど。魔王城の地下にあるのか。
そして武器をもらいに行くついでに浮島が見れると。
確かに浮いている島なんだからそこら辺に放置すると勝手に飛んでいくわね。
「アーネットさん。私、浮島が見てみたいです。早く行きましょう」
「分かりました。それでは着いて来てください」
きっと魔王城の地下の秘密の場所にはどうやって行くのだろう?
秘密の場所って言っていたからきっと普段は隠されている通路を通るのかな?
例えば、床が外せて階段が現れるタイプとか?それとも本棚を動かすと新たな通路が現れるタイプかな?
「それではしっかりと足をつかんでくださいね?鷲さんも手を掴んでいますがもしもの時に備えてです」
連れてこられたのは、足が三本ある大きい鷲が何匹もいるところだった。
なんで?
地下通路は?地中にあるんじゃないの?鷲って空を飛ぶ生き物だよね?
それとも最近の鷲は穴を掘るの?
「風も強いのでかなり揺れますが、楽しみましょう」
初めは楽しかった。なぜ鷹につかまって飛ばなければいけないのか。いったい私はどこに向かっているのか。
これらのことは全く不明だったが魔王城のそこそこ発達した城下町を眺めるのは楽しかった。
街についてもたくさん教えてもらえたし。
しかし今はそんな気持ちは吹き飛んでしまった。なぜなら
「いやあああああああ!高すぎぃぃぃ」
先ほどまで見下ろしていた街はそこにはなく、あるのは遥か下に見える地面だった。
先ほどまでは10メートルほどの高さを飛んでいたのに、いまは何千メートルだ?
地面が丸く見える。
まるで地面が無くなったようと言うか実際に無くなっているのだが。
「アーネットさん!!地面がなくなりましたよ!どうなっているのですか!?」
「あら、勇者様ご安心ください、地面ならちゃんとあります。初代魔王様が消し去ったところでもないですよ」
ちがうそうじゃない。
初代魔王様が地面消し去った話も気になるけどそこじゃない。
「あ!勇者様横をご覧ください!あれが浮島の一部です。」
私の叫びを全て無視したアーネットさんが私に指差しながら教えてくれた。
そこには本当に浮いている島があった。一部という表現がほんとにあっているのかわからない大きさだけど。
もし本当に一部なら前はどのくらい大きかったのだろうか。
「勇者様、あそこの穴が見えますか?」
「見えません」
「分かりました。今からそこに向かいます。」
何も分かっていなさそうな返事が返ってきた。
しかしだんだん近づいてきて分かった。人ふたり通れるほどの大きさしかない。しかも浮島のかなり深いところにある。 こんなの見つからないよ。
「こちらが剣と防具のある部屋です。ここからは勇者様しか入れない部屋となっております。」
特に何の変哲もなかった洞窟をしばらく進むと目の前に豪華な扉が現れた。
アーネットさん曰くこの扉は異世界人に反応して開くらしい。そしてその中にあるらしい。
試しに扉に手をかざしてみると不思議な魔法陣が手をおおったと思った瞬間全身が魔法陣に囲まれ、体が無理矢理引っ張られるような不思議な感覚に襲われた。
「ん・・ここは?」
「目覚めの時がきたか、業を背負いし者よ」
「カルマ? というかここはどこ?誰が話しているの?」
あたりを見渡しても誰もいない。
あるのは台に刺さっている剣だけだ。
「私だ、業を背負いし者よ。目の前の剣だ。」
「あー剣が喋っている」
剣が喋るくらいなら普通じゃない?