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ケモミミTS魔法少女は何を見る~俺は天才だ!~  作者: 火蛍
10章 辺境の街グラーシャ
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雪空の会の在り方

 最大権力の所持者であったフラムがハルトたちに倒され、指導者を失った雪空の会は体制の急速な再構築が進められた。フラムに同調していた過激派の信徒たちが自粛され、穏健派の信徒たちによってここ数年の締め付けが過剰であったことが認められると、それを緩和すると共に市民たちの信条の自由が認められたのである。

 会からは無理やりに吸収された元冒険者が大量に離れていった。これも信条の自由を理由に認められた。しかし中には信徒として会に残る冒険者たちもわずかではあるが存在した。


  「フラム様。貴方にはこの会の支援者として残っていただきたいのです」


 ハルトとループスに敗北し、司教の座を下ろされたフラムに信徒たちは声をかけた。彼女の財政支援によって雪空の会が存続できているのは事実であり、その恩恵は大きかった。フラムは権力を失いはしたが居場所はまだ残っていたのである。

 フラムは信徒たちの嘆願を受け入れ、雪空の会の支援者として日陰を歩きながらグラーシャで生きる道を選んだのであった。


 人々に低水準な生活を強要するやり方から最低水準を引き上げるというやり方に舵を切り替え、雪空の会の信徒たちは街への奉仕活動に繰り出すようになった。信徒たちはこれまでと同じように街を練り歩き、時に富める人から善意の恵みを受け、時に病や飢えに喘ぐ人がいれば受けた恵みを受け売りする形で施しを与えるのであった。

 人より謙虚に、人より勤勉に、そして友愛に溢れる雪空の会の奉仕活動は本来あった姿そのものであり、その姿に感化されて自ら雪空の会に入信する者もちらほらと出てきた。過去数年の蛮行で被った汚名は簡単には払拭できないがそれでもイメージを回復するための第一歩を踏み出したのであった。


 過激派の信徒たちが淘汰され、戦う相手がいなくなったレジスタンスも自然消滅する形で解散となった。何事もなくこれまで通りの日常に戻っていく者もいればホークたちのように冒険者として活動を始める者、アレクやブレンのように雪空の会の支援者となる者もいた。


 「たぶん、これでよかったんだよな」

 「今はそうだと信じるのがいいだろう」


 ハルトとループスは熱心に活動する信徒たちの姿を眺めながらつぶやいた。最初はあれだけ憎らしく見えた雪空の会の信徒たちが今では見違えるようであった。


 「ハルトさん、ループスさん。今度のクエストに一緒に参加してくれませんか?」


 冒険者が二人に声をかけた。冒険者たちの活動が活発になったことで冒険者ギルドが他の街のそれと変わらない機能を取り戻したのである。これでようやくグラーシャの街で冒険者として生計を立てられるようになった。



 ハルトとループスは数十日ぶりの経済活動のためにクエストの誘いに乗ったのであった。

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