特別編 マックス&ルーズ、灯台もと暗し事件
事件は急に起こった。マックス・ヴィルソン探偵とルーズ・ハドレット名探偵が現場のスティル中央病院に居たので、看護師の悲鳴を聞き付けてすぐに、現場に駆けつけた。なぜ病院にいたのかというと、ジェネリー・ディロ(=ルーズの現在の妻)が赤ちゃんを授かったからである。
現場に着いて、整理すると、亡くなったのは、明日退院予定のボグ・バロロさん。死因は首を強く締め付けられての殺害。その証拠に、首に縄のあとがある。
「この殺害方法なら、ほとんどの人ができてしまうな…」
と、マックス探偵が言った。
「つまり、全員が容疑者だな」
と、ルーズが言う。言うまでもないが、幼い子供や非力な人は除いてだ。
「しかし、全員となると、何百人にも及ぶぞ。聴取に何日かかることやら……」
と、ネール警部が言った。
ちなみに、マーク警部は体調不良のため、ここ最近自宅で休養をとっており、代わりにネール・イーズル警部がこの付近の管轄である。
「全員に事情聴取はかけられないな」
マックスが周りを見渡し、
「しかし、この付近の防犯カメラさえあれば―」
迷っている時に、院長が来た。
「何があったんですか?」
「院長、久しぶりですね。早速ですが、この部屋の付近に防犯カメラなどはありませんか?」
マックスは数年前のリニアモーターカーハッキング事件の時、院長にお世話になった。
「この辺りに防犯カメラですか……。残念ながら、防犯カメラは受付付近にしか設置していないんですよ。抗議をしても金銭関係で追加設置許可を出してくれませんから」
そう院長は言った。
「そうですか……」
無論、指紋を検出することもできなかった。
「完全犯罪ってヤツか」
ネール警部はそう言った。
「目撃者を捜すのも、事情聴取をかけるのも同じか……」
マックスは考え込む。
「迷宮入りにだけはしたくないな」
と、ルーズが言った。
「容疑者は一部除いた、この病院にいる全員ということか。厄介だな」
ネール警部が言うが、そう簡単に行動はできない。
暗礁に乗り上げた。
目撃証言さえもとれないだろうと思いつつも、仕方なく、聞き込みを開始した。
ルーズはジェネリーに断ってきたみたいだ。
「どうだ? 何か分かったか?」
ルーズが聞くと、
「ダメだな。無視されて知らないと言われ、手がかり無し」
と、ネール警部が言った。
「迷宮入り……」
そんな話をしていると、マックスが聞き込みから戻って来た。
「どうだ? ビル、なんか手応えがあったか?」
と、期待していないルーズが聞くと、マックスは
「あった」
「何!? 本当か?」
「あぁ。ボグさんの病室から出てきた人を見たらしい」
マックスの後ろにいるのは…
「……ポリスンか!?」
ルーズは一瞬見間違えたかと思ったが、確かにそこにいたのはポリスンだった。
「というか、何故、ここに?」
と、ルーズは思わず聞いてしまった。
「知り合いが入院して……」
ポリスンが言いかけると、マックスは咳払いをして、ルーズは
「おっと、その話じゃなかったな」
「僕が見たのは、その病室から花束を持って走っていった男です。顔を偶然見たので……」
「よくやった。警部……って、あれ?」
ネール警部がいない。
「警部って? マーク警部ですか?」
「いいや、ネール警部だ」
「誰ですか?」
と、ポリスン。
「まさか!?」
ポリスンがネール警部を知らないというと、可能性はただ一つ…
「犯人はニセの警部…ネールか!?」
すぐに正面玄関に行くと、ネールはいた。自動ドアを駆け抜け、外に出ようとしていた。
「おい、騙したな!」
ルーズは地元の警察署にいない人物を警察関係者と思った自分にも腹がたっていた。
走る、走る。そして、
「それ以上は行かせない」
誰かがネールを取り押さえた。
「ありがとうございます。って、マーク警部!?」
マーク警部がネールを捕らえたのだった。
こうして事件は、一件落着。
そういえば、ルーズとジェネリーの子は…
「ルーズ、おめでとう。それにジェネリーさんも」
マックスが2人と赤ちゃんを祝福した。
「どんな名前にするんだ?」
「"ロゴス"」
ルーズはそう言った。
To be continued…
『小説家になろう』では、この話で『メイズ・ラビリンス』最終回です。
ブログ版では、未完のSEASON3があるのものの、確か1話と半分しかないですね。2011年9月に少し書いて、2013年に再開させたが結局、頓挫してしまい……。結局、SEASON3を完結まで書けず、打ち切った作品でもありました。当時の設定や資料がなく、続きは難しいかと……