雪空の会はなぜ
レジスタンスという仲間たちを得たハルトとループスは雪空の会についてレジスタンスが持っている情報を聞き出そうと試みた。今の二人にとってはレジスタンスたちが唯一の情報源であった。
「雪空の会はなんであんなことしてるんだ?何年か前まではあんなじゃなかったって聞いたんだけど」
「ああ、それはおらが」
レジスタンスの一人である老齢の男、アレクが語り部となって雪空の会の行動目的を語り始めた。彼はこのレジスタンスの中心人物であり、組織の発起人でもあった。ハルトとループスはアレクの語りに聞き入った。
「雪空の会は昔流刑地だったグラーシャさ秩序もだらすためにやって来だづーのは知ってるが?」
「ああ、ここに来た日に世話になった爺さん婆さんから聞いたような気がする」
二人は雪空の会が元々どういう組織だったのかはなんとなく知っていた。最初はまともな活動を行っていたらしいことも同時に知っている。しかしその詳細までは知らなかった。
「でも最初は真面目な活動してたんだろ?」
「最初の内はな。でも今がら十年前、雪空の会の司教が変わったんだ」
「司教って?」
「雪空の会の構成員で一番偉い人ですよ」
初めて聞く単語に雪空の会の信徒たちの中には一定の位を持つ者もいる。中でも司教は組織の中で最も強い力を持つ存在であった。小規模の宗教組織である雪空の会では司教の決定が全体の決定となり、さらに教義の基準が曖昧であるが故に司教の解釈一つで如何様にもできてしまうのである。
「なんで新しい司教はそんなに厳しくしたんだろうな」
「それは司教が上流階級の人間だがらだ。教義厳しくして庶民より質素にすれば自分の立場がより固ぐなる」
『上流階級の人間だから』その一言でハルトとループスはすべてを察した。街の人間に広く浸透している概念を自分がコントロールできるとなればそれを利用して保身に走るのは当然のことである。ループスはもし自分が同じ立場ならまずそうするだろうとすら考えた。
「自分よりいい思いできなくなるならそこに居座るよなぁ」
「しかもその司教魔法使いなんですよ。だから魔法使いを街から排除して残された人々を抵抗できなくしたんです」
ハルトとループスは雪空の会がなぜ執拗に自分たちを攻撃してくるのかその理由を理解した。基本的に一般人では魔法使いに勝つことはできない。自分を倒せる可能性がある魔法使いを信徒たちを使って街から排除することで司教は事実上の独裁体制を築き上げたのである。それを崩しうる可能性を持ったハルトとループスの存在は雪空の会の司教にとっては最大の懸念事項であった。
「そういうことだったのか」
「通りでな」
事情が分かれば話は早い。ハルトとループスにできる攻略方法は『現司教を直接叩き潰すこと』であった。
街に他の魔法使いが存在しない以上、それができるのは自分たちだけであった。
「やるよ。だから、皆力を貸してくれ」
ハルトとループスは大義などではない私利のために顔も知らぬ雪空の会の司教に対して闘志を燃やすのであった。




