いつもの3人
面倒事は、何回片付けてもそこからまた湧いてくる物だ。
「……どうすんだよ、これ」
…俺たちの前に横たわっているのは、先程まで生きていた筈の魔物だった物。
隣に居る、これの犯人その1である彼女は呑気に返事をする。
「依頼主さん、清掃業者呼んでくれるかなあ…?あとクリーニング代貰いたい」
そこなのかよ。
俺の苦悩も知らずに、彼女は服についた埃を呑気にはたいている。
「そうじゃねぇよ。生け捕りって話だっただろうが。報酬貰えるか怪しいぞこれ。」
もう何度目かわからないため息をつく。
「…あと、ここ草原だろ。どちらにせよ片付けは要らない」
「確かに」
ようやく納得したようで、白髪の少女"マロノ"は少し不機嫌になり始めた。 服が少し血で汚れたようだ。
「…てか、そんな服着てくるなよ。毎回言ってるだろ」
戦いに来ているのに、フリルのたくさん付いているワンピースを着てきた彼女。ロリータというんだったか。一応、すこし控えめなデザインにしているらしい。
「確かに汚れてもいいやつがいいかもだけど、出かけるときは好きな格好したいの!この服高いのになぁ…」
…あんまり理解できない感性だな。眉間に皺が寄る。現実を見よう。この物体と依頼をどうするか。
代わりを獲ってくるか、正直に言うか、もしくは逃げるか。そう案を組み立てていると、マロノが声を上げた。
「…まあルルがどうにかするって」
「もうやってるよ〜♪」 「早いんだよ対応が!!」
ルルは気分屋だから、汚れ仕事はやらないと思っていたのだが…
妙に静かだと思ったらもう始めてたのかよ。
「…で、何してるんだよ」
どうにかするとは言っていたが、ルルは何してるんだよ…
「そりゃ蘇生だよ。ほらもう元気♪」
彼女の蘇らせた、3mはあるであろう巨体のオークがむくりと立ち上がる。
それを知覚した途端に、俺の真横に木製に見える棍棒が振り下ろされた。
「…は、ぁ!?」
「あ、空振った。やっぱまだ意識はっきりしてないねぇ」
はっきりしてないねぇ。じゃねえよ。三途の川見えたわ。なんで俺こんな奴らと依頼受けてんだっけ…
そう遠くにしばらく思いを馳せていると、マロノがバズーカを取り出す。それによって意識が覚醒する。
「っ、待てって!!」
あいつにやらせたら、また同じことの繰り返しになる。そう確信した俺は、自分の出した氷でオークを囲った。
「おぉ、お見事〜!!」
自慢であるらしいツインテールを揺らしながら、ルルは軽く拍手をした。それと同時に、オークの抵抗する音が聞こえる。
「お見事、じゃねえよ…こんなんじゃ無理に決まってんだろ…」
そう言っている間に、氷にヒビが入り始めた。
「っ、思ったより早いなぁ!?」
「えー、これどうやって運ぶ?」
「まあどうにかなるなる!」
「…ルル、頼む。捕まえてくれ」
もうしょうがない。断られるだろうと思いながら、俺はそう言った。
「えー、いいよ☆」
「いいのかよ」
そう言い、彼女はオークに向かって指を振った。
その途端に、地面からツタが生える。ツタは、そのオークを一瞬で捕らえた。
恐らく一件落着。このまま依頼を終えてしまおう。それで早く帰って寝よう。
今日は、どっと疲れたから。
「あ、依頼終わったらどっか食べに行かない?」
「え〜、じゃあ最近話題のあのパフェがいい!」
「俺はいい。」
「えー、またゼリー?」
「栄養ゼリーは完全栄養食だろ」
「いやそう謳ってるけどさあ…甘いもの好きだったでしょ〜?」
これこれ、と画像を見せてくる。SNSで若者を中心に人気のパフェだ。
トッピングの色とりどりの果物が食欲をそそる。
…確かに美味しそうだけど…
「いや、だから…」
今日はどっと、疲れたから…
「あ、これ明日までの期間限定なんだって〜」
「やっぱ行く」
我ながらチョロいなとは思うが、抗う気もない。




