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第二十話 だっこー

 「ここは私にまかせて、鈴たちは先に行きなさい。もっとも匂いが嗅げないから、ここから先は目視での捜索になるわね」


 「うん、わかった……何かあったらすぐ連絡するね!」


 「そうすると、やっぱり鳥になるしかないのかな……」



 そうこうしているうちに近づいてくるサイレン。


 

 「とりあえず、ここから見えない場所まで行こう。優衣先輩、スマホで私たちの位置、把握しておいて下さいね」


 彩先輩がおねえちゃんにお願いをする。


 「わかったわ」


 そう言って優衣おねえちゃんにオートバイのライダーさんの事を任せると、わたしたちはひとみちゃんの匂いが続いているであろう、坂の上へと歩いて行った。


 「さあ、ここからどうやって探そうか……」


 「やはり鳥になって空から探すのがいいと思うナ」


 「それ以外に、動物が人間より優れている感覚はあるかな?」


 楓ちゃん、パフィンちゃん、チャチャちゃんも考え込む。



 「……匂いがダメなら、聴覚かしらね。みんなが変身できる動物で、人間より可聴域の広い動物といったら…」


 彩先輩が少しの間目を閉じる。そして、



 「たとえば、私が猫、楓ちゃんがウサギになって、フクロウとユリカモメになった鈴とパフィンちゃんに抱っこしてもらって、空から音を聞き分けてみる、というのはどう?」


 「それいいですネ!彩先輩ナイスアイデアでス!」


 「チャチャちゃんはまとめ役として単独で、スマホのGPSでみんなの動きを把握していてもらえるかしら。何かあった時に現場に直行できるよう、スズガモの姿で」


 「わかりました、先輩!」



 そうと決まれば、早速変身だ。周りに人がいないことを確認してティティアンノートを広げる。



 「ティティアンエボリューション・スピックスコノハズク!」


 「ティティアンエボリューション・ユリカモメ!」


 「ティティアンエボリューション・スズガモ!」


 「ティティアンエボリューション・三毛猫!」


 「ティティアンエボリューション・ネザーランドドワーフ!」


 みんなでティティアンノート持ち回しながら変身をする。



 「彩先輩たちを抱っこしたまま飛べるのかナ?」


 パフィンちゃんが少し不安そうに言う。


 「それなら、こないだ山下公園で飛ぶ練習をしたときに、水に落ちた私を引っ張り上げてくれたから大丈夫かと思ってだけど、できるよね、きっと」


 そうだ、海に落ちた彩先輩を引っ張り上げたりしたんだっけ。そういえば、変身した時のわたしたちの体重って、どのくらいなんだろう。感覚的には変身元の動物とあまり変わらないような気もする。まあ、細かい事は今はいいか。



 「それじゃ物は試し、早速やってみるよ~。楓ちゃんをだっこ~♪」



 わたしはそう言うとウサギに変身した楓ちゃんを、お姫様抱っこをして軽く飛んでみる。ふわっ。


 練習を重ねて翼と腕を別々に動かせるようになったので、物を持ったまま飛べるのだ。


 空中で抱き合ってじっと見つめ合うわたしと楓ちゃん。



 「鈴、とりあえず抱っこされたまま飛べるのはわかったけど、これじゃ回りの音が聞きづらいし、何だか恥ずかしいよ~」


 「それもそうだね、てへ」


 そう言われると、一度地面に降りて今度は楓ちゃんを前向きに抱っこしなおして飛び上がる。ふわっ。問題ないようだ。


 わたしと楓ちゃんの顔が確信の笑顔になる。



 「鈴、これならイケるよ!空を飛びながら音を聞いての捜索!」


 「落っことすといけないから、ロープでお互いの体をつないでおこうか」


 

 よし、これなら大丈夫そうだ。


 早速、ユリカモメのパフィンちゃん×三毛猫の彩先輩のコンビも試しに飛んでみる。うん、問題ないみたいだ。


 

「よーし、捜索第二弾、空からお耳ぴょこぴょこ作戦、スタートだよ!!」


 「「「「おー!!」」」」



 こうして、鼻が利かなくなった代わりに空中から猫とウサギの聴覚を生かした捜索がスタートしたのでした。

主人公周りの設定ですー。


飛鳥川(あすかわ) (りん) 本作の主人公。フォッサ女学院中等部生物部に所属する中学1年生。不思議な本「ティティアンノート」を発見したことから、動物少女に変身できるようになる。

絵が下手なので、ティティアンノートにスケッチを描くのは一苦労。ペットはフクロウのスピックスコノハズク「スピピ」


下連雀(しもれんじゃく) (あや) 中学2年生、生物部。しっかり者の優しい先輩キャラ。ペットは三毛猫の「マーブル」


燕昇司(えんしょうじ) (かえで) 中学1年生、生物部。家はネットカフェチェーンを経営している。

昔のマンガなどに詳しい。ペットはウサギのネザーランドドワーフ「キャラメル」


(フォン) 佳佳(チャチャ) 中学1年生、生物部。中国系の女の子。 家は横浜中華街の料理店、「壱弐参菜館」。

料理が得意。お金が好き。ペットはヨツユビハリネズミの「小太郎」


パフィン・アルエット 中学1年生、生物部。外国から来た生徒。飛び級で進学しているため現在10歳。

日本在住5年。好奇心旺盛でツッコミ大好き。ペットはパピヨン犬の「パピ」


飛鳥川(あすかわ) 優衣(ゆい) 鈴の姉。フォッサ女学院高等部の高校2年生。ちょっと天然の入った性格。

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作者のもうひとつの作品、
スキル「世界の妹」を修得したら異世界で若おかみになっちゃった!
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