表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/142

第76話 【ホルモンと胸肉】

★祝★20万文字達成! うひょー! やったね鷲空!


なのに作中では一週間しか経過していないとさ。チャンチャン

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 



「セレスは今頃なにをしてるでしょう」


 デリカシーのない男がものすごい失言をした。

 30分ほど前に暴漢を片づけたふたりは、それからずっと歩いている。


「はぁ……〝でーと〟中に他の女を気にするのみならず、あまつさえ、それを口にするとはのう」


「はぅわッ! すみません!」


「……まあよい。セレスの奴は、昼過ぎから、こず枝とふたりで菓子を作ると言っておったが」


「セレスがこず枝と? よかった。仲良くやれてるんですね」


「仲良くじゃと? はぁ、お主は相当なアレじゃな」


「へ? アレって?」


「こりゃ! いつまで他の女の話をするつもりじゃ。もっと、その、わ、ワシを見んか!」


「ヒッ! す、すみません!」


「まったく、お主ときたら……」


 そう言いつつもイライアは怒ってはいなかった。

 焦る礼二郎の横顔を、柔らかい表情見つめ、そして愛おしそうに呟いた。


「今は、ワシだけを見んか、馬鹿者……」



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 

 


「ロリが、お主の(しとね)に忍びこむ件じゃが」

 

 礼二郎の腕にしっかと抱きついた美魔女が言った。


「ベタさんから聞きました。お手数をおかけします……」


 腕をバレない程度に動かし、オッパイの弾力性を確かめる実験に余念が無い男が言った。

 周囲から羨望と怨嗟の眼差し受けつつ、礼二郎は美人なんちゃってOLと歩いている。


「ベータから? ああ、献身介護のときじゃな。昨日ようやく完成したのじゃ」

「け、献身介護……コホン、創ってくださったのは、新しい魔術の呪文でしょうか?」

「今回は丸薬じゃ。ワシの魔術と幾多の薬草を練り込んでおる」

「魔術と薬草を。それで、どんな効能が?」

「それは飲んでからのお楽しみじゃ。でーとが終われば渡すゆえ、楽しみにしておれ」

「あれ? 持って来てるんですか?」

「うむ。じゃが今は渡せん。でーと中に飲まれてはたまらぬからな、ククク」


 意味深に笑うイライアの顔を見て、礼二郎は少しイヤな予感がした。


 ちなみに代金は、いつものごとく請求されなかった。

 今回作ったという丸薬も、一月分金貨100枚、つまり1000万円はくだらないだろう。

 ありがたやありがたや。


 イライアの作り出すものは、市場に出ると目玉が飛び出るほどの値がつく。

 ちょっとした護符でも金貨10枚以上だ。

 

 高値でも買い手がつくのは、イライアの名に信用があるからだ。

 そして、信用は実績の上に成り立つ。

 つまり、イライア印の商品は、ものすごく高価だが、ものすごい効果があるってことだ。


 効能については、まあ実際に飲んでみればいい。

 イライアの魔術に間違いはないのだから。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 

 辺りが暗くなった頃、ふたりの会話がだんだんと途切れがちになった。

 

 ついには、ほとんど無言になる。

 ふたりはぴたりと寄り添ったまま歩いていた。

 言葉はなくとも気持ちは通じている。

 ふたりは共に、ある場所を捜していたのだ。


 やがて、公園を見つけた。

 街から近いわりには、大きな公園だった。

 礼二郎は迷わずその公園に入った。

 礼二郎を掴むイライアの手にほんの少し力が入り、そこからイライアの緊張が伝わった。


 そして薄暗い場所にあるベンチを見つけた。

 ここがふたりの探していた場所だった。

 

「師匠……」「ん……」


 ふたりはぴたりと寄り添ったまま腰を下ろした。

 薄暗く、人気が少ない、ふたりっきりになれる場所。


「……」「……」


 ときおり聞こえる車の音以外は、なにも聞こえない時間が続いた。

 不快な静寂ではない。

 逆だ。

 最高にエロチックで、最高に贅沢な沈黙だった。

 永遠にこのままでも構わないと思えるほどに。


 礼二郎は、ずっとチラチラとイライアの横顔を見ていた。

 

 シミひとつ無い白い肌に、高い鼻。

 大きな目に、長いまつげ。

 そして、少し厚みのある柔らかそうな唇。

 

 イライアは同じ姿勢のまま下を向いている。

 礼二郎が見つめていることには、当然気付いているだろう。

 

 イライアは待っていた。

 イライアがなにを待っているのか。

 礼二郎はそれを知っている。

 この公園に入る前からずっとわかっていた。

 イライアが待っているものを礼二郎は与えることができる。

 だが、それを行動に移せば、セレスを裏切ることになるのではないか。

 セレスを想う自分の気持ちに、偽りの烙印を押すことになるのではないか。

 いや、ここに来た時点で、すでに礼二郎はイライアの……。


「師匠、なにか飲み物を……」


 葛藤に決着をつけることが叶わず、適当な理由を口に立ち上がった。


「よい、喉は渇いておらぬ。それより……」


 その礼二郎の服を、イライアがそっとつまんだ。


「なんでしょ……ウワォッ!」

 

