寂れた小さな村にて
今回から第四章が始まります。
プル・ソルシエールを目指す道中でハルトは……
プル・ソルシエールを目指す道中、ハルトはとある小さな村へと立ち寄った。
名前も知らない特にめぼしいものもないような村であり、ハルトはその日のうちにそこを通過するつもりでいた。
しかし、どうもそういうわけにもいかないようであった。
村人たちはハルトの姿を見るなり膝をつき、手を合わせて拝むような仕草を見せ始めた。理解の範疇を超えた謎の行動にハルトは脳裏に無数の疑問符を浮かばせた。
「見ろ!お狐様がこの村に降り立っでおられるぞ!」
「奇跡じゃ!奇跡が起こったのじゃ!」
突如として祀り上げられる展開にハルトはますます理解が追い付かなかった。どうやらこの村の人々は狐を崇拝の対象としているらしい。しかし彼女はそんな存在ではなく、ちょっと変わった見た目をしているだけのただの旅人である。
「お狐様、どうか我らが村をお救いください!」
「はぁ!?」
村人からのいきなりの懇願にハルトはますます困惑した。他の村人たちもぞろぞろとハルトを囲むように集まってくる。怒涛のように押し寄せる情報の暴力に処理が追い付かない。
「いきなりなんのことだ!?まずは一から事情を聞かせてくれよ!」
ハルトは村人に説明を求めた。村のことなど何も知らない彼女は村人たちからの要求に対して返事ができるわけがなかった。
「村長のところに案内しますのでお話はそこで」
村人の一人の中年の女性が村長なる人物のところへとハルトを案内した。この時点でハルトはすでに嫌な予感を感じ取っていた。
それは、ハルトにとって転機とも災難ともいえる出来事の始まりであった。




