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ケモミミTS魔法少女は何を見る~俺は天才だ!~  作者: 火蛍
6章 ケモミミ少女、冒険者になる
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大型銃の運用試験

 大型銃完成からさらに翌日、ハルトとループスは人の来ない森林地帯へと足を運んでいた。大型銃が実際に運用できるのか、本来の設計思想である『高火力の魔弾の連続使用に耐える』ことが耐えられるのかの試験をするためであった。


 ハルトは肩にかけていたストラップを外し、マウントしていた大型銃を手元へ回した。脇を絞めて肘を落とし、右手で銃把を握って左手で手前の銃身を支え、ストックを右肩に当てると両ひざを折り、右膝を地に着けて頬付けをすると前方へ狙いを定める姿勢を取った。

 そのままの姿勢を維持したままハルトは少しの間微調整を繰り返しながら狙いやすい姿勢を模索した。数分に渡る模索の結果自分の中のベストポジションを見つけたハルトは数秒間それを維持すると満足気に構えを解いて立ち上がった。

 そんな様子をループスは地面に胡坐をかきながら退屈そうに眺めていた。


 「随分と大掛かりなことをするんだな」

 「こうでもしないと撃ったときの反動で狙いがぶれるかもしれん」


 ループスがこれまでと違う撃ち方に対する疑問を呈するとハルトは淡々とそれに答えた。反動やそれに伴うブレを銃の性能だけで無くすことは不可能であることを事前に推察したハルトは自身の身体を使うことでそれを抑える方法を取ることにしたのである。


 ハルトは取り回しを確かめると大型銃用の弾薬を取り出した。これまで使用していたものよりも大きく、より多くの魔力を込められるようになった専用の弾である。

 銃に備えられたボルトハンドルを起こすとそれを後ろへ引き、弾薬を詰めるとボルトを押し込んで薬室へ送り、再びボルトハンドルを倒してロックを掛けた。


 「試し撃ちするぞ。下がってろ」

 

 ハルトは構えた銃口を斜め上に向けるとループスに警告した。これまでよりも威力の高い弾を使用している上に初使用ということもあり、その性能は様々な面において未知数であった。

 ゴーグルを装着し、射撃の構えを再びとるとハルトは銃の引き金を引いた。


 銃はこれまでとは比較にならないほどの威力を見せた。推力として使用した魔力が飛沫のように銃口から噴き上げ、小型のものよりも速く、遠くまで弾を飛ばすと弾は視認できないほどの距離で炸裂したのであった。


 「うわ、すっご……」


 ハルトはまるで他人事のような感想を漏らした。銃が自身の想像を上回る出来に仕上がっていたのである。これまで小型の銃では弾道がぶれていた距離でも全くぶれることなくまっすぐに弾を進ませ、弾速も射程も飛躍的に向上していた。さらに大量の魔力を噴き上げたのにも関わらず銃口のフレームもまったく消耗していない。 

 威力、弾速、射程、耐久力、そのすべてが思い描いた理想に限りなく近い形で実現したのである。


 「すごって……作ったのお前だろ」

 「そうだけどさ、まさかこんなによくできるなんて思わなかった」


 ハルトはやはり淡々と答えながらボルトを起こして空になった弾薬を排出した。薬莢を回収したハルトは次の弾を装填すると同じように構え、引き金を引いた。

 銃はさっきと同じように銃口から魔力を噴き上げるがやはりフレームはびくともしていない。再び薬莢を排出するハルトの仕草を見たループスはさらなる疑問を抱いた。


 「今回は弾とやらは一発ずつしか撃てないのか」

 「まあな。一発一発の精度のことを考えたらこうするしかなかった」


 大型銃には一度の装填につき弾を一発しか撃てないという欠点があった。しかしそれは構造上の欠陥などではなく、射撃精度などを考慮した結果あえてそうしたものであった。


 「そもそもこんなヤバい弾をそう何発も撃つ必要があると思うか?」

 「そう言われるとなさそうだが……」


 ハルトは逆にループスに疑問を突き付けた。遠距離からの狙撃を目的とした運用を前提としている以上、連射能力や取り回しなどは問題ではなかった。


 「それよりさ、これにもっと遠くのものを見えるようにできる何かを取り付けたいんだ」


 運用試験を経てハルトはさらなる改良点を発見した。それはより遠くのものを鮮明に見るためのオプションの追加であった。遠距離からの狙撃が可能であるとはいえ、狙いをつけられるのはあくまで視認できる範囲だけである。ハルトは優れた聴覚こそあるが視力は人並であり、自力で狙える範囲は限られていた。


 「遠くのものを、ねぇ……眼鏡の要領を応用すればいいんじゃないか?度が強い奴なら遠くのものも見えるはずだろう」


 ループスはレンズを利用して視野を補強するアイデアをハルトに提示した。というよりはそれしか思い当たるアイデアがなかったといった方が正確であった。



 「んじゃ行くか。眼鏡売ってる場所ってどこにあるんだ?」

 「えぇー。まだやるのかよ」

 「当たり前だろう。実現できる範囲で改良できるところはとことんやりたいからな」

 

 ハルトは銃を再びマウントするとループスを連れてさらなる開発への一歩を踏み出した。そんなハルトに呆れつつもループスは歩みを共にするのであった。

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