異世界転生!!のはずが
「はるか昔、人族と魔族は戦争を行っていた。困り果てた王様は異世界から助けを求めるべく、勇者サトウを呼び出すことにした。無事に呼び出された勇者サトウは戦争を止める旅にでて、頼もしい5人の仲間を得て、無事戦争を止めることができた。。」
この物語はそんなサトウの物語である。
━━━━━━━━━━━━━━あべこべヲ
意識がふと戻り、目を開けるとまっさきに飛び込んで来たのは白い天井だった。
なんで? さっきまで外にいたはずなのに!?
「おぉ!無事に成功したぞ!」
「姫様!無事に異世界から召喚出来ました!」
なんかすんごいゴワゴワしたロープを羽織ったおじさんのような人達が今いる魔法陣(?)のような物の周りにずらりと並んでいる。
みんな疲れていそうだ。
「あなたが異世界人ですか?」
姫様と言われた女の人がそう聞きかけた。
「異世界人?ここは地球じゃないの?」
「チキュウ!やはりあなたは異世界から来たのですね!
申し遅れました。私セルビア王国の第1王女 セルビア=アーネットです。」
そう言って女の人はお辞儀をした。
あっ、どうも。
「あのー、アーネットさん?」
「貴様!!アーネット王女に無礼だぞ!!」
突然王女の近くに控えていた偉そうなおじさんが剣を抜いた。
「やめなさい!異世界人に失礼ですよ!」
「いや、しかし王女様をさん付けなど無礼極まりないですぞ!」
「いいのです。ヘベレケ大臣。異世界人はこの国を救ってくれる希望になるかもしれないのですよ!」
「失礼しました。姫様」
そう言っておじさんは下がって行った。
「えーと、アーネットさんでいいんだっけ?」
「はい。そのようで構いません。それと貴方のお名前をお伺いしても?」
しまった。まだ名乗ってなかった。
「私の名前は『佐藤 凪』です。趣味は読書です。よろしくお願いします。」
自己紹介のつもりで喋っちゃったけどいいかな?
「サトウ様ですか。何かお聞きしたいことはございますか?我々に答えれるものならお答えできますが。」
少し待ってくださいと言って自分の状況を整理することにした。
この状況はあれだろう。異世界転生と言うやつだろう。
見るからに地球じゃないし。
そんで、国を救ってほしいと。
これは勇者コースだろう。
「勇者サトウ」 異世界転生ものだとよくある名前だ。
確かに私は佐藤だ。けど普通、転生されるのって男子の佐藤じゃないの?
私、女よ! 別に女じゃダメとかないだろうけど。
剣を振る力とかあるのかしら?
けどなんでこんな異世界転生なんてしてしまったんだ?
思い出せ、私!
確か学校へ行く途中だった気がする。
「いっけなーい。遅刻遅刻!」
朝食の食パンを咥えながらダッシュで走る私。この日も遅刻しそうだったんだ。
そして学校へ行く最後の曲がり角を曲がった。
そしてそう、思い出した!その曲がり角で運命的な出会いをしたのよ。
何とガス管の工事で道がぽっかり空いていたのよ。
曲がり角を曲がる前でもしっかり見える状況だったのかもしれないけど、私急いでて、時計ばっか見てたのよね。
そしてそのまま落ちて、バットエンド。
やばい。恥ずかしい。
そもそもガス管程度の深さで死んじゃうものなの?
なんかモヤモヤするけど、なんでここにいるかはわかったわ。
「それじゃ質問なんだけど、ここはどこ?地球じゃないよね?」
「はい。ここはアビロンと呼ばれている世界です。そしてこの国はセルビア王国。2000年前から続く由緒正しき王国です。」
ほ〜。アビロンと呼ばれる星とかじゃないのね。世界なのね。
「おっけー。わかったわ。それで私は何をすればいいのかしら?戦争を仕掛けた魔王を滅ぼせとか?」
その瞬間、あたりに緊張が走った。騎士っぽい人は剣を抜いちゃったけど。
「あら?私変なこと言っちゃったかしら?」
「サトウ。あなたはここがどこだかご存知?」
さっきまで優しかった。アーネットさんが激おこだ。頭に角がはえているように見えてきた。
「えっと、セルビア王国でしょ?」
「何の王国かご存じ?」
え?見るからに人間じゃないの?今はアーネットさんは激おこで角はえてるけど。
「え?人族の王国じゃないですか?」
そう言った瞬間、しゅんとあたりの緊張感が無くなった。
「あら。サトウ様は勘違いをしておられますね。ここは人族が住んでいる国ではありません。私たち魔族が住んでいるのですよ?」
ええええええええええええ!!!!????