紅と群青と黄
紅色は忘れない
紅色にとって、彼らもまた仲間であったことを。
死んだとしても、忘れることはない。
紅色の瞳の少女の部屋に、ノックが響くと同時にこの世界では普通見ることが無いような深海のような蒼い髪に深い深い深海とは違う蒼の瞳を持つ男性が入ってくる
来たよ、と軽い調子で言う蒼い髪の男性
帰ってください、とだけ告げる少女
来なければよかったのに、と舌打ちする
いいでしょ、暇なんだよ、と蒼い髪の男性は少女の目を見て言う
少女の中に元々あった不快感がさらに増す
この男の値踏みするような、奥を見透かすようなそんな目が嫌いだった
俺もいるよ
蒼い髪の男の後ろから蒼い髪の男性よりも身長の高い中性的な男性が入ってくる
少女は中性的な男性の姿が目に入った途端目を輝かせ名を呼ぶ
蒼い髪の男性は何とも切なそうな様子だが、少女は無視している
中性的な男性は少女に、また新しい服を作ってきたよと言う
少女は嬉しそうに招き寄せる
そして蒼い髪の男性に出て行って、と言った
蒼い髪の男性は酷いなぁと言いながらも素直に出ていった
中性的な男性は少女に服を渡す
それは黄金色の髪の男性の着ている軍服を模した服
少女は喜んで服に袖を通す
何度も作っている男性の腕は確かで採寸は特にしていないのだが少女ぴったりのサイズである
少女は嬉しそうに中性的な男性の手を上下に激しく振る
喜んでくれて何よりだよ、と話す中性的な男性の爪はマニキュアで黄色く輝いていた
群青色は思う
紅色は、きっと群青色の本心が見えていると。
群青色は考える
もしも彼らが乗らなければ、未来を託してみてもいいかな、と。