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メイズ・ラビリンス  作者: サッソウ
SEASON1
6/13

第六章 怪盗ゼロの正体(後編)

 事件が少し解決へと向かったが、どうやって密室にしたのか、それは至って簡単だった。ホテル独特の"オートロック"であった。

「どっちにしろ、オートロックでなくてもヤツは鍵を持ってるだろう……」

 と、マーク警部が言った。そこへ、

「お兄ちゃんがどこにもいない!!」

 カリスとルーズの研修生達が来た。

「なに!?」

 一番に驚いたのはルーズだった。

「ジャック君がいなくなったのか!?」

 マックスも心配そうだ。

「おじさん、なんであの子がジャックだって分かったの?」

 とカリスが言うと

「それは、君たちが来たときに分かっていた。でも今は、ジャック君を一刻も早く捜さなければ」

 と、マックスは言った。

(カリス・ハドレット・ディロの兄ということと、ルーズの所で生まれたのカリスだけだということ。ディロ家も聞いたところでは、四男一女だということ。そうなると、(おの)ずと四男のジャック・ディロであるという結論に達する)

 マックスはそう推理していた。

「しかし、困ったな。ポリスンもどっかに行ったし、ブロダイクとそのジャックとかいう子も探さなきゃならないし、何といっても怪盗ゼロも捕まえに行かないと……」

 マーク警部は困った。すると、ルーズが巧みに指示をした。

「ヨゼナ研修員とコドリーナ秘書、カリスはジャックを探してくれ。シナリー研修員とモーデム研修員はブロダイクの居場所の情報収集。写真は、マーク警部に見せてもらえ。トビック助手は部屋で待機。ビードリ助手は、マーク警部の優秀部下ポリスンを探せ。2年前に一度会ってるから分かるだろ。私はここでもう一度捜査させてくれ。ビルとマーク警部は、怪盗ゼロを……。以上、健闘を祈る」

「了解」

 今、大捜査が始まるかのように思えたが、奥から走ってくる影が見えた。

「ジャック!!」

 ジャックが走ってくる。どうやら、無事に帰ってこられたようだ。

「ジャック、どこに行ってたんだ!?」

 やはり一番に声をかけたのは、ジェネリーと再婚してジャックとの関係が一番深いルーズだった。

「そっ、それが……」

 ジャックが話そうとしたとき、

「犯行時間もう取り返しのつかないぐらいに過ぎてる!! 急ぐぞ!!」

 マーク警部はやはり焦っている。

「警部、いくらゼロでもあんなセキュリティを一発では無理だと思いますが……」

「私は行く」

 マーク警部が走って金庫の方へ。それを追いかけるマックス。

「っで、話の続きだ」

 ルーズが言うと

「それが、道に迷って、歩いていたら"ポリスン・ハード"って書いてあったから、ポリスンっていう人、知ってるでしょ? それでノックして入ったら、そこに怪盗ゼロがいて、それで」

「ちょっと待て! ゼロに会ったのか!?」

 驚くルーズ。

「うん」

 とジャックは返答した。

(おいおい、ゼロ、やってくれるなぁ)

 ルーズはそう思った。


 金庫はやられていた。そこには、重力感知センサーを防ぐための宙に浮いたロープと赤外線を反射している薄い鏡が。そして防犯カメラには誰もいない金庫を撮った写真がレンズにくっ付いていた。

「これ、どっかの映画かテレビで見たことあるな」

 半分関心、半分呆(あき)れて見ているマーク警部。そこへ

「ゼロの犯行(サーカス)か。……すごいな」

 と、苦笑するマックス。

「では、もう一度開演致しましょうか?」

 ゼロが後ろから来る。

「ゼロ!!」

 マックスとマーク警部がハモった。


流石(さすが)に、この金庫は無理があり過ぎです……。誰が、こんなことを企画したでしょうねぇ?」

 と、ゼロが言うと

「ゼロ、お前! ジャックになんかしたんじゃないだろうな!?」

 ルーズが来た。

「それはない。私は紳士のような怪盗だ。それに、この催しはあなたが企画したんですね」

 と、ゼロが言うとルーズは反論しなかった。どうやら、ルーズが企画したものだった。ルーズは、

「ゼロご本人の登場には、驚いたよ。本当はウチの者がするはずだったんだがな……。ホテルにも承諾を得たし。ただ、殺人事件は想定外だった……」

「しかし、怪盗ゼロ、いやアルファと呼んで欲しいか? それともポリスン・ハードがいいか!?」

 マーク警部が見破ったかのように言う。

「いつ現場を抜け出したんだ?」

 するて、突如、ゼロが逃げる。それを追うマックスとマーク警部。そして、残されたルーズ。

 逃走劇が始まった。 ホテル内を駆け回る。

「ゼロ、どこ行く気だ!?」

 マーク警部がそう言うが、ゼロは無言だ。観光客をかき分け、なぜか階段を上がっている。そして、ゼロの足が止まった。

「どうした? 観念するか?」

 マーク警部が手錠を片手に、ゼロが見ている扉をふと見ると"412号室"と書いてある。

「何のつもりだ!?」

 マークがそう問うと、ゼロはポケットから何かを取り出した。それは……


「これを見てください」

 ゼロは携帯電話を開けて見せた。

「それ、ルーズの携帯電話じゃないか!」

 と、マックスが言った。

 画面には、


 ”From モーデム

  Sud 聞き込み調査結果報告書

  先生、ブロダイク・タブースの居場所が分かりました。

  4階の412号室に偽名で宿泊しています。

  -----END-----”

「バイブレータが長かったから、()ってみると、これが見えたもので……」

 と、ゼロが言うと、

「自分で紳士って言ったじゃないですか……」

 とマックスがつっこむ。

「しかし、部屋にいるかどうかだな」

 扉を開けた。そこには、人影が!

「動くな! ブロダイク・タブース、逮捕する!」

「何!? 警察か!?」

 ブロダイクは支度を済まし、これからチェックアウトをしにフロントに向かう直前だった。また、変装していたが、マークが変装を外し、

「20時17分、逮捕」



 その後、ゼロには逃げられた。しかし、ブロダイクをまず事情聴取すべく、パトカーに乗せた。警察官と共に、マーク警部は助手席に乗り、窓を開けた。

「マックス、今日は大物が捕れた。感謝する。しかし、ゼロは逮捕できなかった。でも、私はゼロ追う。チャルロットと呼ばれるにはまだ早い」

 と、マーク警部が言った。

「そうですか。警部がまだ早いなら、僕もまだ早いですね」

 とマックスは言った。

「またどこかで会おう。それまで」

「さよならですか? おじいちゃん……」

 マーク警部とブロダイクを乗せたパトカーは暗闇に消えた。

 今夜は、一層、建物の光り輝くネオンが綺麗だった。


To be continued…


SEASON1がこれにて終了です。冒頭に、”度重なるリフォームで、部屋ごとに解錠方法が異なり”という文章を追加しても良かった気がするな。あと、ルーズ組のキャラ多過ぎ。その後、出てきたかな……?

次は、ブログで特別編として載せた、もしもの第一章。ルーズが登場する第一章です。それをもって、今回の集中更新は終了です。

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