冒険の街 ビギナ
冒険の街ビギナ、多くの冒険者、旅人、商人が行き交うこの世界の大きな街。
そんな街のギルドに2人の姿があった。
「・・・以上でギルドの仕組みについての説明を終わります。質問はございますか?」
「いえ、大丈夫です」
「わかりました、ではこちらがヤマキ様とミズカ様のギルドカードです、無くしても再発行ができますが、手数料や時間がかかるので無くさないようにしてください」
「ありがとうございます」
ギルド嬢からギルドカードを受け取り懐にしまった。
2人はいまこの世界の冒険者になる為の手続きを行っていた。自身の生年月日記入から始まりギルドの説明を受け自分達のギルドカードを発行まで終えようやく冒険者になった。
ちなみにギルドの説明の内容はヤマキ達が読む本とほとんど内容が同じだった為2人ともすんなりと理解することができた。
「さっそくクエストを受けたいというのでしたらこちらなんてどうでしょう?」
そう言いギルド嬢が出したのは近くの森に生えている薬草の採取の依頼が描かれた紙だった。
「これなら道中弱い魔物と会うので魔物に慣れるのにも、お金を稼ぐのにも最適ですよ?」
「ありがとうございます、ならこのクエストを受けてみます」
そう言いクエスト受注の手続きを取り、
その後ギルドを後にした。
ービギナの近くの森ー
「薄気味悪い森だな」
目的地の森は木々が生い茂りほとんど光が差し込んでいなかった。
「うん、お化けが出そう」
少し怯えた様子で答えた。
「いや、出るのは魔物でしょ」
軽口を叩きながら森の中を歩いてると、目の前に水色のゼリー状の生き物が現れた。
その瞬間ーー
「「スライムっ!!」」
2人のテンションは一気にマックスになり2人揃って大声をあげた。
「ヤマキ君スライムだよ、スライム、本物のっ!!」
「うん、本物のスライムだ、初めて見る」
「私も、少し感激しちゃった」
ヤマキとミズカが話している間にスライムはプルプルと身体を震わせて襲いかかろうとしたが、
ーーその瞬間、ヤマキによってまっぷたつにされた。
「やっぱり弱いんだ」
知識どうりのことでより2人のテンションが高まって行った。
スライムの死骸はやがて綺麗に溶けていった。
その後も何度かスライムと遭遇しながら、ヤマキ達は指定された薬草の採取しながら森を探索し、ある程度薬草が手に入ったところでギルドに戻り薬草を渡しにいった。
「はい、確かに指定されていた薬草ですね」
ギルド嬢は薬草を持って奥にいくと、すぐに戻ってきた。
「こちらが今回の報酬の5万シンです」
受付嬢から5枚の青いお札が渡された。
「意外と高いね、簡単なのに」
ミズカが疑問を口にし、ヤマキが頷く。
この世界ではお金の単位はシンで日本の円と変わらず1円=1シン、呼び方が違うだけであった。つまりヤマキ達は薬草の採取で5万円稼いだことになる。
「それは、たくさんの人が薬草の依頼を出しているのに、やる人がいないからですよ。皆さんすぐに魔物の討伐の方に行ってしまいますから薬草の採取のクエストがたまって、あなた方のようにたまに受けると今までたまってた依頼をが一気に解消され今回のような金額になるんですよ」
「なるほど、ありがとうございます」
「いえいえ」
ミズカがお礼を言うと受付嬢は笑顔を浮かべた。
「それよりもどうでした?初めてのクエストは?」
「とてもいい経験になりました」
「そう、それは良かったですね」
ギルド嬢はまた笑顔を浮かべた。
また明日来ますと言い残しギルドを後にし帰路につく。
「ヤマキ君」
「何?ミズカさん」
「今日は楽しかったね」
「うん」
「この後どうする?」
「すぐに旅立つつもり、近くに他種族の村があるって聞いたから、そこに行こうと思ってる」
「いいね、お金も余裕あるし、ちなみにどんな種族?」
「エルフ」