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食えない狼

作者: 石川 瑠佳

「仕事しなけりゃ、食えないさ」仲間の、狼が言った。


 仕事?仕事って、なんだ?狼の仕事。と、いうか、なんで僕は、狼なんだろう。こんな疑問を思うのは…。そうだ、思い出した。

 僕は、異世界転移者だ。今、狼だけど。ここは、人間がいない、動物の世界。

 

 転移前、僕は、苦労ばっかしていた。周りから、面倒くさい仕事を押しつけられ、親からは借金を背負わされた。

 気が、弱くて、断れなかった。

 だからって、狼になるか!?普通、人間で、考えるだろう?

 

 女神様が、「人間のことよく分からないから、分かりやすい風な感じでいくね」って、言っていたけど、狼か…。


 帰ろうかな…。

 死んだ訳じゃないから、狼やめるって言ったら、やめられる気がする。


「女神様、やめます。狼…」

 パッと現れた、女神様。失礼だけど、便利だな。

「キャンセルってこと?一度、やめると、二度と転移をしての生活は出来ないけど、いい?」

「えっ、ちょっと…?女神様、仕事する気、あるんですか?貴重な一回を、いい加減に使ったんですか?そりゃ、酷い。

 怒った」

「怒ったって、どうすんの?」

 僕は、しばらく、考えて「じゃあ、僕が女神様の仕事を管理します。女神様は、責任もって、僕が飢えないように養ってください」

 獲物を食らうのが、苦手だと思っていた僕は、何故か、女神様をクッタ感じになってしまった。


「へー、鈴木さんは、山が好きなんですね?では、人間の方がいいですか?それとも、他の動物?」

「ちょっと、それ、私の仕事なんだからね…?」と、女神は、文句を言っている。

「じゃあ、適当に仕事するの、やめてください」

「もういい。勝手にして…」

 僕は、人間の姿に戻っている。転移するのは、人間なので、狼の姿だと驚かれるのだ。


 女神様が、ついでに元の世界に戻そうとして、人間に戻したのだ。

 だが、その時、神の神様が現れて、「あなたは、これまで、いい加減だったから指導してもらいなさい」と、おっしゃってくれた。


 なので、僕は、女神様を指導している。


 すると、神の神様に、評価された。

 そして、元の世界の住まいと、女神様のお仕事空間へと繋ぐ扉を作ってくださって、給料も日本円で持っていた通帳の銀行に振り込まれるようになった。


 まあ、ズバリ快適だ。


 その後、女神様が素直になってきて、「どういう風に振る舞ったらいい?」と、聞いてくださる。


 最近、休憩の時、僕の部屋で女神様と、スペースがあるのにくっついて座って、ソファーでコーヒーを飲んでいるというのは、秘密だ。



              終

ダメな神を、人間が指導した方が上手くいくこともあるかもね。

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