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そのミミック、注目の的につき・1


「みんなぁ! 今日はミミコのライブに来てくれてありがとぉっ! じゃあ早速歌うねっ! 最初は『ブレイク・ミミック・カラーリング』!」

 そうして、ミミコの歌が流れ出す。歌詞の内容は、周囲に合わせて隠した自分の気持ちをぶっ壊して自分に正直に生きようとかそういう甘ったるい内容だった。

 いつの間にか、どこから用意したのかギター担当のゴブリンも加わったミミコのライブは今日も大盛況だった。場所はいつもの解体部屋から移ってゴブリンの村。ゴブリンたちが徹夜で作ったという仮説の舞台の上でミミコが踊り歌っている。

 客はリザードマンとゴブリンだけだが、何が彼女をそこまでさせるのか。まぁ、ミミコが誰よりも楽しそうだということだけは言っておく。

 俺はとりあえず特等席のかぶりつき席から、ミミコのライブ衣装のパンチラを楽しむだけだ。

(今日は青か)

 青のライブ衣装に身を包み踊るミミコ。

 背中に宝箱を背負ってどうやって着替えているのかは本当に謎だ。

 いつも着替えは宝箱の中に入って行っているが、あんな狭い場所でどうやって着替えるのかも謎だ。

 流石に宝箱の中まではスクリーンを使っても覗けないので、未知領域だ。

「凄いよな、ミミコ」

 衣装担当のアドミラがライブの合間に俺に言った。

「知ってるか、タード。ミミコの夢はアイドルになることだったんだって。ミミックっていう生き物は、魅力的な姿に擬態して人を誘う。ミミコはその中でも人を魅了することに特化した魔物なんだってさ」

 いつの間にかアドミラとそういう間柄になっていたことにも驚いたが、人を魅了する魔物か。確かに、今のあいつの中身は宝箱の中身のように輝いて見えるな。

 ライブは二時間に終わり続き、ミミコは解体部屋に戻った。


 さて、ようやく実験ができる。

「ミミコ、合成メダルができたそうだな」

「うん、メダルできたよっ!」

 ミミコが青色のメダルを二枚を俺に渡した。

「よし、じゃあ早速、ゴブリンとゴーレムを合成できるか?」

「えっと、うん、ダメみたい」

「なんでだ?」

「相性が悪いの」

 そんな恋愛相談みたいなこと言われても。

 ゴブリンはゴーレムを見て、どこかほっとしたように息を漏らす。

「あ、ベビースライムとクレームちゃんなら合成できるよ?」

 とミミコはお昼ご飯として俺が持ってきた白色のベビースライム(ミルク味)を手に言った。クレイゴーレムを変な略し方するな。文句を言っているみたいじゃないか。

 でも、クレイゴーレムをベビースライムと融合したら弱くなる気もするが、合成パターンを見ておくのは悪くないか。

「よし、じゃあ頼む」

「うん」

 とミミコはクレイゴーレムの手を取ると、一瞬にして二体を宝箱の中に引きずり込んだ。

 クレイゴーレムは全長二メートルを超える。どう見ても宝箱の中に入るサイズではないのだが、そのあたりはゴブリン二体の時にも感じていたので今はあえて何も言わない。

 そして――

「合成完了したよ♪」

 と箱の中から現れたのは、岩の塊のようなこつこつとしたスライムだった。と同時に、俺の触手の中にあった青色のメダルが一枚消え失せた。

 スクリーンを展開させて種族名を調べると、ストーンスライムとあった。俺の知らない魔物――新種か珍種か絶滅種かは知らないが、間違いなくベビースライムやクレイゴーレムとは別の種族だ。

「……ミミコ、人間は合成できるのか?」

「ううん、たぶん無理だと思うよ?」

「そうか――ゴブリンとリザードマンは合成できるか?」

「んー、相性があまりよくないから無理だよ」

「クレイゴーレム同士の合成は可能か?」

「うん、できるよ♪」

 ミミコができると言ったので、俺は早速クレイゴーレムを二体連れてきた。

 そして、クレイゴーレム二体を連れて戻ってくる。

「よし、こいつらを頼む」

「はーい♪」

 とミミコは笑顔でクレイゴーレムを宝箱の中に引きずり込んだ。

 そして、待つこと数十秒。

「合成完了したよ♪」

 のミミコの声とともに宝箱の中から現れたのは――岩の巨人。

 そう、ストーンゴーレムだった。

(……これ、ストーンゴーレムの核を取って付けてを繰り返したら、またストーンゴーレムのスポーンが作れるんじゃないか?)

 そして、それができたら、今度はストーンゴーレムとストーンゴーレムの合成だが……

「ミミコ、ストーンゴーレム同士の融合は可能か?」

「うーん、青い合成メダルじゃ無理みたい。銅の合成メダルが必要だよ♪」

「銅の合成メダル? それってどうやれば手に入る?」

「ミミコにもわからないよ」

 と言った。銅の合成メダルは知っているのに入手方法は知らないか。

 やはりそううまくはいかないな。


 と俺が話していると、転移ゲートが現れ、そこからシエルが出てきた。

「タード、大変よっ!」

「なんだ、騒々しいぞ。隕石でも降ってきたのか?」

「えっと、そこまで大変じゃない」

「そうか。じゃあどこまで大変なんだ?」

「吸血鬼アストゥート様が、再度視察に訪れるみたい。今度は迷宮内の調査だって……」

「ちっ」

 俺は思わず舌打ちをした。

 このタイミング、そしてこの手紙。

「間違いない、ミミコの存在があのロリコン吸血鬼にばれたな」

現在の課題 (クエスト)

・ダンジョンプレバトルの準備をしよう

・2500ポイントを使ってタードを強化しよう

・リザードマンスポーンを設置できるようになろう

・一年後の新人戦に備えよう

・冒険者を迎撃できるようになろう

・妖刀ムラサメの解呪をしよう

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