 振り返った瞬間、礼二郎はリアクション芸人がごとく叫んだ。

 俯瞰から見る魅惑の谷間は、思わず声を上げてしまうほど大迫力だったのだ。

 イライアの身長が高いせいもあって、今までは、ほぼ正面もしくは、真横からのからしか鑑賞できなかった。

 少しアングルが違うだけで、こんなにエロさが増すものなのか。

 

 さらに、その下にある絶対領域と、編み編みガーターストッキングとの絶妙なハーモニー。

 美とエロスの共演。

 これぞ芸術、これこそが芸術だ。

 まるで呪いのように視線を吸い寄せる。

 だが露骨にジロジロ見るとバレてしまう。

 ああ神よ、なんという試練を我にお与えか。

 あ、女神様、あなたには言ってません。


(くっ! こんなにエロ……コホン、美しいものをじっくり見られないなんて! )


「ウワォとはなんじゃ。まあよい。実は話したいことが、いや、話したくないことがあるのじゃ」


 イライアが真面目な声のトーンで言った。

 なぜか、泣きそうな目をしている。

 そしてイライアが、礼二郎の目から少し視線をずらした。


「話したくないならことなら無理に話さなくても……」


 視線がズレたのをこれ幸いに、礼二郎は少し大胆にイライアの胸をのぞきこんだ。

 眼下に広がる雄大な谷間。

 壮観である。

 その絶景たるや、さながらグランドキャニオンのごとし。

 グランドキャニオンを見たことないが、その風景は、さながらこの胸の谷間がごとく感動するに違いない。

 いつか行ってみたいものだ。


「それで済むならそうしよう。じゃがお主と、その、こ、この先に進むならば、話さなければならぬのじゃ。聞いてくれるか?」


 イライアは礼二郎の服から手を離し、絶対領域の上に載せた。

 

(なにぃッ!)

 

 礼二郎は危うくまた声を出すところであった。

 なんと、イライアが視線を礼二郎から完全に外したのだ。

 今はジッと地面を見つめている。つまり……

 

(うひょー! 今なら思う存分ガン見できるぞ!)


 というわけで、歓喜に打ち震える礼二郎は、立ったまま(意味深)血走った(意味深)目で話を聞くことにした。


「……はい」


 しかし、どうやらこの先の話はさらに深刻なようだ。

 真面目に聞かなければ礼を失する。

 そう思いつつも、胸の谷間を食い入るように見つめる礼二郎であった。

 思春期だから! だって思春期だから!

※後書き


ホルモン=礼二郎の男性ホルモン

胸肉=おっぱい


★主人公へのフォロー★


礼二郎君は我慢しすぎて、少しおかしくなってきています。

でも仕方の無いことなのです。


今の状況は例えるなら、ずっと食事を摂っておらず、飢えに飢えていて、その目の前に信じられないごちそうが並んでいる状態です。

しかも、そのごちそうは、礼二郎が妄想していた理想的な料理そのものです。

さらに、そのごちそうは(兄以外からは)食べてもいいと言われています。


しかし礼二郎君は食べません。

まだ食べてはいけないと思っているからです。

(兄からの〝待て!〟を守っている)


ですが、匂いだけ嗅いで、食べたときのことを想像してしまっています。

どんな味だろうか? どんな食感だろうか? と、よだれを垂らしている。

それが今の礼二郎君です。

鋼の精神力で己を律しているのです。


セレスさんを大事に想っていますが、イライア様もまた大事なのです。

むげに拒絶はできません。


以上、フォロー終わり! 解散ッ!



※次回更新は六時間後、8月3日(土)午後3時過ぎです。

 

予告)礼二郎君、またまたキスをする!? いえ、するのは78話です!

『第77話 【魔女の告白(1割)、賢者の煩悩(9割)】』の巻


お楽しみに! ジャンケン、ポン! ウフフ! ンガフッフ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品を読んで頂きありがとうございます!
少しでも気になった方は、一度作品の評価をしてくれると、うれしいです、うれしいです、うれしいです!(☆☆☆☆☆をタップするだけです)

★★★★★で、応援していただけるとすごく励みになります!


ブクマもうれしいです! 超うれしいです!
気に入らなくなったら、遠慮なく評価を取り消して構いません(※同じ場所をタップすれば簡単に取り消せます)
script?guid=on<
『転生したら悪魔ハーレムでした!?~愛弟子に毒殺された錬成術師は魔人となり7人の美女悪魔を仲魔にして王族に転生する』
こちらもブクマ&評価で応援いただけると大変励みになります。
 小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