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第二十一話 黒い疾風

ちょっと間が空いてしまって申し訳ございません。今後とも宜しくお願いしますー。

 ウサギになった楓ちゃんを抱きかかえた、フクロウになったわたし、


 三毛猫になった彩先輩を抱きかかえた、ユリカモメになったパフィンちゃん。


 上空旋回をしながら、目視とスマートフォンのGPS機能で全員の動きを把握しているチャチャちゃん。


 匂いが途切れた場所から、わたしと楓ちゃんのコンビは右の小川の方に行き、パフィンちゃんと彩先輩のコンビは山の斜面の林になっている方を探してみる。


 「二歳だったら、もう自分の名前の呼びかけに反応するよね?」


 「私は記憶はないけど、親戚の子は名前で呼びかけると、あい!って返事してすごくかわいいよ」


 わたしと楓ちゃんが確認してみる。わたしにも妹いるけど、二歳のころはどうだったかなあ。


 その事をパフィンちゃん組に伝えると、


 「じゃあ、とにかくたくさん名前を呼んでみようよ!」


 「ラジャーでス!」


 ということになり、わたしたちはお互いにLINEのグループで連絡を取り合って、とにかく声を出してみる作戦を実行することとする。



 「「「「ひとみちゃーん!!!!いたら返事してー!!!!」」」」



 するとチャチャちゃんからスマホに連絡が入る。

 

 「あっ、オートバイの火が消し終わったみたいだよ。救急車も病院に向かって、優衣さんも一緒に乗ってるみたい。ライダーさんも大丈夫だって」


 「そっか、火が消えてよかったぁ」


 楓ちゃんがスマホの画面を読み上げ、わたしは少し安心する。そしてまたみんな捜索を続行する。


 

 「「「「ひとみちゃーん!!!!いたら返事してー!!!!」」」」


 

 そうしてしばらく飛んでいると、楓ちゃんの耳に今まで聞いたことのない声が聞こえてきたという。


 「鈴、いま、人の声みたいな音?音波?が聞こえた。あっち!!」


 「あっちだね、すぐに向かおう楓ちゃん!」


 スマホですぐに状況を全員に伝え、チャチャちゃん、パフィンちゃん、彩先輩もこちらに向かってくる。


 声らしき音がした方面は、小川が流れる河原と林で構成されていた。


 とりあえず一度地面に下りて、チャチャちゃん、パフィンちゃん、彩先輩と合流する。


 「確かに聞こえたんだよ。風の音でもない、木の葉がこすれる音でもない、鳥の泣き声でもない音が」


 楓ちゃんが力説してくる。


 「よし、ここからは歩いて探しましょう。もしも崖とか斜面とか、危険そうな場所があったら近づかないこと。10分ごとにみんなグループチャットに定時連絡しましょう」


 彩先輩が先輩らしい的確な指示を出してくれる。


 「周辺の区域をマス目で区切って、同じ場所を探さないよう効率よくいきまショウ」


 さすが優等生のパフィンちゃん、周辺の地図をアプリをつかって区切っていき、それぞれの捜索担当を決めていく。


 そしてみんなで名前を呼びながら、その返事をウサギの楓ちゃんと猫の彩先輩が聴き取ろうとする――を繰り返した。


 そうしてかれこれ30分くらいだろうか。




 そして――ついにその時はきた。


 チャチャちゃんが大声で叫び、その返事があるかどうかを彩先輩が聞き耳を立てる。

 


 「ひとみちゃーん!!」




 「……あいー」




 小さな川の縁で、水を飲もうとしているのか、身を乗り出している幼児が――いた。


 服装も、ご両親に自宅で聞いたときのものと同じだ。


 そして今にも川に落ちてしまいそうな、危なっかしい体勢だ。


 

 「「いたーーーーーーーー!!!!」」


 ダダダダダダダダダダダダダッ!!!!



