ふと思いついたネタ;その壱
ふとある漫画読んで思いついた短編ネタ。
神様転生とか漫画の主人公とかにやられる周りってどんなもんだろう?
って思って書き殴った。
空手とか書いてるけど特に一つに絞るつもりはありません。全般的なものイメージしてます。
それは酷くあっけない幕引きだった。
これまでの思いよりもなく努力もなく、遠くで見ている自分さえ何も思える間のない終幕。
劇の小練習の様な、そうあることが決まっていた茶番。
勝ったのはつまらなそうに欠伸をしている不真面目な友人。
負けたのは事態を理解できずほうけている親友。
只の一撃。余りにも軽い拳。
それだけで全てが決まってしまった。
言えることなど、俺には何もなかった。
バカ真面目。
親友のことをどんなやつかと聞かれたら俺は適当にそう返す。
親友とは小さい頃からの付き合いだ。
俺には兄がいて、くだらない事でしょっちゅう喧嘩してそして負けていた。そんな時いつも兄は決まって自分を見下ろして笑っていたものだ。それが酷く気に食わず、どうすればいいかと考えた。
いつものようにふてくされコンビニで立ち読みをしていた時、一つの漫画が目に入った。今ではタイトルどころかどんな内容だったかもロクに思い出せない。けれどその漫画の中で主人公は空手のようなものをしていた。よくよく考えれば非現実的かつ110番一直線だが、バッタバッタと敵を殴り倒すその姿に俺はこれだ! と思ったのだ。
当時やっていたヒーロー番組に憧れただの強くなりたいだのと適当な理由を付けて親に頼み、そして何故か乗り気な父親はそんな俺の頼みを了承した。
歩いて十五分。世界は狭いもので、意外に近くにあった道場の門を父親とともに叩いたのは三日後。
道着を着てああこれで兄を倒せるだなんて考えた先であいつにあったのだ。
そこそこ広い道場だったのに偶然か俺と同い年はそいつだけ。特に何があったわけでもなく普通に話すようになった。
聞けばそいつは同じ学校だったこともあり、学校でも会えば話をするようになった。
まあそれなりに俺は真面目に空手に取り組み、そいつとも仲良くなった。
だが元を辿れば兄への喧嘩で負けた復讐心。兄が高校生になり落ち着いた頃から喧嘩はとんと無くなった。稽古が意外ときつい事もあり、俺の中での熱は自分の財布のごとく一年で空っぽになっていた。
道場に行く機会も減って行った俺をそいつはよく連れ出しに来た。逃げ出すことと連れ出されることは半々ほど。熱は低くとも嫌いではなかったからだろう。少なくとも続けるだけの好意はあった。投げ出すきっかけもなく友人がいたのも理由だろう。
そんなこんなで二人揃って同じ中学、高校と進み俺は不真面目に、そいつは休みなく真面目に鍛錬を続けた。
お前は何でそんなに真面目に続けるんだ? そう聞いた俺に友人は答えた。
憧れだから、と。
『初めて道着を着たとき父親に似合ってカッコイイって言われたのが嬉しかった。それからずっと頑張って、大会で見た人に憧れた。■■さんって知ってる? ああなりたいって思ってさ。それから当たり前のように今まで続けて来た。当たり前のようにさ。僕の人生はこれと一緒にあったと言っても過言じゃない』
その言い方が大げさで俺はつい笑って、笑うなと言い返したそいつもどこか恥ずかしかったのか、振り上げた拳はどこにも向かなかった。
後で調べたがその憧れの人、というのは全国常連の凄い人だったらしい。そんな自分とは縁の無い世界の話に俺は凄いと思った。ああ、こいつはホントにこれが好きなんだなって。
言葉に偽りなし、と思うようにそいつは真っ当に努力した。稽古を休んだことなんて殆どなく汗かいて打ち込んだ。余りに頑張りすぎてるんじゃないかって無理に誘ってサボった時は怒られ、けれどしょうがないって遊んでくれたっけか。もっともサボって遊んでくれたのはそれっきりだったが。
当たり前のように、日常の一部とさえ思えるようにそいつに俺は当然のように勝てなくて負け続き。それでも長年続けてるだけまあそこそこの強さに離れた。そいつは県の上位に食い込めるかもってぐらいになったが。
熱気に当てられて柄にもなく俺も頑張ったことも有った。調子乗って叫びながら組手百回とか、今思えばバカみたいで付き合ってくれた友人に終わってから馬鹿だ馬鹿だって言われたりもした。疲れて寝た俺の横でひとりで型やってた時は驚いたっけか。次の日筋肉痛になって笑った。
そいつとの間も友人から恥ずかしげもなく親友と言える様になり、後輩も出来た。新しく入った内の一人は筋はあるが前評判も余りよくなかったし、情熱もそこまで見えず親友は余り好かなかった。本人は否定するが何故か女性に好意を持たれて軟派だって思われてたし。けど、真面目とは言えない俺にとってはそう悪い奴に見えなかったから、普通に話してまあそこそこ友人と言えるほどには仲良くなった。根はいいやつだったしな。一年ほどの付き合いだ。
まあそんな事もあり色々頑張った。頑張ってきた。
だから俺はこいつの事を聞かれたら色々ひっくるめて“バカ真面目”って言う。
バカみたいに、実際バカにこいつは真面目にやってきた。
親友は頑張ってきたんだ。
いつもの帰り道。
あやふやな、どんな顔をすればいいのかわかっていないような顔で親友は俺に言った。
