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ケモミミTS魔法少女は何を見る~俺は天才だ!~  作者: 火蛍
10章 辺境の街グラーシャ
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早くも再来

 大雪原で食料を確保してきた帰り、グラーシャの冒険者ギルドの施設の前でハルトは異変を感じ取った。誰もいないはずの冒険者ギルドから物音がしたのである。単なる偶然などではなく、人がいることによって生じる足音や話し声などであった。

 ハルトは訝しみつつ足を止めて話し声の内容に耳を傾けた。


 「ループス、戻るのは少し待った方がいいかもしれんぞ」


 ハルトはそう言ってループスを制止させると懐から銃を出して弾を込め、それを躊躇なく冒険者ギルドへと打ち放った。弾は入り口を突き破って強烈な閃光と炸裂音を放ち、中にいたものを一斉にあぶり出す。

 混乱した屈強な男たちが慌てて外に飛び出してきた。どうやら中でハルトたちのことを待ち伏せしていたようだったが失敗に終わったようである。ハルトとループスは物陰に身を隠して男たちがその場から消えていくのを静かに待った。

 

 「思ってたよりもしつこい奴らだな」

 

 冒険者ギルドの内部から物音がしなくなったのを確認したハルトは今度こそ施設内に足を踏み入れた。建物内に荒らされたような形跡はない、というよりは元々荒せるような場所などなかった。


 「ありゃ」


 ハルトは思いがけないものを見つけた。ギルドの施設の隅に人が倒れていたのである。恐らく先ほどの音と閃光でショックのあまりに気絶してしまった雪空の会の信徒の女性であった。ハルトとループスは彼女の扱いに困ってしまった。


 「どうしようか」

 「流石にこのまま外には放り出せないしなぁ」


 雪空の会はハルトたちの敵であるため、できることなら同じ空間にはいたくない。かといって気絶したまま外に放り出したら寒さに晒されて確実に命に関わる。いくら敵と言えども命に関わるような状態にはさせたくなかったのである。


 「とりあえずこっちで面倒見るか」

 「そうだな。目を覚ましたらいろいろと聞きたいこともあるし」


 ハルトとループスは信徒の女性の武装を解除し、適当に毛布をかぶせて目を覚ますまで様子を見ることにした。あわよくば雪空の会に関することを信徒である彼女から聞き出すことができればという程度の期待もあった。


 信徒の女性を保護することにしたハルトはおもむろに外に出た。どうやら何か細工を施しているらしい。ループスは暖房に当たりながらハルトの様子を眺める。

 ほんの数分程度でハルトは中に戻ってきた。


 「何やってたんだ?」

 「この建物の周囲に結界を張った。寝込みを襲われたらどうしようもないからな」


 ハルトは冒険者ギルドの周囲に結界を展開していた。昼間に追い出した信徒たちが再来していたということは翌朝も襲撃されかねない。それに加えて信徒の女性を回収しにくる可能性も十分にあった。襲撃と信徒の脱走の両方を予防するための手段であった。


 「風呂行ってくるー」

 「そんなのあったか?」

 「それっぽいところならあったぞ」


 ハルトは疲労の回復と体温の維持のために入浴に向かった。浴槽らしき場所が使える状態で存在していたことは今朝方に確認済みであった。



 「雪空の会はなぜこれほどまでに贅沢を嫌うんだ……?」


 ハルトが入浴している間、ループスは保護した女性の様子を見ながら雪空の会の行動理由について考察を巡らせた。

 今そこで寝ている女性が何か鍵を握っているかもしれない、そう信じて時を過ごすのであった。

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