 チャチャちゃんがあわてて走り出す。そしてぎりぎり、川の縁から女の子の抱きかかえる。



 「いたヨーーーーー!みんなに連絡しテーーーーー!!!!」


 

 一緒にいたパフィンちゃんが早速スマホでLINEのグループに連絡を入れ、みんなから一斉に返信が来る。


 「よし、とりあえずみんな道路の方に集合しよう! すぐにご両親の方へ向かおう!」


 わたしがそう書き込むと、最初にみんなが散開した場所へと集合となった。道路のわきのちょっと広くなっている場所で、車が五~六台くらい止められそうなスペースだ。


 「よーしよしよし、もう大丈夫でちゅよー」


 チャチャちゃんが抱っこしているひとみちゃんを、わたしをはじめみんなであやしている。


 「ねえ、この子お腹とかすいてるんじゃないか?」


 「うん、いなくなってから四十時間経ってるんだものね……誰かおやつとか持ってる?」


 楓ちゃんと彩先輩が気が付く。


 「わたしクッキー持ってるよ!」


 パフィンちゃんがかばんからクッキーを取り出して、小さく割って口元に近づけてみる。


 ぱくぱく、ぱくぱく。食べてる!やっぱお腹すいてたんだね


 「おしめも替えてあげなきゃね~。よしよし、すぐにパパとママの所に連れて帰ってあげるからね」


 チャチャちゃんがそういって歩き出すと、


 「イルカちゃ、イルカちゃ」


 ひとみちゃんがしゃべり出す。


 「イルカちゃ? あっ、においを嗅ぐために借りてきたぬいぐるみの事かな?」


 そういえばオートバイの事故や空からの捜索に切り替わってすっかり忘れていた。お気に入りのぬいぐるみと聞いていたっけ。


 わたしはカバンから預かっていた薄ピンクのイルカのぬいぐるみを取り出し、ひとみちゃんに手渡す。


 「きゃっきゃっ、イルカちゃー!!」


 ひとみちゃんは満面の笑顔でイルカちゃを抱きしめる。とてもうれしそうだ。そうとうお気に入りだったんだろう。


 「ひょっとしたらこのぬいぐるみを持ってこようとして、家に戻ろうとして行方不明になったのかも知れないわね……」


 彩先輩が考えている。




 そうしてひとみちゃんのおじいさんの家に向かって歩いていると、みんなの間を何かが通り過ぎた。


 一瞬の間に、とても速いものが。



 そして、ひとみちゃんの手からイルカのぬいぐるみ「イルカちゃ」が消えていた――黒い影と共に。




 「あれは――ハヤブサ!?」




 あっという間に遠ざかる影を見て、パフィンちゃんがつぶやいた。

主人公周りの設定ですー。


飛鳥川(あすかわ) (りん) 本作の主人公。フォッサ女学院中等部生物部に所属する中学1年生。不思議な本「ティティアンノート」を発見したことから、動物少女に変身できるようになる。

絵が下手なので、ティティアンノートにスケッチを描くのは一苦労。ペットはフクロウのスピックスコノハズク「スピピ」


下連雀(しもれんじゃく) (あや) 中学2年生、生物部。しっかり者の優しい先輩キャラ。ペットは三毛猫の「マーブル」


燕昇司(えんしょうじ) (かえで) 中学1年生、生物部。家はネットカフェチェーンを経営している。

昔のマンガなどに詳しい。ペットはウサギのネザーランドドワーフ「キャラメル」


(フォン) 佳佳(チャチャ) 中学1年生、生物部。中国系の女の子。 家は横浜中華街の料理店、「壱弐参菜館」。

料理が得意。お金が好き。ペットはヨツユビハリネズミの「小太郎」


パフィン・アルエット 中学1年生、生物部。外国から来た生徒。飛び級で進学しているため現在10歳。

日本在住5年。好奇心旺盛でツッコミ大好き。ペットはパピヨン犬の「パピ」


飛鳥川(あすかわ) 優衣(ゆい) 鈴の姉。フォッサ女学院高等部の高校2年生。ちょっと天然の入った性格。


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作者のもうひとつの作品、
スキル「世界の妹」を修得したら異世界で若おかみになっちゃった!
も宜しくお願いします!!
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