異世界は意外と大変
「・・・今まで魔王は何度も現れました。そして、世界を支配しようと無抵抗の人々を襲い多くのものを略奪し多大なる被害を残していきます。そのため女神は魔王が現れるたびに強大な力持った者をこの世界に送り、その者が魔王倒し世界に平和をもたらします。それがこの世界で幾度もなく繰り返されてきました・・・・今日はこれぐらいにします、質問のある方は後で来てください、明日は相打ちになった勇者については教えます。それでは皆さんゆっくりと休んでください。」
そう言うと講師のミスティアは片付けをした後部屋から出て行った。
「ふー、やっと終わった・・・」
山城は大きな息を吐き体を伸ばした。
「思ったより大変だね異世界」
隣の二宮が少し疲れた顔で微笑んだ。
ここはクリナ王国の教養部屋。
一ヶ月前に、山城達が女神によって送られた異世界の王国、そこで山城達はこの世界の歴史や知識を学んでいた。最初こそモンスターについての授業が多く山城も喜んで受けていたが今となっては元々勉強が好きじゃない山城にとって苦痛の歴史が多くなっていた。一応、実戦授業による魔物討伐があるのだが回数が少なく実感が湧かなかった。
「まさか、異世界に行っても勉強することになるとわなー」
「私も少し驚いてる、もっと魔物とか倒したり、すぐに旅に出られると思った」
「だよね、俺もそう思ってた、でも周りの人達は魔王討伐のためって頑張ってるしなー」
そう言うと二宮は呆れた顔をした
「あれは、英雄扱いされてるからだよ・・・、ほらこの世界だと私達かなり優秀な分類にはいるでしょ?だから、異性からアタックされる事が多くなったからいい気になってるだけだよ、朝凪君も何回か異性から色目使われなかった?」
「いや・・ない」
「そうで・・・ってないの!」
二宮が少し驚き聞き直して来た。
「うん、ない」
山城はもう一度ここに来てからのこと思い返してみてもそんなことは記憶になかった。
「本当に一度もないの?」
「本当に一度もない」
「嘘・・・なんで・・」
「さぁ?そんなことがあることも知らなかった、二宮さんは?」
「えっ私?私はー・・何回・・か・・」
「へぇ、二宮さんすごいね」
「あっでも、全部断ったよ」
「?」
少し慌てて否定してきた二宮に山城はくびをかしげた。
夕食の時間頃。
「あっそうだ、二宮さんに話したいことがあるから、夕食後部屋に来てくれないかな?」
「えっ部屋に?別にいいけど・・」
「ありがとう二宮さん、それじゃ部屋で待ってるから」
そう言うと山城は立ち上がり夕食を食べに食堂に向かった。
後少しで旅を始めます