「何が悪かったのか言ってくれないか?」
そんなこと俺に分かるわけないだろう。
俺なんかよりも真面目にやってきたお前がわからないんだ。俺なんかに分かるわけないじゃないか。
「踏み込みが甘かったんだ。体に力が入りすぎていたのかもしれない。鍛錬が足りなかったんだ」
ああ、きっとそうだろうな。
「彼のことを甘く見ていたのが悪かったのかもしれない。僕の驕りを突かれたのかもしれない。彼にはそれがわかったんだ。凄いなぁ」
そうだな。あいつは凄い。
「まさか最初に虚を突かれるなんて。的確だよ。分かっていたように綺麗な動きだった。準備運動もせずにあんなことができるなんてどれだけ体に刻み込んだんだろうね」
千回か一万か。もしかしたら十万とか超えてるかもな。
そうだったらいいな。
「きっと彼は何度も繰り返したんだろう。どれだけしたらああなれるんだろうか。僕の最初の踏み込みは甘かったかな? 感情が先走りすぎていた。もっと理屈を体に染み込ませなきゃいけない。彼は影でどれだけ頑張ったんだろうか。凄いな。きっとすごいんだ。ねぇ」
ああ凄いよ。でもな、お前だってすごいと思うぞ。俺から見たらずっと頑張ってる。
きっと、あいつも頑張ってるんだよ。きっとそうだ。
そんな事を俺は思い、けれど一言として喋らない。
返事の帰ってこないままにお前はひたすらにしゃべり続け俺に視線を向ける。
やめてくれよ。わかってるだろお前だって。
だから
「――僕は努力が足りなかったんだ。君もそう思うだろう?」
俺に聞かないでくれ。
そんな縋るような目で俺に答えを求めないでくれ。俺に決めさせないでくれ。
分かってる。全部わかってる。お前だってそうだろう。
あいつは真面目なんかじゃない。お前が思っている通りの馬鹿野郎だ。楽しいことがあればそっちにいき、真面目にやってるかと思えば汗もかかない内に辞めて遊び始める奴だ。血の滲む様な努力なんかしてやいない。気が向いた時だけ真面目にやるそんな奴だ。
お前の踏み込みは凄かったよ。滑らかだった。鍛錬を頑張ったんだろうな。知ってるよ。
お前に驕りがあった? 馬鹿言うな。お前はいつだって真面目だ。馬鹿言うな。
あいつが十万回型を体に刻んだ? 多分百回超えてるかもな。千回入ってたらきっと別人だ。
あいつが影で頑張ってる? 昨日サボって女とデートしてたぞ。そんなことしょっちゅうだ。
わかってるだろ。自分でもわかってるだろ。お前は間違ってなんかいない。
努力不足? 鍛錬が足りない?
才能だよ。
あいつは天才なだけだ。才能が違いすぎるんだ。
前に聞いてみたよ『何でそんな簡単に拳が入るんだ?』って。あいつなんて言ったと思う? 『見てると何か動きがわかるんですよ。あ、ここに来るなーって。こう殴れば当たるなっていうもモヤッとしたラインが見えます』だってさ。見れば何となく、でこっちのすることがわかるんだってよ。当てるための拳の軌道が見えてそれが当たるんだって。予知だよ予知。感覚だってさどんだけ天才だよ。
まるで漫画の主人公で、俺たちは引き立て役の脇役なんだよ。
才能の化物なんだ。覚えたから繰り返すのがめんどくさいって途中で投げ出すんだよ。
努力じゃさ、無理なんだ。だから聞かないでくれ。
「黙ってないで言ってくれよ。全く僕は鍛錬が足りないな。きっと僕は間違ってるんだ。笑えてくる」
笑えねぇよ。ちっとも笑えねぇ。お前それが笑顔ってんなら鏡見てみろ。取り繕うくらいしてみろってんだ。
『そうだな。お前が間違ってるよ。もっと頑張れって。努力しろ努力』
そんな言葉が聞きたいんだろうお前は。言ってもらえれば安心するから。自分じゃ認められないから。
才能なんてどうしようもないものじゃなく、努力が足りないから負けた。あいつだって影で頑張ってる。もっと頑張れば自分も追いつける。そう思いたいんだろう。でも自分じゃ思えないから俺に言って欲しいんだろう。
あいつの才能が分かってるくせにそれが認められない。だから俺に『間違ってる』ってそんな考えを否定して欲しいんだる。
わかってる。分かってるよ。だから止めてくれ。そんな権利を俺によこさないでくれ。
間違ってるっていったらお前は『そうだよな、うん』って納得して頑張るんだろうな。頑張り続けるんだろうな。いままで以上にずっと。体を酷使して打ち込んでいくんだろうな。そして立ち止まりそうになる度に自分が間違ってるって自分を否定し続けていくんだろうな。
大好きだって言ってたもんなお前。昔から見てたからわかるよ。止めたくないんだってな。頑張りたいんだってな。だから否定して欲しいんだろう。努力が足りないって。今までの全てを否定して欲しいんだろう。ずっといた俺に。それを見てきた俺に。“これから”の為に“今まで”を否定し、“今まで”の為に“これまで”を否定して欲しいんだろう。俺の一言でさ。そうすりゃ納得できるから。
無理するなって言いたいよ。『努力じゃない。才能だバーカ』って言ってやろうか? 言えるか馬鹿。ずっと頑張ってきたお前にそんなこと言えるはずあるか。
きっとお前はそう言っても許してくれるかもな。しょがないって納得できるかもな。最後のひと押しをして欲しいのかもな。トドメを望んでいるんだろ?
