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メイズ・ラビリンス  作者: サッソウ
SEASON1
2/13

第二章 長年の願い

 予告状には、15日の深夜十二時丁度に先祖代々受け継いでいる宝をいただきに参上する。しかし、この家に"先祖代々受け継いでいる宝"など無いと、ジェネリーは言った。だが、怪盗ゼロはもう進入していた。予告時刻まであとわずか……


 14日 深夜1時

 マックスはジェネリーの許可をもらい、まだ調べていない倉庫を調べていた。そこへ、

「探偵なんか辞めろ」

 マーク警部だ。

「警部には申し訳ないことをした」

 調査を続けている。

「ちゃんと顔を見て話せ」

 古いタンスを調べる、マックス。

「私には関係ないが怪盗ゼロから予告状が届いたらしいじゃないか」

「盗み聞きはいけませんよ」

「……そんな言い方をするな」

 マーク警部は一瞬困惑したようだった。では、盗み聞きをしたのは……

 今度は、ホコリに埋もれた冷蔵庫を調べる、マックス。

「警部とこんな口調で、また話せるとは思いもしませんでした」

「今だけだ。私……今の(わし)はどうかしている」

「一人称、"わたし"から"わし"に変わりましたね」

 マークはそれを無視し、

「物にそんなに触れて、動かして良いのか?」

「許可は取ってあります」

「物に触れる……物色、……物色人」

「へ?」

「呼び方を変える。悪人から物色人にな」

 二階への階段を見つけた、マックスは

「僕は二階へ行きますんで」

 すると、マーク警部は

「決めた。怪盗ゼロは私が捕まえよう」

「僕の仕事ですよ」

「人数は多いほうがいい」

「ご機嫌ですね」

 吹き抜けから顔を出す、マックス。

「お前に賭けてみる。ただし、三年前の事件の賠償金等は別として」

「……それは、それは」

 その後、二人は三年ぶりに、共に行動し始めた。


 深夜三時

「そもそも、ゼロは何を盗む気なんだ?」

「"先祖代々受け継いでいる宝"を盗む気らしいんです」

「なんだ? それ」

 マーク警部の口調が柔らかくなる。そこへ、警部の部下、ポリスン刑事がジェネリーを連れて来た。

「マックスさん、ちょっと来ていただけませんか?」

 場所は変わって、玄関前の噴水。

「屋敷の前の噴水にこんな文字が……」

「日本語ですね……。"針がてっぺんを指し、満月の月の光当たりし時、扉は開く。左に湖ない、右に池。最後の扉、開けず……"そのあとは、かすれて読めませんね」

 マーク警部が「何故日本語で書かれているのか」と言う前に、ジェネリーが

「祖父は日本が好きでしたから」

「そうですか。……"針"は時計かな」

 と、マックス。

「時計だと、てっぺんは十二時だな」

 マークとマックスは、共に日本を一度訪れたことがあった。マックスは、ジェネリーに

「昔からある時計ってありますか」

「はい」

「しかし、さすがに仮眠を取らんと……」

 マーク警部は目をこすった。


 屋敷の玄関。豪華なシャンデリアや赤いカーペットがある。正面、サイドに階段、その間に古時計がある。しかし、針は6時30分で止まっていた。その理由はジェネリーがこう言った。

「祖父が亡くなったのがこの時間でした」

「そうですか……。時計はこれだとしたら」

 上を見上げると、天井の一部がガラス張りになっている。

「月の光はあそこからか」

「扉は……」

 マックスが何かに気づき、ライターを床に近づける。

「物色人、カーペットを焼くなよ」

 と、マークが忠告。ライターの灯が揺れる。

(かす)かに風が下から吹いてますね」

 大きなカーペットを退かすと、扉が!

「恐ろしい程、合致するな」

 マークはマックスの捜査の手伝いも邪魔もしない。

「次は"左に湖ない、右に池"か」

「それは、日本で言う洒落(しゃれ)ですね。"右に行け"ってことでしょうから」



「ビンゴだな。今夜は快晴で満月だ」

 マークは天窓を見ていた。マックスが周りを見渡して、

「ところで、警部。部下のポリスンとかいう人は、どちらに……」

「事件の報告に本庁に戻った」

 月の光が玄関の古時計を差した。すると、まるで太陽光発電でもあるかのように、針が高速で動き出した。右回りに回る。そして、12時を指した直後、ガチッと歯車が噛み合うような音がして、仕掛けが動く音がする。すると、床の扉が開いていく。

「地下への階段か……」


「ところで、何故私たちが先に進むんですか? 入り口で待っていれば……」

 マックスは懐中電灯を持ち、先頭を行く。マークはその問いに、

「長年の経験から言えば、入り口で待っていれば、一発で餌食になる」

「警部は、怪盗ゼロをずっと追いかけてますからね。」「あぁ」

(怪盗ゼロ。アイツには、偽りの物的証拠を渡された。3年前のあの事件で……)

 口には出さず、マックスはそう思った。

 道が二つになった。マックスらは右へ行く。

 誰かが跡をつけていることに、マックスとマークは感づいていた。

「次は"最後の扉を開けず……"だな」

 すると、マックスの足が止まる。

「どうした?」

 マックスは左右を見る。右側の壁に近づいた。

「これ、扉ですよ」

 壁が凸凹している中、一面だけ平らであるところがある。よく見れば、ちゃんとノブがある。

「こいつの観察力には勝てん」

 扉をマックス、マーク、ジェネリーの3人がかりで閉める。因みに、バイオレントは仕事に出掛けている。

 扉が閉まったら、右の扉があったところに抜け口がある。中に入ると、部屋のようだ。ステンドガラスから少量の光が射し込む。

「これからどうするんだ?」

「さぁ。少なくとも、」

「ゼロか……」

「あぁ。今まで跡をつけてきたからな」

 マーク警部の問いにマックスが答え、考えが意気投合した。

「分かってましたか」

 後ろからゼロが近づく。

「無論だな」

「"針がてっぺんを指し、満月の月の光があたりし時、扉は開く。左に湖ない、右に池。最後の扉は開けずに閉める。抜け口を抜け、着いたところがステンドガラスのある部屋。右、左、中央の順に燭台に火を灯す。そうすれば、あらわれる"」

「調べていたのか」

 マークの問いに、ゼロは片目を閉じて、答えた。

「警部、逮捕は?」

「こんな簡単に逮捕したら、これまでのことが無駄になる」

 マーク警部はゼロを長年追いかけていた。そのため、マークはゼロを現行犯逮捕として、捕まえようと考えていた。


To be continued…


当時、作品としては探偵と警察と怪盗の三つ巴にしようとしたものの、ストーリー展開上、あっさりと路線変更して、探偵と警察を組ませることになりました。そのため、マーク警部の手のひら返しが早い。あと、他にもいろいろと書きたいことはあるけれど、初々しさってことで片付けて、後書きはこのくらいで。

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