半人前ハンターは今日もがんばる
毒の肉を食べて失敗してしまった、半人前ハンターが毒の勉強をします。
僕はハンター見習い。二年前にハンターの叔父さんに弟子入りして、いろいろ教えてもらってる。
とは言え、もう二年も教わっているので、小さな獲物は一人でも捕ることができるようになった。
でもまだまだ半人前扱い。
先日、毒の吹き矢で倒した獲物を食べて、毒で倒れるという情けないことをしでかしたので、叔父さんが毒についてしっかりと教えてくれることになった。
そして叔父さんの作業場で教えてもらえることになった。叔父さん性格が大雑把なわりに作業場は片付いてるな。
「当たり前だ、きちんと片付けてないと怪我したり、道具痛めるからな。さて坊主、毒についてだが吹き矢に使ってた毒とは別のを1つ教えてやろう」
「ちょっと叔父さん、毒についてしっかり教えてくれるんじゃなかったの?1つだけ?」
「いや、坊主は頭わるいからな、一度に一つずつ覚えればいい。というか文句言うならしっかり覚えろ。そしたら他のも教えてやる。前に教えたのは毒ガエルから採った毒だが、これは毒ガエルから直接矢に塗るから毒の強さの加減ができない」
うん、そうだね、それでひどい目にあったな。
「毒の強さの加減ができないから、矢が刺さったところは大きめに抉らないといけない」
うん、そうだね、叔父さん、それ先に教えてほしかった。
「今日、教えるのは毒草から抽出する毒だ。この草みたことあるだろ?」
「あー、それ森にところどころ生えてる、食べられない草だけど、毒あったんだ。お腹すいてたときにまずくても我慢すれば食べられるかと思ってたけど、食べなくてよかった」
「坊主、ほんとにハンターにしていいのか心配になってきたぞ」
「まあいい、とにかくこれをすりこぎでゴリゴリ潰す、ほらやれ」
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
「叔父さん」
「なんだ?」
「ゴリゴリするの飽きました」
「とっととすり潰せ!、堪え性の無いやつだ」
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
「よし、それぐらいでいいぞ、これを布で濾し取るんだ、毒だからな手袋貸してやる」
手袋つけて、壺の上においた布の上にすり潰した草と汁を流し込む。
ぎゅーと絞って、できあがりかな?
「よし、それでいい。この毒だがな、実は効き目が薄いので煮詰めて濃縮するんだ。すり潰して絞っただけなら傷口が無ければ、肌に付いても大丈夫だし、飲んでも大丈夫だ」
ふむ、それでは早速、ぺろっとな。
「おい!、舐めるな!!!」
「いや、飲んでも大丈夫って言ったから、味見をば」
「いやまあ、大丈夫と言ってしまった俺も悪いが、味見なんかするな! とにかく口ゆすげ!」
はいはい、コップに水を汲んでっと。
あれ、なんか喋りにくくなってきた。あれ、手が震えてきた、あれ、目の前が真っ白に……
目が覚めたら、叔父さんが拳骨を落としてきた。飲んでも大丈夫って言ったのに解せん。
「坊主、やっと起きたな、しかしあの濃度で、あの量なら。気を失うほどひどくはならないのになんでだ? 虫歯でもあるのか?」
「えーと、そういえば朝ごはん急いで食べたから口の中を噛んだ!」
ごちん!拳骨もう一発くらった。
「ばかもん!『傷が無ければ』と言っただろうが!、思いっきり傷あるじゃないか!この半人前が!」
やっぱり言われちゃったか、一人前のハンターになるのはいつになるのやら……
「いや坊主、一人前以前の問題だと思うがな……」
毒草はトリカブトっぽい何か。