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ケモミミTS魔法少女は何を見る~俺は天才だ!~  作者: 火蛍
10章 辺境の街グラーシャ
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レジスタンスと合流

 「ここが僕たちの活動拠点です」


 若い男に案内されてハルトとループスが訪れたのは古ぼけた家屋であった。家屋の戸を開け、中へと足を踏み入れる。


 「ここが拠点?」

 「この家は地下室があるんですよ。我々の仲間が何年もかけて作り上げたんです」


 そういうと男は床に仕込まれた扉を開き、地下室への通路を開いた。初めて見るギミックにハルトとループスはワクワクと胸を躍らせる。


 初めて見る地下室はとても広かった。ハルトたちが拠点としている冒険者ギルドのロビーと比べても遜色ないほどの規模であった。おまけに風が通らず、適度な暖かさも保たれている。数年がかりで築き上げたのも納得の広さと居住性であった。


 「遅かったなブレン」

 「今日は新しい仲間になってくれそうな方たちを連れて来ました」


 地下室に入るなり声をかけてきた屈強な男に対してブレンと呼ばれた若い男はそう言葉を返した。どうやら彼らは雪空の会に対して抵抗運動をする仲間同士のようである。


 「新しい仲間ってそこにいる女の子二人のことか?」

 「ええ。お二方はさっき雪空の会の信徒たちを蹴散らしたんです」

 「ほぉ?どうやって」


 ブレンからハルトとループスの紹介を受けた屈強な男は興味津々に二人に近寄った。至近距離で足を止め、二人の身体を隅々まで見回す。


 「こっちの姉ちゃんはよく鍛えられた身体をしているな。それはわかったけどこっちの嬢ちゃんはどうやって」

 「あー、俺は体術とかそういうのじゃなくてだな」


 ハルトは説明するように自身の懐から銃を取り出した。屈強な男は初めて目にするそれを見て首を傾げた。


 「なんだこりゃ」

 「俺が作った道具だ。これをこうすれば……」


 ハルトは試しに弾を一発込めると、誰もいない方向に照準を向けて引き金を引いた。発射された弾は弾道上に青色の軌跡を描き、地下室の壁をぶち抜いて穴をあけてみせる。屈強な男は銃の威力に唖然として目を見開いた。


 「軽くこれぐらいはできるってワケ」

 「これはたまげた……」


 ハルトは銃を折ってリボルバーを露出させ、空になった薬莢を排出しながら語った。屈強な男はハルトの戦力が本物であることを自分の目で見て理解することとなった。


 「申し遅れた。俺はホーク、ホーク・ガイだ」

 「僕はブレン・ラナーっていいます」


 二人は少し遅れた自己紹介をした。彼らは雪空の会に反旗を翻すレジスタンス組織の一員であった。


 「俺はハルト・ルナールブラン。こっちがループス・ノワールロア」

 「よろしく頼む」

 「こちらこそ。心強い仲間ができたことをうれしく思います」


 ホークとブレンはハルトとループスを迎え入れた。ここに来てようやく現れた同調してくれる仲間の存在はハルトとループスにとっては非常に大きく感じられた。


 「もうしばらくしたら仲間が戻ってきます。それまでここでゆっくりしていてください」


 ブレンはハルトとループスに休息を促した。


 「ここは雪空の会の信徒が来たりはしないのか?」

 「心配するな。雪空の会の信徒にここの存在は知られていない」


 信徒の奇襲を心配するループスにホークは心配無用と言わんばかりに答えた。それを聞いた二人はようやく奇襲を受けることのない安全地帯を得たことに安堵した。


 

 「へぇー。二人は魔法使いなのか」 

 「その通り。で、俺たちは世界のいろんなところを気ままにめぐる旅をしているってわけ」

 「まだお若いのに立派ですね」


 安全な場所を得たことで緊張がゆるんだハルトとループスはホークやブレンと楽しい会話の花を咲かせた。

 グラーシャに訪れた初日以来の穏やかな時が流れるのであった。

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