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ケモミミTS魔法少女は何を見る~俺は天才だ!~  作者: 火蛍
最終章 これまで見てきたもの
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入学試験をもう一度

 ハルトのエリアル魔法学院の入学試験当日がやって来た。彼女はいつも以上に毛並みを念入りに整え、耳をピンと立たせて気合十分である。


 「じゃあ行ってくるからな」

 「はい。頑張ってきてくださいね」


 アリアは試験に臨むハルトを手を振って見送った。本来ならば彼女も一緒に受けるつもりであったがふと舞い込んできた特別推薦を受けて入学する道を選んだため、ハルトだけとなったのである。


 「すぅー……はぁー……」


 エリアル魔法学院の校門前でハルトは大きく深呼吸をした。いよいよ本番、これまでの復習の成果を見せるときである。ハルトは気合と意気込み十分に校門をくぐった。


 入学試験の受付を済ませ、ハルトは自分の受験番号を与えられた。彼女の番号は七十一番であった。

 筆記試験の会場となる教室に足を運び、一足先に席の左端を陣取ると深く腰を下ろして尻尾を左へと流した。試験中に尻尾が無意識のうちに動いてしまい、他の受験者に触れて邪魔にならないようにという彼女なりの配慮である。

 そうしてからほどなくして一人、また一人と受験者たちが教室へとやってきた。皆ハルトと同じぐらい、あるいはそれより少し上の外見年齢をした少年少女ばかりである。そして会場にやって来た誰もがハルトの姿を見て目を疑った。


 「はい、皆さん席について。これより筆記試験を開始します」


 予定時刻が訪れ、試験官となる教師が教室へと現れた。その人物はハルトにとっては非常に見覚えのある姿をしていた。それもそのはず、筆記試験の試験官はカーラが請け負っていたのである。

 カーラは会場に受験者として訪れたハルトを見て一瞬目を疑ったが軽く咳払いをして誤魔化すと筆記試験の概要を受験者たちに説明した。


 「試験時間は九十分、解答用紙には名前と受験番号を記入するように。いずれかが未記入の場合は問答無用で失格となります」


 カーラの語る注意事項をハルトはしっかりと聞き耳を立てた。その内容はかつて自分がアルバス・アイムだったころに受けた注意事項と全く同じであった。


 「私の合図と同時に始めます……では、はじめ」


 カーラは筆記試験の開始を宣言した。ハルトたち受験者は一斉に問題用紙と回答用紙を表にして回答を始める。ハルトはまず受験番号と名前を記入し、問題用紙の内容に目を通す。


 (やっぱりこの程度なら余裕だな)


 ハルトは内容を見て自身の成績が最上位に入ることを確信した。問題文をすべて読み込み、ものの数十分で回答欄をすべて埋めると解答欄がずれていないことを確認する。

 解答欄を見直し、そのすべてにズレと誤答がないことを確認したハルトは残りの数十分を他の受験生の観察に費やした。


 筆記試験が終われば次は実技試験であった。今度はカーラに代わり、別の教師が試験官を務めた。


 「貴方たち受験者には炎熱魔法をこの的に命中させてもらいます。最初に命中させるまでに所要した時間と的に視認可能な部位がどれほど残っているかで採点を行います」


 試験官は実技試験の内容を説明した。魔法を発動させるまでの所要時間、その威力、制御の精密性を見るための試験であることを見抜いたハルトは腕を鳴らした。的は人間の大人ほどの大きさがある丸太のような形状をしていたがハルトの魔力を持ってすれば消し飛ばすことなど雑作ではなかった。

 実技試験は受験番号の順番どおりに一人ずつ行われる方式となっていた。ハルトは自分の順番が来るまでの間、他の受験者たちの能力を観察した。名門校の受験生ということもあり、多少の差異はあれど的は半分以上は消えていた。

 そして待つこと十数分、ついにハルトの番がやってきた。


 「受験番号七十一番。ハルト・ルナールブランです。よろしくお願いします!」

 「よろしくお願いします。では、はじめ」


 ハルトはニコニコしながら試験官に挨拶した。試験官は会釈を返すと実技試験の計測を開始した。ハルトは直前までの表情から一転、不敵で鋭い笑みを浮かべると詠唱を省略して炎熱魔法を的の下に向けて撃ち放った。

 炎熱魔法は的の下に着弾すると半径数メートルはあろう巨大な青い火柱となって吹き上がり、周囲一帯を青色に染め上げる。数秒後、火柱が収まった頃にはそこにあったはずの的は塵芥の一つも残さず消滅していた。

 無詠唱によって詠唱時間を削減しているため発動は間違いなく最速、他の誰もなしえていない的の完全消滅もあっさりと行ったためハルトが実技試験のトップに立ったことは確実であった。


 「えへっ。ありがとうございました!」


 ハルトは手元に残った炎熱魔法の残滓を吐息をかけて吹き飛ばすと愛想を振りまきながらペコリとお辞儀をした。一部始終を見ていた受験者の誰もがその容姿からは予想もつかぬほどの大火力を苦も無く披露してみせたハルトの能力に絶句し、そして絶望させられた。彼らからすれば的が跡形もなく消え去るほどの火力の炎熱魔法を無詠唱で放てるのは規格外もいいところだった。



 「受験番号七十一番、ハルト・ルナールブラン……すごい、満点だ」


 その夜、受験者たちの筆記試験の答案の採点をしていたカーラはハルトの答案を見て彼女のその自信に偽りのない完璧な成績に驚愕させられたのであった。 

あと四話でこの作品は完結となります。

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