side ミズカ2
「昔、私が付き合っていた付き合っていたときなんですけどね、当初、奥手だった私は、なかなか関係を深めることができなかったんですよ。いざ、やろうと!といきこんでもどうしても後一歩が踏めなかったそんな日々が続いたんですよ。そんな時、私のところに付き合ってた彼が死んだって連絡がきたんですよ、信じられなくて私はすぐに確認しに行きましたよ。結局、見たのは半分顔がえぐれた彼の死に顔でした。死因は魔物でした。そのとき私はどうして後一歩踏み出せなかったんだろうとすごく後悔しました、もっと大好きだった彼と一緒の時間をすごせたはずなのにと、そして私は、私のような気持ちを抱えるひとがもう出ないようこのお店を開きました」
「エルナさん・・・」
少し悲しそうな顔をしながら自身の過去話すエルナにミズカは悲痛な気持ちになった。はじめて出会ってから少ししか経ってないが、ミズカの中のエルナは笑顔が多く明るかった。別辞のようにも感じられた。
「まぁ、幸い、私は生まれ付いて魔力が高かったので創造魔法が使えたのでこのとおり・・・っほら」
エルナが左手を突き出すと手の中に淡い光が集まりやがてピンク色の液体が入った小瓶が現れた。
「商品自体はこのように自分の魔力が尽きない限り問題はありませんでした。どうぞ」
いつもの笑顔に戻ったエルナは、ミズカにさっき出した小瓶を渡した。
「これは・・・?」
少し甘い香りが漂ってくる小瓶を見ながらエルナにたずねた。
「それがさっき言っていた当店一の媚薬です、ヤマキさんでも自分自身にでも好きなように使って下さい、御代は助けてくれたお礼がありますからいりません」
「・・・」
「ミズカさんはヤマキさんと旅をしているんですよね、お二人世界がどのようなものかわかりませんが、この世界では旅人が命を落とすということは珍しくありません、いつ大切な人と別れるかわかりません、私と同じ気持ちを抱えるのだけはやめて下さい」
その後、ミズカはエルナの店を出て違うお店に足を向けた。
手には先ほどもらった小瓶が握られていた。
(ここは元世界と違う・・・魔物もいれば他種族もいる、命の危険もたくさんある・・・)
エルナに言われ改めて気づかされる。ここは都合のいいことばかりおきるわけではない、当然不都合もあるということを。
だから・・・
(だから・・・ちゃんと私の気持ちをヤマキ君に伝えなきゃ・・・)
心の中でミズカは決心し、歩みを少し力強くした。
少し暗めの話でした
次からヤマキ側の話になる予定です