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第二十六話 VSハヤブサ⑤

 やった、イルカちゃんを取り返せた!


 これで問題は全て解決だね!


 それにしても、ハヤブサのヒナはかわいいなぁ。親ハヤブサはたくましくて少し怖いイメージだけど、どんな鳥でもヒナのこ頃はかわいい。うんうん。


 しばらくハヤブサのヒナたちがエサを食べる様子に見とれていると、


 ……かきかき、かきかき、かきかき。


 横からなにやら音が聞こえる。


「できたっ!」


 その声に反応して横を見ると、なんと、ティティアンノートにハヤブサたちの絵が完成していた。ペンを握っているのは、楓ちゃん。


「あーーっ!!いつの間に!!」


(こら、大きな声を出さない!!)


 すかさず彩先輩の手がわたしの口をふさいでくる。


「ふっふっふ~。見るがいい、この私の真の力を!ティティアンエボリューション・ハヤブサ!」


 楓ちゃんの身体が光に包まれて、シジュウカラの動物少女からハヤブサと思われる姿の動物少女へと変身する。シジュウカラの白、青、黄色を基調としたかわいらしい色使いから、羽根や胸にハヤブサ特有の力強い模様が入った華麗で雄々しいな姿へと変わる。


「あっ、いいナァ。さすが楓、絵を描くのが早いナ」


 パフィンちゃんが指をくわえて楓ちゃんの方を見ている。


 彩先輩「私達も描きたい、と言いたいところだけど、あんまり長居するのも悪いし、ぬいぐるみを早くひとみちゃんに返してあげなきゃね。GPSの位置情報を記録しておけば、いつでもまたここには来られるし」


 楓ちゃん「せめてこのヒナたちが巣立つまでは、様子見に来たいよね!中学の生物部が野生のハヤブサの巣の観察ドキュメンタリーなんて撮れたら大金星だよ!部費アップしてくれるかも!?」


 わたし「エサ場の環境が回復して、またエサが取れるようになるまではお世話してあげたいなぁ。仲間と思ってくれてるかどうかはわからないけど、警戒はされなくなったみたいだし、それに何よりかわいいし」


 パフィンちゃん「よし、位置座標記録完了しタ。次来るときは撮影用の小型カメラも持ってきたいナ」


「じゃ、そろそろ行きましょうか。みんな待ってる」


 彩先輩がそういうと、みんな広げたお弁当をバッグにしまって、名残惜しそうに巣穴の出口まで足を進める。そして、チャチャちゃん当てに通話アプリで無事にイルカのぬいぐるみを取り戻した事を伝える。


 そして再び――、空へ飛び立つ。



「ヒャッハーーーーー最高だぜーーーーー!!!!」



 そう叫びながら、大きく宙返りをしたり、コルクの栓抜きのような軌道でグルグル飛び回っているのは、ハヤブサの動物少女となった楓ちゃんだ。


「やっぱり楓ちゃんいいなあ。わたしも描きたかったな。でもわたしじゃ時間かかるから今日はムリだったかな」


「まっーたく、お調子ものなんだから。でもさすがハヤブサ、すごいスピードと動きね」


「いやー満足満足。これはストレス解消にもってこいだねえ。また今度来た時には、この辺を私たちのナワバリにしてさ、山下公園の時みたいにみんなで空中撮影したいね!」


「もうそろそロ、チャチャと別れた場所に着くゾ。人目に注意しながら着地しよウ」


「「「「ティティアンリターン!」」」」



 そうしてわたしたちは周りに注意しながら、全員で変身したあたりの場所へと戻ってきて変身を解いた。そしてひとみちゃんのおじいさん家へと向かう。途中に黒焦げになったオートバイが転がっていて、消防隊員の方が色々と調べているようだった。



