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第6話 【最強賢者の秘密】

「あ痛たたッ。い、イライア殿ッ。それに、みんなもッ」

 

「セレス様、ぶっ飛ばし過ぎですッ」「抜け駆けは、いかんにゃッ」


 礼二郎の唇を奪おうとした女騎士の試みは、魔女によって阻止された。

 いつの間にか、ロリとシャリー、そしてイライアが、礼二郎の後ろに立っていたのだ。


「のぅ、セレスや。気持ちは、わからんでもない。そのシチュエーションで、そんな顔をされ、そんなことを言われたら、ワシだって、コロッと逝ってしまうかもしれん。じゃがな」


「そうです。約束違反ですッ」「抜け駆けはルール違反だにゃッ」


「す、すまんッ。あまりにいい感じなので、気持ちが盛り上がってしまったのだ」


「あの、師匠、いったい、どういう」


「なぁ、我が弟子よ。たしかに、ワシ等は皆、男にいい感情は持っておらん。じゃがな、ワシ等が、お主を好意的に見ているのはわかっておろう? それなのに、何年も一緒にいて、手を出すどころか、覗きひとつもせんとはどういうことじゃ? ワシに至っては、なんと10年じゃ。10年じゃぞ?」


「そうですッ」「そうにゃッ」「そうだぞッ」


「あ、あの、こんな人目の付く場所でする話じゃ」


「大丈夫じゃ。いまワシ等の姿は、誰にも見えておらんよ」


「え? あッ。け、結界ッ。いつの間にッ」


「なぁ、我が弟子よ。ワシ等を大事に思ってくれているのは、もう、十分過ぎるほどわかっておる。わかりすぎて、女としてのプライドがボロボロじゃ。じゃから、そろそろ一歩踏み出さぬか?」


「踏み出す、ですか?」


「そうじゃ、今晩ワシ等は、それぞれの部屋でお主を待つ。これで意味がわからぬと言うなら、今この場で石に変えてしまうぞ?」


「わかりますッ。意味はわかりますけど、僕には選べませんッ。だって、みんな大事な……」


「れいじろう様、選ばなくていいんです」

「そうだにゃ。これは、それ以前の問題だにゃ」

「そ、そうだッ。そう深刻に考える必要はないんだぞ?」


「と、言うわけじゃ。女にここまで言わせる時点で、お主も相当じゃぞ? もし今夜、この中の誰かとアレしたとしても、それでワシ等の仲が、どうこうなるわけじゃないのじゃ。なんなら、適当にクジで選んでもよい」


「そうですッ」「そうだにゃッ」「そうだぞッ。そりゃ、一番に選ばれるのはうれしいが」


「こりゃセレスッ。また、しれっと、ひとりだけアピールしおって。つまりは、こういうことじゃ。それでは、ワシ等は、これで部屋へ戻るとする」


「れいじろう様、お先に失礼します。ダンス楽しかったですッ」

「ご主人様、アチシが他の男と踊ったのは、浮気じゃないにゃッ。あくまで、ご主人一筋なのにゃッ」

「主殿ッ。わたしは主が来るのを、寝ないで、あ痛ぁぁっッ」

 セレスの脇にロリが突きを入れ、尻にシャリーが噛みつき、頭をイライアがはたいた。


「さぁ行くぞ。娘共ッ」


 そして四人の女性は去って行った。

「あるじどのーッ。あ痛ぁッ」

 ロリとシャリーに腕を引っ張られるセレスが、振り返ってなにかを叫ぶたびに、イライアから頭を叩かれていた。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 



「はぁ」


 礼二郎はテラスでひとり、ため息をついた。

 礼二郎もバカではない。

 女性陣の気持ちには、とっくに気付いている。

 しかし、一時の欲望で、大事な信頼を失う真似はしたくなかった。


 ――と、言うのは建前である。


 礼二郎は、いわゆる草食系男子である。

 性に対する欲が驚くほど少ない。

 しかし、それとは別に、礼二郎には深刻な問題があった。

 男にとって大変深刻な、とんでもない問題を下半身に抱えているのだった。

 

 具体的に言うと、いざことに及ばんとしたとき、アレがアレしないのだ。

 自分からその気になることは滅多にないが、この世界に来て15年、女性とのあれこれも少なからず経験してきた。

 少ないながらも、多少の欲は存在するのだ。

 

 しかし、いざアレがああなろうとしたときに、いつもアレがアレな状態に、アレしないのだ。

 

 去年とうとう、一度もアレすることなく30歳を迎えた夜に酒場で泥酔し、つい口が滑り『今日で僕、【賢者】になったんですよぉ。チクショーめッ。ウィー、ヒック』と言ったらしい。

 礼二郎が賢者と呼ばれ出したのは、それからだ。


 その事実を、大事な仲間達に知られたくなかった。

 知られて幻滅されるのが怖かったのだ。

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