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第1話

挿絵(By みてみん)






 走るのには、何もいらない。


 街の中に駆け出して、路地の向こう側へ。


 世界が崩壊して何年も過ぎた。


 あれから世界には、雨が降っている。


 決して止むことがない雨が。



 雨水が宙に舞い、透き通った道端の雫が、すれ違う風の中で光る。


 スニーカーの紐は結んだままだ。


 いつだってそうだった。


 私たちは、雨上がりの先に見える青空を目指し、どこまでも全力で走っていた。


 

 明日空が晴れると信じて、どれだけの時間が流れただろう?


 明日雨が上がると信じて、どれだけの距離を進んだだろう?



 今日はもうやって来ない。


 それは運命だった。


 運命が、空から落ちてきたんだ。


 今日と明日の境目に閉じた、時間と空間の果てに。



 いちについて、よーい



 グラウンドの上で、ホイッスルが鳴る。


 地面に足をつけ、静寂の糸を解く1秒。


 一瞬の向こう側へと続く「今」を待ち、永遠が、——もうすぐそこまで。



 “走れ”



 と、彼女は言った。


 だから私は足を動かしたんだ。


 明日へと届く白線の外側へ、キミと一緒に。

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