「(勇者)いらっしゃいませ!ただいまセール中です!」
「(勇者)いらっしゃいませ!ただいまセール中です!」
これは、魔王の城で勇者アールグレイが言い放った言葉である。
「(魔王)何を言っているのだ、貴様は。」
同じく魔王の城で魔王ダージリンが返した言葉である。
金ピカの鎧を着たアールグレイは、どこから見ても勇者であった。
いかにも魔王退治に来たという感じであった。
それなのに、まるで商人のような事を魔王であるダージリンに向かって言ったのだ。
「いやぁ、なぜかわからないんですが急に商人に転職したくなったんです!」
ハキハキ元気に言うアールグレイ。
何度も言うが、ここは魔王の城である。
「転職なら、ここじゃなくてギルドなりそういう施設に行ってやってくれないか。」
頭を掻きながらダージリンが言った。
「はっはっは!そうですよね!じゃあ私は、これで失礼しますね!」
そう言うとクルッと向きをかえて城から出ていたアールグレイ。
「・・・・・・。なんだったんだ今の?」
ダージリンはマントをサッとひるがえし玉座に座った。
~翌日~
「(魔王)いらっしゃいませ!ただいまセール中です!」
これは、魔王の城で魔王ダージリンが言い放った言葉である。
「(元勇者)何を言っているんですか、あなたは。」
同じく魔王の城で新米商人になったアールグレイが返した言葉である。
禍々しいオーラをまとったダージリンは、どこから見ても魔王であった。
いかにも退治される悪役という感じだった。
それなのに、まるで商人のような事を元勇者のアールグレイに向かって言ったのだ。
「なぜかは、わからないが急に商人に転職したくなったのだ
・・・じゃない転職したくなったのです。」
口調を丁寧にしようと頑張っているダージリン。
何度も言うが、ここは魔王の城である。
「魔王が商人に転職したら、この城は商人の城になるわけですよね?」
腕を組んでアールグレイが言った。
「はっはっは。そうだな。ここを城ではなくスーパーマーケットに作り変えるとしよう。」
そう言うとクルッと向きをかえて、魔法を唱えた。
「これで世界は平和になりますね。」
と、言った所でアールグレイは、あることに気がついた。
(ん?こんな立派なスーパーマーケットが出来たら個人商店は皆潰れるのでは・・・・・・)
こうして世界は元魔王によって支配されることとなった。
めでたし。めでたし。