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ケモミミTS魔法少女は何を見る~俺は天才だ!~  作者: 火蛍
6章 ケモミミ少女、冒険者になる
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駆け出しの仲間たち

 受付嬢に案内され、十数分程度でハルトとループスは冒険者登録を完了させた。これで彼女たちも晴れて冒険者である。


 「これが俺たちの登録証かぁ」

 「冒険者用の特典を受けるときにそれを見せればいいらしい。あとは他所を通る時にも使えるんだとよ」


 ハルトは自分の名が記された登録証を感慨深そうに眺めた。ループスも似たような行動をとっている。

 そんな二人のところへ他の冒険者たちがやって来た。先に嫌がらせを受けた経験から二人は思わず身構えた。


 「そんなに警戒しないでくださいよ。僕たちはただ挨拶に来ただけです」

 「そうか。無駄に警戒して済まなかった」


 ループスは過剰に警戒心を向けてしまったことを詫びた。早くも同業者の仲間ができそうな雰囲気にハルトは安堵で胸をなでおろした。


 「警戒されるのも無理はないですよ。あんなことされたら……」

 「アイツらはどういう連中なんだ?」

 「主に討伐や護衛を生業にしてる手練れの冒険者たちですよ。なまじ力があるものですからどうも威圧的で……」


 ハルトが尋ねると冒険者は恐る恐るそれに答えた。どうやらさっき絡んできた連中はこの街の中では腕利きの冒険者らしく、それと同時に他の冒険者たちからは畏怖される存在であるようであった。


 「でもすごいですね。あの人たちをあんな一方的に退けちゃうんですから!」


 冒険者は興奮気味にループスに語りかけた。思いがけず好感を抱かれていることにループスとハルトは顔を見合わせて満更でもなさそうに小さく照れ笑いした。


 「あっ、申し遅れました!僕はロビン・アウルって言います!」

 「俺はハルト。ハルト・ルナールブランだ」

 「ループス・ノワールロアだ。よろしく頼む」


 ハルトたちに声をかけた冒険者は自らの登録証を見せながら自己紹介した。ハルトたちも作ったばかりの登録証を見せて自己紹介を返した。

 三人のやり取りを見ていた他の冒険者たちも次々にハルトたちのところへ訪れ、突発的な冒険者たちの交流会が始まった。


 「お二人はどうして冒険者に?」

 「旅の資金集めにな。いろんなところで潰しが利く冒険者になった方が得が多いと思ってさ」

 「へぇー。それじゃ二人で旅をしてるの?」 

 「そうだな。昔は俺一人だったんだけど今はコイツも一緒に二人旅だ」


 ハルトとループスは新しくできた冒険者仲間と共に談話に花を咲かせた。交流の中で柄が悪い冒険者はほんの一握りであり、多くは打ち解けられる人たちであることを二人は理解することができた。


 「その耳と尻尾って本物なんですか?」

 「本物だぞ。その証拠にほら、俺たちには人の耳が付いてないんだ」


 ハルトは側頭部の髪をかき上げて人の耳が付いていないことを冒険者たちに見せつけた。その様に偽りがないのを目の当たりにした冒険者たちからは感嘆の声が上がった。


 「ところで、ハルトさんたちは女の子なのに一人称が『俺』なんですね」

 「えっ?」


 ロビンからの思わぬ指摘を受けたハルトの背筋に冷たい汗が伝った。もしや自分が元々男である可能性を勘繰ったのだろうか。そう考えると思考が混乱しそうになった。


 「もしかして……」


 本当にロビンは自分たちの正体に気が付いたのではとハルトとループスは大いに焦った。


 「男の子の友達が多かったんですか?」


 予想していたのと全く違う言葉にハルトとループスは拍子抜けしつつも気づかれていないことに安堵した。


 「そ、そうそう。昔から周りに男ばっかりの環境で育ってきてさ」

 「それで言葉遣いが移ったっていうか……な?」

 

 ハルトとループスは出まかせの嘘でグダグダに取り繕った。彼女たちの素性を知る人間がいないのもあって周囲はあっさりとその嘘を信じ込んだ。



 「それじゃあ僕たちが先輩冒険者として依頼の受け方とかいろいろ教えてあげますね」

 「おお、それはありがたい」

 

 ロビンたちに手ほどきによってハルトとループスはその日一日を冒険者ギルドの利用方法について教わるのであった。

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