「そう言えば、おねえちゃんへの連絡すっかり忘れてた!オートバイに乗ってた人、どうなったのかな?大丈夫だったのかな?」


 わたしは慌ててスマホでおねえちゃんに連絡を取ってみる。


「あっ、おねえちゃん、オートバイに乗ってた人、大丈夫だった?」


「うん、少し前に病院に着いたところ。意識もはっきりしているわよ。ご家族の方とも連絡が取れて、今こっちに向かっているみたい。そっちの方はどうなった?」


「電話だから長くは説明できないけど、わたしたちがひとみちゃんを見つけたよ!ちょっ事情があって、ふたつに分かれて行動してたんだけど……また後で説明するね!」


 そう言って電話を切った。よかった、無事だったみたいだ。



 そうしてしばらく歩いて、再びひとみちゃんのおじいさんの家に着いた。家の周りには、出発時よりもずっと多い人間が集まってきている。


「チャチャーーっ、戻ってきたぞ!無事にイルカちゃんも奪還成功!」


 楓ちゃんが一番に集団へと走り出す。


「あっ、帰ってきた!よく取り戻せたね、あの後どうだった?」


「落ち着いたら詳しく話すよ、それにしても、すごい人だねえ」


「うん、ボランティアの女子中学生が大金星だって、マスコミから質問攻めだよ~。一緒に探したメンバーという事で、みんなりん達の帰りを待ってたんだよ」


「そうだっだんだ、ところで、ひとみちゃんは?」


 楓ちゃんとチャチャちゃんの会話に反応して、


「今は家の中で、疲れて寝ています。父と近所の診察所のお医者さんがつきっきりで見てくれてて、何の以上もございませんが、しばらく様子を見て後で念のために病院に連れて行こうかと」


 そう答えてくれたのは、ひとみちゃんのご両親だ。


「はい、イルカのぬいぐるみも見つけてきましたよ。ちょっと大変だったけど……」


 彩先輩が両親を安心させるように、バッグからイルカのぬいぐるみを取り出す。


 そうしてわたしたちは、イルカのぬいぐるみを取り戻した方法に関しては何とかごまかしながら、マスコミや警察の人の質問に答えていったのでした。



 ☆☆



「何から何まで本当に……本当に……ありがとうございます。お礼の言いようもございません。家族一同、本当に心から感謝します……!」


「是非ともお礼をしたいのですけど、何なりとおっしゃって下さい!」


 ひとみちゃんのご両親から、改めて、そして何度もお礼を言われました。


 え、今なんでもするって……!


 その時だった。


 ぐぅ~~、ぐうぅ~~。


 どこからともなく音が聞こえた。


 音の正体は……わたしたち生物部捜索隊全員だった。


 ふと時間を見てみると、丁度昼の12時過ぎ、ランチタイムだった。


「あはは……あれだけ飛び回ったから、さすがにお腹減ったねぇ」


 楓ちゃんが胃袋のあたりをさすりながら言う。いやいや、楓ちゃんはハヤブサに変身してからウチらの3倍は飛んでたからでしょ!


「ちょっとワケあってお弁当が減っちゃったんだけド、チャチャにハお昼でも食べながら説明しようカ……」


 パフィンちゃんがチャチャちゃんの顔を見上げながら軽く笑う。


 その時だった。


「ぜひわたくし共にお昼をご馳走させて下さい!お願いします!」


 ひとみちゃんのご両親から食事へのお誘いをいただいた。そして、



 わたし「わたしは肉、にくーっ!」


 楓ちゃん「私も肉、あとフルーツ!」


 パフィンちゃん「わたしハ魚が食べたい!お寿司?あとお肉モ」


 チャチャちゃん「私は何でもいいよ~」


 彩先輩「私はスイーツ食べ放題かなぁっ!」



 あれ、これって……?


 ※※※※※※※※※※※※※


 主人公周りの設定ですー。


 飛鳥川(あすかわ) (りん) 本作の主人公。フォッサ女学院中等部生物部に所属する中学1年生。不思議な本「ティティアンノート」を発見したことから、動物少女に変身できるようになる。

 絵が下手なので、ティティアンノートにスケッチを描くのは一苦労。ペットはフクロウのスピックスコノハズク「スピピ」


 下連雀(しもれんじゃく) (あや) 中学2年生、生物部。しっかり者の優しい先輩キャラ。ペットは三毛猫の「マーブル」


 燕昇司(えんしょうじ) (かえで) 中学1年生、生物部。家はネットカフェチェーンを経営している。

 昔のマンガなどに詳しい。ペットはウサギのネザーランドドワーフ「キャラメル」


 (フォン) 佳佳(チャチャ) 中学1年生、生物部。中国系の女の子。 家は横浜中華街の料理店、「壱弐参菜館」。

 料理が得意。お金が好き。ペットはヨツユビハリネズミの「小太郎」


 パフィン・アルエット 中学1年生、生物部。外国から来た生徒。飛び級で進学しているため現在10歳。

 日本在住5年。好奇心旺盛でツッコミ大好き。ペットはパピヨン犬の「パピ」


 飛鳥川(あすかわ) 優衣(ゆい) 鈴の姉。フォッサ女学院高等部の高校2年生。ちょっと天然の入った性格。

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作者のもうひとつの作品、
スキル「世界の妹」を修得したら異世界で若おかみになっちゃった!
も宜しくお願いします!!
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