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2015年・2016年・2017年

われらの狂気を生き延びられない道を教えよ

   搾り機



私は搾り機だ

ただ渡された子供の手足を粉微塵にする絞り機だ

どろどろに溶かされた子供の手足は醜悪な臭いがする











   満開の桜



一枚の花びらには一人前の憎悪を含まれている

人を殺すために花は咲く

満開の桜が散るというのはそういうことだ











   防御層



防御すること自体が破滅への道

攻撃される前に防御するのではない

無防備な心はもっとも強い











   見掛け倒し



あなたの佇まい それは見掛け倒し

流行にまみれた 虚無の身体性

どこまで行っても いつも不十分だ











   嫌い?嫌い?大嫌い?



祖父と祖母と父と母と兄と姉と弟と妹と

曖昧なコミュニケーションの繰り返し

すべての人間関係なんて死ねばいい!











   処刑の法典



いつの世でも 誰もが誰かを処刑している

だから もうすでに

あなたは誰かによって処刑されている











   蝋の自我


 

あの幼いころの鈍痛だけが自分を認めてくれる

だから 痛みよ 私の前から消えてくれるな

それがなくなれば自分は自分ではなくなってしまう











   神様任せ



どこに行っても神だらけ

私はいつの間に神になったのだろうか

ああ 人間はどこにいるのだ!











   龍の子供



天に駆け上がる龍の夢を見た

鬣は立派に生え揃っていた

ああ、それはまさしく私の父じゃないか











   夢見手の夢



この現実が私の見ている夢ならば

この私の見ている夢はいったい誰の夢なのだ

私は私の夢を見たことがない











   不在届



この不在届を受け取っている私はここにいるのに

この不在届は私の不在を証明している

今の私の存在は誰が証明してくれるのか











   われらの狂気



深甚なる精神に眠れるわれらの狂気よ

次に目覚めるのはいつなのか すでに目覚めてしまっているのか

もしくはこの問いそのものこそが狂気じみているのか










   それどころではない



あなたはそれどころではないはずなのに

あなたはいっしんにそればかりをしている

ほんとうにそれどころではないはずなのに











   まったく身の覚えのない



まったく身の覚えのない死体をよく見れば

それがまさしく自分自身の屍だったとき

それこそ真実の代えがたい自分自身の死なのだ











   季節外れ



季節が外れて自分が消えて

世界が外れて自分が死んで

どこまでいっても何もない











   墓穴



墓穴の中には何もなく

虚無の中にも何もない

ああ 墓穴それ自身が俺だったのか











   欲張ったレイプ



欲張りすぎるレイプは 可憐な女体を壊すだけではない

もっとほかのものが壊れてしまう

詩を書くことはそんなレイプにどこか似ている











   窒息願望



息をしないで生きていけるのならば ぜひそうしたいものだ

それが出来ないから俺はいやいや気道を開放しているのだ

呼吸をしたままでもいいからはやく窒息して死にたい












   露呈する女



あなたの何が露呈してしまったら あなたは壊れてしまうの?

さなぎの皮を一枚ずつめくって駄目にしてしまうように

私は小指ひとつでたやすくあなたを狂わせることができるのよ












   巡礼の向う側



あなたの狂気を目覚めないようにする方法なんてあるのだろうか

もうすぐ聞こえてくるだろう 巡礼の向う側の あの禍々しきサイレンの音が 

あなたのできる唯一のことは今すぐその両手で両の耳をふさぐことだけだ











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