表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/142

第29話 【最強賢者、最強になる】

『あ痛たたた。礼二郎くんッ? 礼二郎くんねッ。そうよッ。わたしは春香よッ。あぁ、これが礼二郎くんの番号なのねッ。すぐに登録するわッ。と、突然、どうしたの? なにか用事なら、わたしがそっちに……』


「春香さん、落ち着いてくれ。僕はもう家に帰ってるから外出はできない。携帯が手に入ったから、まずは春香さんにと思ったんだ」


 礼二郎は、佐々木春香とはタメ口で話す。

 春香が敬語を使うのを、よしとしなかったのだ。

 春香に対し敬語を使わないこと――それがお金を貸す条件のひとつだった。


『そう、なのね。でもうれしいわッ。わたしを一番に選んでくれたんだものッ。それに、わたしのこと忘れてなかった。それだけで十分よ』


「昨日会ったばかりなのに、忘れるわけないだろう。だが、すまない。まだお金は工面できてないんだ」


『いいのよ、お金なん……』

 そこまで言うと、春香は言葉を止めた。


「春香さん?」


『いいえ、ダメね。礼二郎くん、借りたお金には利息がつくものなのよ』


「はぇ? り、利息? すまない、僕の小遣いは月3000円なんだ。今月分は、とある事情でカットされたから、来月まで」


『甘いッ。甘いわよ、礼二郎くんッ。世の中とお姉さんとお金を甘く見ちゃダメよッ。お金がないなら体で払いなさいッ』


「か、体? 僕は未成年だぞ」


『へ、変な意味じゃないわよッ。今週末、買い物に行くから、それに付き合ってくれって言いたかったのッ。で、でも礼二郎くんがしたいのなら、その……ゴニョゴニョ』


「そうか。それなら大丈夫だ。了解した」


『へ? 了解したの? どっち? どっちの話?』


「ん? 買い物じゃないのか?」


『なんだ、買い物か』春香の声が落胆の響きを濃くした。『そうよねッ。うん、じゃあ、詳しい日時がわかったらメールで伝えるから、アドレスを教えてちょうだいッ』



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 



「そろそろ、だな」

 礼二郎は卓上時計を見ながら、独りごちた。

 春香との電話が終わり、気がつくと20分以上経過していた。

 春香が上手なのだろうか、会話は途切れることなく続いた。

 礼二郎も年上で年下の女性との会話を楽しんだ。


(それにしても、女性とふたりで買い物とは。そういえば向こうでも、ふたりきりでなにかをするってことはなかったな。師匠とはずっとふたりだったが)


 魔女イライアとふたりだったときは、ほぼ修行に明け暮れていた。

 その当時、恐怖の魔女は、まだ礼二郎に対し今ほど心を開いていなかった。

 もし、チェリー礼二郎が一言でもチェリー特有のデリカシーに欠いたチェリー発言をしたならどうなっていただろう。

 恐らく伝説の魔女の庭には、ピュアもいいところのチェリー石像が立っていたに違いない。

 

 剣帝エバンスとの生活は、臭いとの戦いだった。

 魔女イライアとの生活は、常に失言との戦いだったのだ。


 その後知り合ったロリは、1年ほど礼二郎達を警戒していた。

 やがて心を開いたロリは、ことあるごとに礼二郎とふたりで出かけたがった。

 だが、そのたびに必ずと言っていいほどシャリーがくっついてきた。

 その逆パターンもしかりだ。

 

 セレスは、頑なにふたりきりになるのを避けた。

 礼二郎のなかにある”男”に対し、警戒していたのだろう。

 インチキ女神特製リミッター付き草食系男子とはいえ、一応は男だったのだ。

 

 礼二郎は目を閉じ、仲間達との日々を懐かしんだ。

 そこでハッと気付いた。


(ん? つまり初デートになるのか? くっ、齢31年にして初デートとは――む?)

 驚きの真実に愕然とした、そのときッ


「成功したか」

 

 礼二郎が呟くと、右手の甲に模様が浮かび上がった。

 

【炎眼の魔女イライア=ラモーテ】の魔術印だ。

 

 礼二郎の全身に、性欲以外の力がみなぎる。


「ステータス・オープンッ」


 ブーン。


 礼二郎の声とともに、ステータス・ウィンドウが立ち上がる。

 ニヤリ。画面を見て不敵に笑った。


【LV:53】――画面にはハッキリとその文字が浮かび上がっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品を読んで頂きありがとうございます!
少しでも気になった方は、一度作品の評価をしてくれると、うれしいです、うれしいです、うれしいです!(☆☆☆☆☆をタップするだけです)

★★★★★で、応援していただけるとすごく励みになります!


ブクマもうれしいです! 超うれしいです!
気に入らなくなったら、遠慮なく評価を取り消して構いません(※同じ場所をタップすれば簡単に取り消せます)
script?guid=on<
『転生したら悪魔ハーレムでした!?~愛弟子に毒殺された錬成術師は魔人となり7人の美女悪魔を仲魔にして王族に転生する』
こちらもブクマ&評価で応援いただけると大変励みになります。
 小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