sideヤマキ2
「凄い・・・」
目の前に広がる光景にヤマキは驚いた。そこには何百何万もの本が宙に漂っている、元の世界では決して見ることができない光景に、ヤマキは何度目かの異世界に来たという喜びが体のうちからこみ上げてきた。
「あのぉ?あなた人族の旅人さんですか~?」
受付のエルフと似たような言葉をかけられ振り向くと。
「そうですよね~?耳が丸いし~髪も黒い、何よりお見かけしたことがありませんし~」
黒い髪に赤い目をした女性が立っていた、顔立ちはエルフそのものだが今までヤマキが見かけたエルフは全員髪は金色で目は青色だった。はじめてみたエルフだがヤマキには心当たりがあった。
「ダークエルフ・・・?」
「はぁい、私はダークエルフのミティ・キラ・ルールです。この図書館の管理人をしています~」
ヤマキがこぼした言葉を聞きうれしそうに自己紹介をすると、キラキラと輝いた目でヤマキを見ている。
「えーと、俺は朝凪山城です。ミティさんの言うとおり人族の旅人です」
「やっぱりそうですかぁ、会えてうれしいですねぇ。私ここからあまり出ないのでなかなか他種族を見かけることが無いんですよ~」
ヤマキの自己紹介を聞きミティはよりいっそう目を輝かせた。
「人族を見たのはヤマキさんで初めてですね~」
「俺もダークエルフを見たのは初めてですね」
「それもそうですよ~、ダークエルフはエルフの亜種族ですからぁそんなポンポンいませんよ~」
「亜種族・・・?」
聞きなれない言葉に首をかしげる。
「亜種族というのはですねぇ、たまに生まれてくる固体のことで~本来の性質とまったく逆の性質を持って生まれてくるんですよ~。例えば~、エルフなら本来使えない火の魔法が使えたり~逆に治癒の魔法が使えなかったりしますねぇ」
「へ~、ミティさんって凄いんですね」
元の世界の突然変異体のようなものだと理解した。
「そんなことないですよぉ、それよりヤマキさんは何を調べる為にここに来たんですか~?よろしければお手伝いしますよ~」
「えっとですね・・・」
ヤマキはこの世界に来たときから引っかかっていた言葉があったそれはヤマキたちをこの世界に飛ばした女神が言った台詞中に出てきた言葉。
「ハーム一族について調べる為に気ました」
ハーム一族、クリナ王国いたころにも教えてもらえなっかことだった、何度かハーム一族について教えてもらえず、流されるだけだった、それ故ヤマキはずっと気になっていたハーム一族とは何なのか?何故女神があんなにも声を変え釘を刺したのか気になった。
「ハーム一族につい・・・て、ですか・・・」
先ほどまでとの雰囲気がいっきに変わり、ヤマキは体に冷たい物走る感覚がした。
ミティは少し考えるそぶりをしてからヤマキに言う。
「今からハーム一族に関する本をだしますね~、でもぉ見た後は絶対にハーム一族にかかわらないようにして下さいね~」
そういうとミティは軽く腕を上げブツブツと小さな声で何か言い始めた。すると宙を漂っていた本が一冊ミティの手に降りてきた。その本を丁寧に持ちヤマキに渡した。
「それがハーム一族についての本です、どうぞごゆっくり腰をかけてお読みくだい」