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第135話 『youtaber礼二郎』

※ 物語の構成を見直し、127話〜134話は削除しました。(いずれ掲載します)

「権左衛門!」


 少女が駆け寄ってくる。

 バトルスーツ姿の礼二郎は、抱きかかえた男性を、そっと地面に立たせた。

 男は少女へ向かって走り出す


「権左衛門! あぁ、無事だったね!」


 少女は男を抱きしめた。

 男は少女の顔をベロンベロン舐めまくった。

 感極まったのか、小便まで漏らしている。


「いいわ! すごくいいわよ! 最高の撮れ高よ!」


 空中に浮かぶ携帯が、少女と男の周りをくるくると回っている。

 クソ女神謹製の御神器、お喋り携帯のサナダである。


 やがて、落ち着いたのか、少女と男は礼二郎の元へやってきた。


「ありがとう……本当に、ありがとう」


 少女が涙ながらに礼を言った。


「ワフン!」


 男が言った。

 っていうか、犬が吠えた。


「礼には及ばない。君たちの笑顔が見れたら、それだけで十分だ」

「そんな……せめてこれを……エリが貯めたお小遣いなの」

「ふっ、では、そのお金で権左衛門のオモチャでも買ってあげるといい。」

「さぁ、そこで決め台詞よ!」


 サナダの指示で、礼二郎は腰を落とし、ビシッとポーズを決めた。


「今日も世界の平和に貢献してしまったようだな! 異世界からやってきた愛と平和の戦士『イセカイダー・チェリッシュ』でした! チャンネル登録と、高評価、よろしく頼む! では、さらばだ! トウッ!」


 礼二郎が空に飛び立つ。


「ありがとう! ありがとう! イセカイダーチェリッシュゥゥゥッ!」


 少女が空に向かって手を振っている。


「ワフゥゥゥゥゥンッ!」


 権左衛門が吠えた。



 ∮



「やったわ! さっきの動画、めっちゃバズってるわよ!」


 おしゃべり携帯が興奮している。

 礼二郎の目の前に、フヨフヨとやってきた。

 画面を見る。

 先ほどの様子を納めた動画が映し出されていた。


「こいつは記録を更新する勢いだな!」


 礼二郎は画面の数字を見た。

 なんと視聴回数が、100を超している。

 動画をアップしてまだ数十分。

 この調子で行くと、明日には一万回再生をこえるかもしれない。

 やっぱり子供と動物のコンテンツ力は最強だな。


「それで、チャンネル登録者は?」

「ちょっと待ってね。えっと……すごいわ! 今現在で489人よ! 昨日から26人も増えてるわ! 」

「そうか、やったな! っていうと思ったか! 全然ダメじゃねぇか!」

「何言ってるのよ? 1日で26人よ? 今までで最高人数じゃない?」

「目標は100万人だぞ!? こんな調子じゃ、あと何百年かかるってんだよ!」

「君は動画配信を舐めてるわね。こういった小さな積み重ねが、やがて大きな波へと変化するのよ」

「ちくしょうめ! そもそも条件が厳しすぎるんだ! クソ女神に、もうちょっとサービスするように言ってくれ! 」


 ゴワンッ(※タライが頭に当たる音)


「一応聞いてみるわね……ダメね。やっぱりyoutabeのチャンネル登録者数100人で3kpの条件は絶対だそうよ」

「くそっ、こう言ったことだけは、すぐ返事しやがる」


 ゴワンッ(※タライが頭に当たる音)


「ああああっ! くっそったれぇぇっ! この天罰システムは、どうにかなんねぇのかよ!」

「ドードー。少し落ち着きなさい。ほら、メガミルクを飲んで飲んで」


 礼二郎は、横に置いてある牛乳もどきを手に取った。


「ゴクゴクゴク……プハー! うん、美味い!」

「天罰は、2億kpで免除されるわよ。知ってるでしょ?」

「でも2億って不可能だろ? 現実的に考えて」

「だ〜か〜ら〜女神様は不可能なことを言ったりしないってば。2億kpを貯める方法が何かしらあるのよ」

「過去に実例があるのか?」

「ちょっと聞いてみるわね……あるんだって」

「あるのかよ。どんな奴だよ、その超人は」

「ちょっと待ってね……ダメだって。それは教えられないって」

「ヒントも無し?」

「えっと……ヒント一つだけなら、だって」

「よし、頼む」

「えっと……まず偉業をなすこと。そうすれば人々に噂が広がってkpが貯まっていくんだって。それが長い年月を経て、宗教まで発展すると大当たり。永遠にkpが貯まっていくシステムができあがって、一生涯ボーナスタイムに突入だそうよ」


 礼二郎は首を捻った。


「うむ? わかったような、わからないような」

「ちなみに、2億kpってのは最高位の奇跡に相当するそうよ。どんな無茶な願いでも叶えられるんだって」

「どんな無茶な願いも? じゃあ……僕の両親を生き返らせたりも?」

「えっと……可能だって。でも、生き返らせるんじゃないそうよ」

「どういう意味だ?」

「ご両親が死ななかった世界に変わるんだって。その際、ご両親が亡くなった記憶を持つのは、奇跡を行使した人物――チェリーボーイだけになるわね」

「そうか。まさに奇跡だな。しかし、今は、そんな夢みたいなこと考えても仕方ない」

「そうね。まずは加代ちゃんのことを片付けましょ。あと、女神様はもう寝るから、返信はしないって」

「永遠に起きなくていいと伝えてくれ」


 ゴワンッ(※タライが頭に当たる音)


「君って本当に懲りないわね」

「それにしても、偉業ってなんなんだ?」

「さあ? 海を割ったり、水をワインに変えたりかしらね?」

「ふむ?」

「冗談だからね? 本気でやろうしないでよ? まぁ地道に人助けをして動画を配信すれば、いつかは報われるわよ」

「他に道はないしな。――次の依頼は?」

「メールのチェックをするわね。メガミーメイトでも食べて、待っててちょうだい」




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