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序章

===世界は===







「「ハッピバースデートゥーユー! ハッピバースデートゥーユー!!

ハッピーバースデーディーアー汐織(しおり)」」

「「ハッピーバースデートゥーユー!」」

「「誕生日おめでとー!!」」



===二種類の人間がいる===



「いやー、汐織(しおり)もこれで17歳かー。時間の流れは早いものだ。」

「そうねぇ、あんな可愛くてトイレも独りじゃいけなかった頃が懐かしいわ・・・」


「ちょっと母さん、父さん。あたしはもうそんな子供じゃないよ。でも、誕生日で大人になっていくのってなんだか嬉しい気持ちだよ。ありがと!」


そうして私はケーキに刺さるロウソクの火を吹き消した。

少し暗いリビングの中で、灯のように綺麗に咲いていた火の花は、私の眼前から姿を消した。ほんの瞬く間であった。


私が母さんや父さんの娘として生まれて17年。

いよいよ高校生活も残り1年と半年以上。

勉強も趣味も楽しんでいかないとならないし、進路も考えないといけない時なんだろう。そう思うと今のこの誕生日がより思い出の1つになりそうだ。進路なんて考えたくないしね・・・皆の悩みだろうし・・・



===それは()()()と===



苺のケーキを母さんがカットしてくれて、それを家族三人で食べた。兄は最悪な事に、修学旅行へ行っていた。

なので、ビデオ通話にてお祝いのお言葉を貰ったのだ。


ケーキを食べ終えて、数十分時間が経った後にコンビニへ出掛けようした。

喉が渇いたから何かジュースと、ちょっとしたおやつを買いにいこうと思っている。


両親に断りの挨拶をして、玄関に行き靴を履いて扉を開ける。扉を開けたら風が玄関に入ってきた。

まだ四月だというのに、ちょっとひやりと冷たい風が私の体を撫でるように吹き抜けていた。


「春なのに少し寒いね・・・まあ夜だから仕方ないかな。もうすぐ補導に引っかかる時間帯だから急いで買いに行かないと。」


夜の街を歩く、というのは不思議と、子供の頃のロマンと言えばいいのか。

そんなものが駆り立てられる。

「夜道は危険だっていう言葉が存在するけど、実際はそうでもないのかも。電灯さんが光ってくれてるから安心しちゃうよね、でも油断は禁物。」


そこから、昨日のこと、明日のこと、明日の夕食は何かな、くだらない事に思いを馳せながら歩く。これは重要なことだしね、未来に希望を持つことは。


コンビニで目的のモノを買って帰路に着く。


辺りは真っ暗なので、少し急ぎ気味に帰ろう。


『__プウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!』


救急車とパトカーなどのサイレンが聞こえる。

「何かあったのかな、交通事故・・・だったりするのかな。」

不安と恐怖を覚える、これは自慢ではないが、私は幼少期の頃に正確には小学生の時だ。

車に轢かれたのだ。幸いカーブミラーに当たっただけで、それなりの軽傷で済んだ。


その運転手は容疑を否認していたとか、昔のことは覚えていない。交通事故は危ないから、ちゃんと警察や救急車を呼ぶことが重要だと私は思う。



私は思うのだ、こんな暗闇が世界に広がっていたとしても、電灯のように暗闇から誰かを救ってあげられるような光があるっていうことを。事故で辛いことがあっても、きっと何かの光があるんだと思う。

それらを探すのが人生の仕事の一つなのかな。


「そういえば、今日録画してるアニメは、異世界系のファンタジー作品だったね。先週あんなところで終わるから続きが気になってしょうがないよ。」


小走りで帰路を進むと、冷たくて気持ちの良い風が吹いている。明日は暖かい風がいいかな。南風でありまうように・・・


そんな淡い願いを抱きながら、信号で待機をする。

赤信号で渡るのは危ないし、青に変わる直前でも多少は危ないんだよね。


ここは交通量がそれなりに多い。

ブンブンと車が白線を軽々と突き破るように走り抜き、ゴールを目指す選手のように走行していく。


沢山通る車が、まるで五円玉を(ひも)で吊るし催眠術を掛けてるかのような錯覚に陥ってしまう。


嗚呼(ああ)、もし次に生まれ変われたのなら、また父さんと母さんの娘として生まれたいな。」

誰かに聞かれたら恥ずかしい言葉だ、想いは口にしないと届かないものだから。


私は辺りを見回して、微笑を浮かべた。


その刹那に____一台の大型トラックが目の前で横転して、私の視界が暗転した____。


辺り一面を、綺麗な薔薇(ばら)の色に染め、微かに認識出来た事は、薔薇よりも綺麗に鮮血な色に染まったコンクリートや壁。


そこで、私の意識と視界は真っ黒に染まった。



===残酷な()()()で出来ていた===


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