ライ麦畑の少女
今夜はなんだか少し、気分が悪い。
また自分を責め立てて、破壊したくなっている自分に気付く。
僕はゆっくりとその事実を飲み込んで、客観的に受け入れて、落ち着いて思考を停止する。
自分に期待するな。
過去の幸せに縋るな。
そう言い聞かせる。
そうすると、少し落ち着いた。
僕の脳内にはバラバラの文字がいくつも飛び交っていて、小説を書けと本能に呼びかけている。
ふと、ライ麦畑の映像が頭に浮かんで、その真ん中に佇んでいる麦わら帽子の少女の姿に手を伸ばすと、消えてしまいそうで、僕は眺めることしかできなかった。
今は落ち着いて、無理をせず、無難に過ごしていた方が良い。
こういう場合の対処法を過去の経験から学んでいると、ありがたい。
死にたいと本気で思っていた頃を思い出す。
そこまで行く過程を振り返って、そのルートを歩かないように、思考を切り替えると、対処できる。
人間は、こうやって学びながら、生きていくのだろう。
あー、遊びたい。
楽しいところに行きたい。
また心の底から笑える日は、いつになるのだろう。
無邪気なあの頃にはもう戻れない。
強制的にそれを受け入れていく。
人生とは残酷だ。
だけどそれでも、ちょっとだけ美しいから、困る。
ライ麦畑の少女が、艶やかな黒髪を春風に靡かせながら、振り向いて僕に微笑みかけてくれた。
その姿は息を呑むほどに綺麗で、
僕をまた世界に繋ぎ止める。