ふとよくトップアスリートたちが言う言葉が思い浮かぶ。『才能だって言われたくない。今まで頑張って、努力したからここにいるんですよ』だっけか。何て残酷な言葉なんだろうな。そりゃあんたらは頑張ったさ。けど、ほかの人間だって頑張ってきてるんだぜ? その中で勝ち抜けるってのは、結局は才能だろ? 努力だけで一番になれるんならだれだって一番になれるさ。それなのに努力だけ、見たいに言っちゃおしまいだ。侮辱だよ。
自分に負けた奴らの努力は足りない? 不真面目? 徒労? あんたらは努力してない、って遠まわしに言ってるみたいじゃないか。誰もがあんたらの場所に立てないんだ。特別じゃないんだ。本人からしたら才能だけ見たいに思われるのが嫌なのはわかるさ。けど、努力だけじゃどうにもならないんだ。
自分を殺せと差し出されたナイフ。それを前に俺は踏み留まる。刺すのは声を殺す喉か動きを止める心の臓が。
ああしょうがない。しょうがないじゃないか。
「もっと頑張りゃきっと勝てる。ずっと見てきた俺が保証してやるよ。あんま悲観すんな馬鹿」
「そうだよな。全く俺は馬鹿だ。でもお前に言われたくないぞバカ」
そうだな俺はバカだよ。
笑ったお前を見て思う。
しょうがない。こう言うしかないじゃないか。俺は馬鹿なんだ。臆病なんだ。
終わらせる決断なんてできなかった。心の臓を殺すなんて怖かったんだ許してくれ。
刺したのは喉。もう声は出せない。弱音を殺され血を出しながら動くしかない。
そう思う心を殺し、俺は笑うそいつにわらいかえした。
「あ、どうしました。早いですね」
昼の道場。いつもより早く、あいつに誘われもせずにふと来た俺をそいつが呼んだ。
何で、お前がいるんだ。
そう考えるよりも早く声が漏れる。
「えっとですね、師範に『ちっとは真面目にしろ。自主練でもしてみろ』って言われましてね。まあ最近不真面目だしやるかって思ったんですよ。大会近いですし」
「いつ……から」
「えーと、たしか五日前からですね。努力って大事ですよね」
よくわからない声を発しながらそいつは綺麗な型を繰り出す。自分よりもずっと整った型。
それを見ながら思う。止めてくれと。そんなの辞めてくれと。
あいつが見たら誤解するじゃないか。『ああ、やっぱり努力しているんだ。僕の努力が足りないだけだ』って思うじゃないか。影で頑張っていたって。もうすぐ来るクソ真面目なあいつは自分を否定し尽くしてしまう。始めたという日はあの試合の日の前日。ああ、誤解する。誤解してしまう。
――失礼します!
心の中で叫び続ける俺の耳に、何度も聞いた声がふと聞こえた。
刺されたのは喉と心。
もう、声さえ聞こえない。
最初は親友は男のイメージで書いてた。けど一人称僕で書いてたらなんか違った。
何となくだけどそんなつもり一切なかったけど心象多いし大事にしすぎてるし何かふと「あれ、何かアッチみたいじゃね?」と思った。思ったら何か嫌になった。
なので脳内でボクっ娘に変換してみた。素晴らしかった。
そんだけ。
どうでもいい戦うに至った経緯
その①
神様転生したチート野郎(数秒先が見える能力とかその辺)がボクっ娘に惚れた。自分より強い奴が好き、とか言うボクっ娘の気を引くためにボコった。
結果、後日構われるようになったので好かれたと勘違いした。ほんとはボクっ娘がなんとか上回れるよう、努力否定されないように勝とうと必死であがいてるだけ。好意ゼロ。
その②
やれやれ系で何でもこなすハーレム系主人公が突っかかってくる相手をボコした。普段はヒロイン達に構われるせいで稽古には出られていない。本人曰く「自分は悪くない。ほんとは稽古出たい」
その③
元不良だったけど一念発起して空手部の門を叩く。普段は過去の因縁とかフラグ建築のせいで出られないことが多い。けど才能あったからスグ強くなる。入門一年目にして先輩倒して全国出場。そんな感じ。
スポーツもので一年目のくせに全国出場して優勝とかする漫画が全体的イメージ。才能一強や!