表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/142

第19話 【賢者TIME】

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 



 礼二郎は、二階自室のベッドに腰掛けた。

 眼前に広がるのは、これまた15年ぶりの光景である。

 

 一階では幼なじみのこず枝と、妹の加代が食事の準備をしている。

 大萩家の夕食は、大体いつもこの時間だ。

 兄の源太が帰宅して全員で食事を摂る。

 それがいつの間にかルーチン化して、今に至っている。

 大萩家は、兄の源太を中心に廻っているのだ。


 食事の準備には、もう少しかかるらしい。

 アポなしで異世界から帰ってきた礼二郎のせいである。

 礼二郎は申し訳ない気持ちになりつつも、懐かしい部屋を見渡した。

 部屋は綺麗に片付いている。

 15年(実際には1ヶ月だが)もの間、主がいなかったとは思えないほどだ。


「加代、なわけないな。こず枝が掃除してくれていたのか。ん? 掃除? はうぁッ」

 イヤな記憶がよみがえり、血の気が引いていく。

「ま、まさかッ」

 急いでベッドの下を覗き込む。

 ――ガクッ。礼二郎は、膝から崩れ落ちた。



「なんて、ことだ」



 ベッドの下では、大量の雑誌が綺麗に整理されていたのだった。

 【礼二郎・思春期ベスト・セレクション】(※つまりエロ本)である。



「くッ。ま、まぁ、これくらい男なら仕方あるまい。こず枝もわかってくれるはずだッ」



 礼二郎は、多少強引に気持ちを切り替えた。

 他に考えなければならないことがあるからだ。

 ――それは……異世界のことだった。


(まさか、時間を巻き戻すとはな)


 礼二郎は女神に託した手紙に、ある仕掛けをしておいた。

 それがうまく作動すれば、仲間達に再び会えるかもしれなかった。だが。


(時間軸が違うのなら、無理な話だ)


 まさか、時間の逆行ができるとは思っていなかった。

 性根が腐っていても、さすがは女神というところか。

 あの気の合う仲間達とは、もう二度と会えないのだ。

 いや、15年後にまた時間軸が重なれば、可能性はある……か。

 それに、()()()()()()()()()()()ただろうが、もし今、仲間達が異世界から来たとしても、礼二郎には、それを()()()()()()()()()()のだ。

 兄の源太も、決してそれを許さないだろう。

 

(会えるとしても15年後か。そんな先のことを考えても仕方あるまい。ハァ)


 懐かしい仲間達の顔を思い浮かべ、ため息をついた。



(どうせなら、転移した時間に戻してくれればよかったのだが……。いや、あまりギリギリを狙うと、タイム・パラドックスの危険があるか……)


【タイム・パラドックス】――宇宙崩壊を招く、時間操作によって生じる、壊滅的な矛盾、だっただろうか。

 同時に、二人の自分が存在することはまさにそれだろう。


(むしろ、1ヶ月で済んで喜ぶべきだな。高校の出席日数もまだ問題あるまい)


 間に冬休みを挟んだのが、不幸中の幸いだった。


(冬休みか。フッ、長い休みだったな。師匠、ロリ、シャリー、そして、セレス。みんな元気で。ついでに、エバンスさんも)


 礼二郎は仲間達の健康と幸せを、そして特定人物の口内健康を心から祈った。


(それにしても)


 礼二郎は、先ほどこず枝から抱きつかれたことを思い出した。


(あれは、シャンプーの匂いなのか?)


 こず枝からは、柑橘系の爽やかな匂いがしていた。

 ふと、上着に鼻を近づけると、微かに匂いが残っている。



「……」



 礼二郎はベッドに腰掛けたまま腕組みし、眉間に皺を寄せ目を閉じた。


 ――数十秒の後。

 

 カッと目を見開き立ち上がった礼二郎は、膝をつき、ベッドの下へ手を伸ばした。

 ズルズルと結構な量の雑誌を引っ張り出す。

 礼二郎の大事な大事なコレクションだ。

 思った以上にキチンと整理されていたことはゆゆしき事態だ。

 だが、今の礼二郎にはそれすらもテンションを上げる要因足り得る。



「ふむ」



 礼二郎は真剣な表情で、上から順番にコレクションの確認をしていった。

 これは不純な行為ではない。

 コレクションのチェックは、コレクターの(たしな)みなのだ。


 ペラッ。(じゆう)(たん)に腰を下ろし、ページをめくる。



「むッ。この女性は、師匠に似ているではないかッ。尊敬する師匠にこんな格好をさせるとは、けしからんッ」



 礼二郎はそのページを開いたまま、ベッドに置いた。

 そして、次のコレクションをチェックする。

 ペラッペラッ。ページをめくる



「むむッ。この子はロリに似てるなッ。ま、丸見えではないかッ。けしからんッ」



 そのページを開いたままベッドに置いて、次のコレクションをチェック。 

 ペラッペラッ。ページをめくる



「むむむッ。この子に猫耳をつけたら、シャリーそっくりではないかッ。けしからんッ」



 そのページを開いたままベッドに置いて、次のコレクション。 

 ペラッペラッ。ページをめくる



「むむむむッ。このお姉さんが金髪になって鎧を着たら、まるでセレスではないかッ。けしからんッ。まったくもってけしからんぞぉッ」


 

 そのページを開いたままベッドに置いた。

 屹立している礼二郎がおもむろに立ち上がる。

 腕を組んで眼前を見下ろした。


 厳選された四つのコレクションだ。

 その宝物が礼二郎を中心に、キチンと扇状に並んでいる。

 壮観である。

 最愛の仲間達を連想させる美女の面々。

 しかも、ほぼ肌色な感じで礼二郎に微笑みかけている。


 

「――けしからん。が、仕方あるまいッ」



 言うと、ニヤけた礼二郎が、おもむろにズボンへ手を掛けた。

 カチャカチャ。ジーッ。



 ――★【 IT’S(いッ・)賢者(けんじゃ)TIMEッ(・たーいむ)】★――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品を読んで頂きありがとうございます!
少しでも気になった方は、一度作品の評価をしてくれると、うれしいです、うれしいです、うれしいです!(☆☆☆☆☆をタップするだけです)

★★★★★で、応援していただけるとすごく励みになります!


ブクマもうれしいです! 超うれしいです!
気に入らなくなったら、遠慮なく評価を取り消して構いません(※同じ場所をタップすれば簡単に取り消せます)
script?guid=on<
『転生したら悪魔ハーレムでした!?~愛弟子に毒殺された錬成術師は魔人となり7人の美女悪魔を仲魔にして王族に転生する』
こちらもブクマ&評価で応援いただけると大変励みになります。
 小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
賢者タイムで吹いた(笑)( *´艸`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