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え、まだやってんすか?

 俺の言葉に対して首を傾げる。

 なにやら納得がいっていない様な雰囲気で問いを返す。

 

「何? 盗賊とは言え前衛よりのステだから防御もそれなりなはずだが」

 

「こちらステータスとなっております」

 

 画面をキャプチャして送る。

 ゲーム内で写真を撮って送れる辺りは行き届いているんだけどなあ。

 

「なん……だと……」

 

「ところがどっこいコレが現実……っ! 圧倒的紙ステっ!」

 

「…………この、ユニークスキルについて教えてもらえるか?」

 

 何故か酷く迷った後、そんな事を言ってきた。

 

「別に構わんよ。で、どうやって詳細を見るんだ?」

 

「そのユニークスキルをタッチすれば見れるはずだ」

 

「りょ」

 

 ステータス画面から影渡りと書かれた所をタッチする。

 あ、今気づいたけどさっき悩んだのはあれか、ユニークスキルって秘匿するべきなんだっけか。

 だから聞き辛かったのか。真面目やねぇ。

 

 おっと、別のウィンドウが出てきた。なになに……

 

 【闇渡り】

 貴方は通常のジョブに追加して【シャドウウォーカー】を得る。

 

 もうちょっと説明しろよ。

 んー、説明からしてサブジョブ追加ってことか?

 仕方ない。この画面は閉じてステータス画面からシャドウウォーカーをタッチする。

 

 【シャドウウォーカー】

 影渡りと呼ばれる闇を渡り歩く者。

 技、速に大幅な成長補正がかかり、攻に成長補正が掛かる。逆にそれ以外の成長補正が下がる。

 一撃必殺や高機動、隠密を得意とするジョブ。初期スキルとして【暗殺】を持つ。

 

 

 コイツのせいで俺は紙防御なのか。畜生が。

 ってか格好いい事書いてあるけどこれアサシンですよね。暗殺あるし。

 一応暗殺の効果も見ておくか。

 

 【暗殺】

 対象が此方をターゲットしていない際、技を参照した一定確率で相手を死亡にする:パッシブ

 

 常時効果(パッシブ)なんかい。危険極まりねえな。

 確率がどれぐらいか知らないが、あの死んだ男は技が低かったのか、運が低かったのか……。

 

 

「えっと俺のユニークスキルはどうやら」

 

「待ちたま……待ち、待ち給え」

 

 そう言おうと思った俺の口を抑えようとしたが背丈が届かず首元にぺちりと手を当ててしまう銀髪青目ロリ(ヤハウェ)

 届かなかったので背伸びして止めようとするが顎が限界な長身金髪(架空の俺)

 なんだこいつドジロリっ子アピールかよ。こうかはばつぐんだ。

 

「ああ……いつまでも待つよ」

 

「その小さい子を見る目をやめろ。非常に物凄く不愉快である」

 

 腰に手を当て、ふくれっ面で不満を言う。

 なんだこいつ萌えポイントを抑えていやがる、この男心をわかったような的確な行動……間違いない、男だ。

 

「良い女アピールだが俺には通用しないぞ」

 

「私は本当はグラマラスな女性だと言っているだろうが。120/120/120のダイナマイトボディだぞ」

 

ドラム缶ボディ(ダイナマイトボディ)じゃねえか。で、どうした。何を待てばいい。いつまで待てばいい。いつ発動する」

 

「いや、大丈夫だとは思うがあまりユニークスキルの事を公に話したくない。だからこの場で説明するのは止めておいたほうが良いと思ってな」

 

「説明しろと言ったのは、あ、はいなんでもないです。言わないでおきます」

 

「わかればいい……ふむ、そうだな」

 

 少し考え込んだ後、ヤハウェはこう口にした。

 

「よし、現実で実際に会って話そう」

 

 その提案に俺は当然こう答えた。


「出会い厨かよ。『せっかくだけど遠慮します。』」

 

「何故だ」

 

「えー……何故って怖いし?」

 

「むしろそれはこっち側の台詞だと思うが」

 

「会ったら筋肉隆々の色黒ボブ頭が来るんでしょ?」

 

「鳥葬か水葬、嫌いな方を選ばせてやる」

 

 おっと、わりとガチでお怒りですね。

 

「ネットの人と会うって、ちょっとなあ」

 

 ふふふ、思い出したくもない黒歴史を思い出すぜ。

 姫プレイしていた子の呟いてるのをみたらおっさんだったり。

 ネットで仲良くなった子(自称女)だったらおっさんだったり。

 たまたま近所だったんでオフ会してみたらおっさんだったり。

 

 おっさんしかねえ!

 ふふ、怖いか……怖い。


「ネットはネット、リアルはリアルで区別つけようぜ」

 

 肩をすくめながらそう答える。

 まあ、目の前の子が実は本当にグラマラスな女性の可能性もゼロではないが、そもそもとしてそこまでして会う気もない。 

 

「むぅ……」

 

 その後、何度か問答を繰り返したが結局はヤハウェはが引き下がる事となった。

 しかし、やけに拘っていたな。

 かなり食い下がってきたし、なんだろう、食べれる石鹸でも売りつけられるのだろうか。

 

 その後俺はレベル上げを少し進めたが、レベルまでは上がらなかった。

 別れを告げ、同時に明日は夜遅くになりそうだと伝えてログアウトする。

 ……あ、そう言えばスキルポイントもステータスポイントも振るの忘れてたな。

 寝る前にどうするかを少し考えておくとしよう。

 

 しかし、レベル上げにも時間がかかるな。

 社会人だとそう言ったプレイをする時間も少ないし、キツイ所だ。

 

 ……時間的制約を考えると、仲間は別で集めたほうが良いかもしれんな。

 当然手伝いはするし、集まらなかった場合は参加するのも構わないが、まあ補欠扱いでも文句はない。

 やる気はあるが、なにせ4億の大会だ。参加するメンバーはきっと仕事やめてくれますか? と言うクラスのプレイヤーばかりだろう。そんな中に割ってはいれるかと言われると少しばかり疑問だ。

 ま、一度提案はしてみるか。

 

 そんな事を思いつつ、俺は服を着替えると静かに目を閉じた。

 さて、明日も仕事だ。

 

 ……行きたくないでござるなあ。

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